11月18日は、「天文年鑑」の発売日です。来年の天文年鑑を手して「年の瀬だなあ」と感ずるのが正しい天文部員というものです。
下の写真は、NJP赤道儀を載せているピラー脚の頭の部分です。この上に専用のアタッチメントを取り付けて、赤道儀本体をボルトでガッチリ固定しています。この「ガッチリ固定」に実は問題があります。
というのも遠征先では、方位磁石を使って北の方向に向けて赤道儀を設置します。望遠鏡やウエイトを取り付けた後で極軸合わせをしますが、このとき極軸望遠鏡に北極星が入っていないことがよくあります。そうすると、60kgは超えるであろう装置全体を「えいや」と持ち上げて方向を微調整しなければなりません。これは非常に筋トレであり、また危険でもあります。赤道儀が回転すればいいのに・・・と前々からおもっておりました。
天文部員が集まった今日、顧問は上記のことを懸命に部員達に説明し理解してもらった上で、赤道儀を回転させる改造を行いました。
作業としては、上の写真のピラー脚を工場の大型旋盤に設置、溝を掘って横ネジでアタッチメントを固定する方式に変えるだけの簡単なものです。
こんな風に、溝をつけました。
こんな風に、くるくると赤道儀が回転するようになりました。横ネジを閉めればこれまで通り、ガッチリと固定されます。これで、次回の遠征は大分楽になります。
いくつかテストしたいことがあって、金曜日に1人で「はやま湖」に行ってきました。
テストというのは、まず自家用車(プリウス)にNJP赤道儀とピラー脚、MT−200を積めるかどうか? またそれを独力で展開し、撤収するとなるとどのくらい疲れるかを試すことです。
プリウスへの機材の積み込みで問題になるのはピラー脚で、もし積めないようならNJP用の三脚を新たに調達する必要がありました。試してみたところ、横に寝かせれば分解しなくても大丈夫でした。それで、「積み込みは可能」であるとわかりました。しかし、翌日は激しく筋肉痛になり、体力の消耗はかなりきついものでした。
18時に名取を出発、途中で食事をとって、はやま湖に到着したのが8時半。機材を展開するのに30分かかって、21時から撮影を開始しました。対象はNGC981。
しばらくして、同じ目的ではやま湖を訪ねてきた方がありました。Yさんは、なんとこのブログをみてはやま湖にきてくれたそうです。GP赤道儀にオートガイドをつけて、borgの望遠鏡とEOS6DでM45を撮影していました。いろいろと教わりました。
この日はしばらくして曇り空。私も3枚ほどライトフレームを撮影した時点で、あえなく撤収となりました。ざんねん。
2016年11月4日 22:00ころ NGC981
canonEOS60Da タカハシMT-200 on NJP赤道儀 ノータッチガイド 中心部トリミング
ISO3200 210sec x 3、光害カットフィルタ不使用
CCDStack2でダーク補正&コンポジット、フラット補正後なし、EOS Digital Photo Professionalでノイズ除去
おもったより暗い銀河でした。ほんとうはNGC7331を撮影するつもりだったのですが、対象を勘違いしてました。
マニアックな話題になりますが、天体写真の画像処理の方法を模索しています。今まではもっぱらDeepSkyStacker(以下DSS)を使っていました。無償なので。これはかなり優秀なソフトウェアなのですが、もうすこし別の方法も探ってみようと。
ネットでいろいろな方のブログを見ていると、よく使われているのはステライメージ7、Pixinsight、CCDStack2、photoshopなどで。それらすべて組み合わせてかなり複雑な処理フローを確立しているひともいるようです。これらは有償ソフトなので、そろえるとなると大分お金がかかります。
しかし、すこしはお金を使う事も必要です。熟慮の結果「CCDStack2」を購入しました。それで前回のM33を再処理しました。
ちなみに、以前DSSで処理したのが下の写真です:
上の画像では、DSSを使った方が処理で無理をしすぎていて、CCDStack2をつかったから良くなったという事もないのですが、両者は大分印象が違った感じになっています。
ここまでくるのに少し苦労したので、処理のフローを記録しておきます
まだまだ改善の余地がたくさんありそうですが、CCDStack2以外は、無償ソフトを使っているのがポイントです。いまのところ、DSSを使う処理の方が圧倒的に楽です。
ちかごろ大分寒くなってきましたね。
天文部の部員は、なぜか男女揃って体脂肪率の低い学生が多い。スリムなのは悪いことでないのですけど、そうなるとどうしても寒さに弱い。本格的な冬になってしまってから遠征観測に行こうものなら、彼(女)らはあっという間に低体温症、ということになって意識の混濁・錯乱などをおこしてしまうかもしれません。そこで寒くなる前に顧問は
「今夜、観測に行こうではないか」
とみなさんをお誘いしたところ、
「いくぜ!」
と4人ほど部員が集まりました。
