天文はかせ幕下

北アメリカ星雲

ようやく晴れたので、先日アップした機材のテストをしてみました。自宅の庭の脇で、とりあえず天頂にあった白鳥座の近くを撮影しました、スカイメモRにニコンの300mmを載せて。極軸合わせのために、kyoeiの微動装置を導入したので、だいぶん楽にはなったものの、自由雲台にのった300mmのレンズで構図を決める作業はかなりしんどい。汗をダラダラたらしながらの作業になりました。

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8月3日22.30 北アメリカ星雲 宮城県名取市
canonEOS40D 赤外改造 Nikon ED 300mm F2.8->4.0 on SkyMemoR
ISO1600 80sec x 32枚,DF x 10枚, Flat flame x 10枚
astronomik CLS CCDフィルター

*庭先で撮影して、これだけ移ればよしとするべきかもあいれませんが、それでも赤外改造の40Dを使いこなせていない気がします。まず、液晶画面がいかんせん解像度が低いので、ピントがうまく追い込めません。今回は、フードに竹ひごを十字にはって、その回折像をみてピント合わせをしようと思いましたが、うまくいきませんでした。やっぱり専用のばーてぃのふマスクを使うべきでしょうか。

それと、赤ハロ(?)がどうしても出ます。これはレンズのせいなのか公害カットフィルターのせいなのか、よくわかりません

梅雨が明けましたね

この土日、本校ではオープンキャンパスという中学生を呼び込むためのイベントがあり、天文部もPR活動を行いました。こんな活動をしてますよーとか、こんな写真が撮れるのですよーなどと。それを端から見ていた物理の教員に

「それでは、その惑星状星雲はどうして光っているのか?」
「天の川とはそもそも何なのよ?」

などという質問をされ、部員達はいびられていました。

さておき、梅雨の間に学校から「文化部応援予算」というのがどこからか支給され、ちょっとした買い物が出来ました。よかったじゃん、やったじゃん。

そのお金を使い、まずはPoleMasterというものを購入しました。

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これは何かというと、赤道儀の極軸を合わせるための機材です。ただそれだけの機材なのです。しかしこれを我が部の主力であるNJP赤道儀に使えば、それはすばらしい追尾精度が期待できるはずです。あくまでオートガイドには手を出さないつもりです。

さらには、ポータブル赤道儀のスカイメモRにも、このpoleMasterを利用する方法を考えました(参考リンク)。そのためには、すこし機械工作が必要です。まずは旋盤をつかってこんな真鍮製のリングを作製。

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これを下の写真のように、スカイメモRに取り付けます。かちゃ。

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この穴に、PoleMasterがぴったりハマるようになっている分けです。全体像はこんな感じです。

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極軸合わせの際には赤道儀赤経軸を回転さす必要がありますが、スカイメモRのときは、真鍮リングの横ネジを緩めて、カメラを直接廻します。それでどのくらいの精度で極軸を併せられるか、近いうちに検証予定です。

 

NJP赤道儀 ウエイトの改造

部のNJP赤道儀のウエイトシャフトには角ネジのがきってあり、ウエイトをねじ込む仕組みになっています。このタイプは、取り付ける時もねじ込むのが難しく、また取り外す時はネジの終端でいきなりウエイトが脱落したりするので、キケンが危ない感じです。

 そこで梅雨時、良くやられている改造をやってみることにしました。

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さびた棒が、従来のウエイトシャフト。直径25mmの金属棒を購入。これは3000円くらいでした。

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学校にある旋盤をつかって、先端を加工。M15のネジをきります。

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ウエイトに切ってあるメネジは、26mmのドリルで削り取ります。さらに6.8mmの横穴をあけて、M8のネジを切り、長さ5cmの金属棒とM8の蝶ボルトで固定する仕組みです。

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こんなふうになりました。残り二つのウエイトにも、同じ加工をします。

 

惑星状星雲、M57とM27

我々の学校がある名取市は、仙台市の南隣のベッドタウン。光害はかなりきついので、撮影する場合はあまり暗い対象は狙えません。先週の金曜日、高気圧に覆われてきれいな青空が広がりました。残念ながらテスト週間のため学生たちはお勉強中でしたが、月没のあと学校の屋上で撮影しました。名取市での撮影は、頑張って淡い対象をねらってもがっかりすることが多いので、惑星状星雲を撮影することにしようと決めていました。

ところが夜になってみると、すごく透明度の高い星空が広がりました。夜半過ぎにはなんと天の川が見えるくらい。1年に数度あるかというコンディション。それでも当初の予定通りM57とM27の撮影をしました。

