天文はかせ幕下

観測のほうこく

drizzleでソンブレロ銀河の円盤の文様を写し出せるか?

前置き M104、ソンブレロ銀河は、南に低く見えていて、また小さいためにちゃんと撮影するのは難しい対象です。 WikipediaのM104の項目には、ハッブル宇宙望遠鏡によるイメージが掲載されています。 この写真のようにまでは行かないまでも、中央を貫く暗黒…

5月:蔵王山での観測遠征記 その2

以下の記事の続きになります; 当夜の夜空は透明度も良くてシンチレーションも良好ながら、時折強まる風のせいでM104の撮影時にはガイドが荒れまくり、 「なんでよー(泣」 と半ベソ状態でした。連夜の遠征で精神的な疲れも溜まっていて、長焦点は諦ようかと…

5月:蔵王山での観測遠征記 その1

学生やOBたちとの約束もあって、5月3日は遠征観測に出かけました。まずは学校を出発して南西方向へ。遠刈田温泉に向かいます。 目的地へのルートの目印になる、大きな鳥居。期待できる空が広がっています。 今回の撮影地である蔵王山の賽の河原駐車場は、…

アンタレス付近

ここ数年~10年のあいだのことであるが、天体写真界隈でもSNSの普及が著しく、個人の撮影した天体写真がフェイスブック、Twitter、ブログ(天リフ)などを通して、多くの人の目に触れるようになった。その規模は「天文ガイド」や「星ナビ」の読者を(おそら…

M51 子持ち銀河

12日の金曜日に,撮影しておりましたM51(子持ち銀河)です。 Date: 13th Apl. 2019, 0:30~Location: Miyagi, Camera: Canon 60DaOptics: Takahashi MT-200 1200mm F6, MPCC Koma correctorExposure: 360sec. x 18 (ISO3200)Guide: Takahashi NJP with MGEN…

M87と中心部のジェット

南岸低気圧が通過していった先日の金曜日。夜にかけて天候が回復し、windytyが予想する上空の気流の様子もよし。月は上弦*1でしたので深夜からの撮影です。子供が寝た後に、のそりと家を出ました。目的地は神割崎「下段」。後部座席にMT−200とNJP赤道儀を装…

桜の向こうでヒアデス星団蝕

宮城県では、9日に桜の満開を迎えました。新月をすぎて日没後には細い月が西空に浮かんでいます。望遠で夜桜をフレームに入れて、その背景にボケた朧月が浮かんでいる・・・という光景を写真に撮ってはどうでしょうかと考えていました。 折しも火曜の夜は晴…

4月は成果なし

4日の夜は、卒業生のアベ君と3年生部員のコン君をつれて観測・撮影にいきました。久しぶりに暖かい春日で、夕方には雲もなくなって良い感じでありました。 コモンは最近、スマートフォンを手に入れてtwitterを始めており、「#天文なう」とかいうハッシュ…

おとめ座銀河団

冒頭から私事で恐縮ですが、わたしは9月生まれの乙女座です。ぱっとしない星座であって、一等星のスピカ以外は目立つ星が少なく存在感がありません。実は未だに、どれとどの星を結べば「乙女座」が構成されるのか、よくわかってなかったりします。 乙女座の…

春の系外銀河撮影

学校は春休みに入って、静かになりました。猛烈な活動で学内に知られる、我々天文部のプラネタリウム班も、ここ数日はさすがにお休み(予算を使い切ったので、することがないのだろうと思います)。 陽気もすっかり春模様です。暖かい雨降って、気温が下がっ…

冬の終わりに天の川

気がつけば2月も下旬。薄明のはじまるころには南東の方向にさそり座が登ってきて、天の川も低く横たわります。今の時期はちょうど、明けの明星の金星と、土星、木星も並んで見えてなかなか絵になるのではないかと考えて、日曜の未明に撮影に行ってきました…

北天の分子雲に挑戦

前置き 先日、岩本彗星の撮影をしていたときのついでに、M81とM82の周辺も撮っていました(といいますか、こちらが本命で岩本彗星はついででした)。最近よく使っているフルサイズの6Dと500mmレンズの組み合わせでの撮影ですと、この二つの銀河は小ぢんまり…