そろそろステップアップして新しいカメラを導入したいなぁ、と顧問は思っていました。冬にはMT200を主に使って小さな銀河をたくさん撮影したい。コマコレクターを装着したMT200のイメージサークルは、フルサイズのカメラをカバーできるほど大きくはないので、APS−Cのカメラでいいものはないだろうか・・・。そう思っていたところ、とあるweb上のオークション会場にEOS60Daという天体写真専用カメラが出品されているのを見つけました。会場では、他にも60Daを欲しがっている者が数名いて、激しい争いになりました。顧問はとちゅうから錯乱状態に陥りながらマウスをクリックしまくって、これを落札しました。
名取市を17時出発。「常磐道」という高速道路に乗って南へ。南相馬鹿島スマートICに隣接した食堂で食事をとりました。
「お腹がいっぱいです」という4人(左から「おのでら、田中、中村、加藤」です)。みんなスマートですね。ここで高速道路を降りて、内陸へ20分ほど車を走らせると、目的地の「はやま湖」に到着。宮城と福島の県境にあるダム湖で、期待通り暗くて星がよく見えました。
部員「おのでら」は、スカイメモRと300mmレンズで撮影の練習、「田中」「中村」は、初めて一眼レフをつかって固定撮影の練習をしました。とにかくみなさん熱心でした。ところが、さいきんハードな卒業研究ですっかり疲れてしまっている「加藤」は、ちょっと星を見て「はあああー」とかため息をついた後、カップラーメンを食べたのち「寒いっす・・」とかいって車の中で寝ておりました。
はやま湖での星空(中村・田中撮影)EOS kiss x5 iso1600 60sec露光
顧問は、60Daのファーストライト。M33を撮影しました。赤いポチポチが少し映って嬉しいです:
2016年10月24日 22:30~23:40 M33
canonEOS60Da タカハシε200 on NJP赤道儀 ノータッチガイド
ISO1600 210sec x 20 =70min、光害カットフィルタ不使用
DSSでコンンポジット、ダーク・フラット補正後、EOS Digital Photo Professionalでノイズ除去
今回の観測、現地では4時間ほどの滞在でしたが、思いの外さむかった。冬に観測するならもう少し考えないといけません・・・。
(※このエントリーは、随時更新しています。写真は宮城県神割崎の駐車場で撮影しました。最終更新2023-4-26)
快適に天体観測ができるためには
などあり、なかなか厳しい条件です。宮城県全体の状況としては、仙台市の明かりの影響や、沿岸部があまり復興していない事などを考えると、福島県境、蔵王地方、栗駒地方、石巻以北の沿岸部などがおもなスポットになります。刈田岳山頂や、泉ガ岳がおすすめの場所であるというweb上の情報は良く耳にしますが、どちらも仙台の明かりの影響が強く、あまりよい場所とは思えません。
以下では、仙台高専の天文部が観測した範囲内で、おすすめの場所を紹介します:
注)星見スポットのマナーとか,そこに出没する(このブログ主のような)マニアへの対処法などについては,
をご参考ください。
袖山駐車場 https://goo.gl/maps/1bQosCQxUdxyhm876
標高1000メートル越え,周囲は高原の低木が広がり視界良好。しかもトイレのある整備された駐車場。いつかはここで撮影したい(行ったことはなし)。
↑ 栗駒山での撮影の動画
↑ 神割崎での撮影の様子。赤い光は大気光。
↑ 白石蔵王スキー場駐車場にて
https://goo.gl/maps/LAs6zYVzn7cmW9Jn8
田束山(たつがねさんと読む)は南三陸町の内陸部にあります。山頂近くの駐車場は見晴らしがよく、星景色の写真を撮るのにも良いかも。標高は500mほどで、周辺にほとんど車の通りはない。タヌキのような動物がたくさんいるようで、夜中にカップラーメンなどを食べると匂いで近づいてくる。トイレはあるが、冬期は閉鎖している。
↑ はやま湖の様子(@shuji_acreさんより提供)
↑ 霊山子供の村コテージににて
高台にいちするお花畑(?)の道路ぞい。袋小路になっているので夜間の自動車の往来はとても少ない。東側は開けていて北東は南相馬市の明かりの影響がある。地形の関係上西風が防ぎやすいので、おもに冬型の気圧配置の時に撮影に使いやすい。西側は極めて暗い。
↑ フラワーランドの道端にて。
↑ もりもりランドにて撮影の様子
木戸ダム静かな森の湖畔広場 https://goo.gl/maps/grNkZwkj4sSsrZKf9
常磐道沿いのダム湖の公園。高速の出口から近く使いやすい。南側は視界が狭く、北側はダムの照明の影響が若干あり。近くにとても綺麗なトイレがあるのはポイント高い。
↑ 木戸ダムでの撮影の動画
浄土平レストハウス駐車場 https://goo.gl/maps/FvX2QPwgVPi39YAKA
福島県内ではおそらく最も有名な星空スポット。シーズンは関東方面からの多くの天文ファンで賑わう。天文台も併設されている。標高1600Mの高地で、雲の上に出ることもしばしば。広大な駐車場は、夜間も往来の多い道路に面している。ヘッドライトの影響を避けるためには、天文台奥の砂利の駐車場に陣取るのが吉(2021年現在工事中で閉鎖)。
下の動画は浄土平遠征時に撮影したものです。序盤音量注意
天蓋高原交流広場 https://goo.gl/maps/Qd2mq1N36qnDLSyy8
新潟と山形の県境付近は,東北屈指の暗い領域であるものの,ほとんどは険しい山岳地帯で撮影スポットは少ない。ここも行ったことはないけれど,トイレもあるし視界も開けて良さそう。