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2016年6月10日 M57
カメラ:Canon EOS40D(赤外改造)、鏡筒:タカハシMT200 on NJP赤道儀
露出時間:60sec x 15枚=15min,ISO:1000, 中央付近50%トリミング
撮影地:宮城県名取市

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2016年6月10日 M27
カメラ:Canon EOS40D(赤外改造)、鏡筒:タカハシMT200 on NJP赤道儀
露出時間:90sec x 13枚=18min,ISO:1600, 中央付近50%トリミング
撮影地:宮城県名取市

 

NGC4565

先日の蔵王野営場で撮影した、NGC4565です。ライトフレーム11枚、ダークフレーム5枚で処理した結果、なんだかノイズが多くてざらざらです。余裕が無くてダークフレームが少なめで、もう少し増やせば良かった。ASTRO6Dを買いたい気分ですが、なかなか決心がつきません。そろそろ6DMk2も発売されそうですし。

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2016年5月28日 22:30 NGC4565
カメラ:Canon EosKissX5、鏡筒:タカハシMT200 on NJP赤道儀
露出時間:180sec x 11枚=33min,ISO:1600
撮影地:南蔵王野営場

太陽光

虫眼鏡で太陽光を集めて、物質を高温に熱する状況を考える。虫眼鏡の大きさに制限を与えなければ、物質の温度をいくらでも上昇させられるような気がします。しかしその上限は太陽の表面温度で抑えられるというのは、自明でしょうかね?

そうすると、理屈上は虫眼鏡をつかって太陽の表面温度を測定できることになりますね。

天気がよかったので、昼休みに望遠鏡で太陽の観測をしつつ、そんなことを考えました。太陽を直接のぞくと、眼球の温度が6000度に!うくく。

 

駄文に添える形で申し訳ないですが、先日部員オノデラの撮影した、いて座付近の写真をアップします。ノーマルのカメラですが、赤い星雲がけっこう写っています。

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5月の遠征観測

学校は新学期が始まって、はや2ヶ月。ようやく遠征の計画がたちました。天候も答えてくれて、前線通過後に高気圧が張り出して28日はドンピシャリの晴天。参加者は、カトウ・田中・ナカムラと新入部員のオノデラ、と顧問の5人。観測場所は南蔵王野営場です。

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15時に学校に集合。まずは各自で機材を搬入します。ポラリエ、スカイメモ、NJPの三つの赤道儀、MT200、25cmドブソニアンを持ち出します。

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入念に荷物チェックをする部員たち。たった一つの部品であっても、忘れ物をすれば観測が出来なくなるので、遠征のときの荷物の準備はとても緊張します。たとえば六角レンチなんかを忘れたら、目も当てられません。

よし、たぶん忘れ物はない。16時に学校を出発しました。高速道路のインターに向かって公用車のハイエースを走らせます。

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向かうは秋保方面。雲一つない青空。名取市から車を走らせること、1時間弱、いつもの遠刈田温泉に到着しました。

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これまたいつものZAOBOOで腹ごしらえ、ついでに夜食も買い込みます。 

蔵王野営場へは、温泉街の中心地からさらに車で20分ほど。日帰り利用なら事前に申請をすれば無料です。沢のちかくの駐車場スペースを観測地としました。

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早速機材を設置。慣れたもので、日没まで時間が余りました。

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暇を持て余し、ちかくの「魚のつかみ取り会場入口」へ勇んで突入する部員たち。熊が出そうですね。

このあと、ドブソニアンのアイピースを忘れたことに気づき「ぎゃん」と叫んだりしました。幸い、タカハシの40mmアイピースが使えることを発見し、事なきをえたり。そんなでこの日は、月が昇ってくる夜半をタイムリミットにじっくり観測出来ました。

ナカムラとタナカはドブソニアンで観測。カトウはポラリエを使って星景写真、オノデラはスカイメモと135mmレンズで、射手座やさそり座周辺の撮影をしました。顧問はMT200でM63とNGC4565を撮影。

部員たちの作品は、今後アップの予定。

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2016年5月28日 21:00 M63(ひまわり星雲)
カメラ:Canon EosKissX5、鏡筒:タカハシMT200 on NJP赤道儀
露出時間:180sec x 11枚=33min,ISO:1600

せっかく空が暗いところに来たので、思い切って暗い天体を狙ってみました。天頂付近に上っていたM63です。一枚取りのもとの写真ではそこそこ写っているようにおもえましたが、DSSで重ねて見るとノイズが多すぎてまともに処理が出来ませんでした。ダーク画像はこんかい5枚だけで、これが少なすぎるのか?夏の時期にISO1600で3分露光は、すこし厳しいのかもしれません。ちょっとがっかり。そしてEOSKissX5に替わる新しいカメラが欲しくなってきました。