岩本彗星を撮影

13日の夜から14日にかけて、岩本さんが発見した岩本彗星(C/2018 Y1)の明るさがピークに達するという予報が出ていました。翌日の午前に休みをいただいて、撮影に行ってしまいました。V字のテイルを映し出すことができて、ひとまず満足。 Date: 14th, Feb. 201…

オリオン大星雲M42,M43

2月になりました。天体写真の冬シーズンはオリオン大星雲を締めくくりにしようと思ってまして、ようやく撮影しました。いつものはやま湖にて。学生たちは来週から期末テストなので、顧問一人です。 M42はこの時期だと南中するのが20時くらい、ちょっと遅き…

M106周辺の星野写真

「星野写真」という言葉を聞かなくなった気がします。 星野という言葉の意味も(読み方すら*1)実は判然としないのですが、それが文字通り「恒星の野原」といった意味合いであるとしたら、おそらく天体写真がデジタル中心になってから、淡い星雲や分子雲が注…

SeagullとThor's Helmet星雲@はやま湖

前置き 曇ることを覚悟して撮影に行かないと,良いシーイングには恵まれません。というのは大気の状態が安定しているときは,雲も発生しやすいことが多いからです。反対に冬場の安定した晴れ間では,たいてい星はパタパタと瞬いています。 大気の状態が悪け…

しし座銀河団

先日、5日の撮影では、ガイドなどもうまく行っていて余裕があったので、スカイメモR+旧Sigma 70mm Macroの組み合わせで、いろいろ撮影して遊んでました。夜半過ぎに高く登って来たしし座周辺を撮影して、写り込んだ銀河の名前を書き込んで見ました。こんな…

Mamaya Apo-sekor 500mmのファーストライト

「来年のお正月は新月が重なっていますから、一度撮影にまいりませう」 年末から天文部OBのアベくんとの約束があって、5日の夜に神割崎に撮影に行って来ました。顧問の私は、昨年末にボーナスで追加購入していたMamiyaのApo-sekor 500mmのファーストライト、…

2018年の撮り納めはバラ星雲

年末には寒波が訪れて、東北地方も随分と冷え込みました。そんな時期に「星の撮影に行ってまいります」なんて言うと、妻にも「は?まじすか?」みたいな顔をされます。でも冬の撮影が寒いなんてことは初めからわかりきったことです。 12月30日の夕刻。空…

9日夜のウィルタネン彗星

メシエ天体などの撮影とくらべて彗星が面白いのは、「ひょっとしたら今夜・・・」という期待があるから。日曜の夜、明日は朝から学生実験があるというのに撮影に行ってしまいました・・・。 残念ながらウィルタネン彗星の今回の姿は、いくら強調しても尾の無…

冬シーズンのスタート

中間試験明けの遠征 12月1日、土曜日。冬型の気圧配置で日中は暴風が吹き荒れました。学生たちはちょうど後期日程の中間試験明けの休日。「観測に行きたいですー」と言っていたので、南三陸町の神割崎まで出かけて来ました。 16時半に学校に集合、荷物を積み…

Comet 46P/Wirtanen,確かに淡い尾が長いです

追記(2018/12/3): 捨てていたコマを追加して,再処理しました。今度は,尾があるのがはっきりわかると思います: 2018年12月1日、21時頃、宮城県南三陸町神割崎Camera: Canon EOS 6D (HKIR),Lens: Mamiya Apo-sekor 250mm F4.5露光データ:ISO3200, 150se…

ウィルタネン彗星の長い尾??

1日の夜、宮城県の神割崎で撮影していたウィルタネン彗星です。同行していた、Yさんと「尾はほとんど無いですね。ちょっと面白くないですね。」なんて話していました。今晩画像処理をしていたら、薄っすらと長い尾があるような気が? 極限まで強調していま…

新機材でM74を撮影

DSOを撮りたい 天体写真のブログやFaceBookなどを拝見していると、135mm〜400mmくらいの焦点距離での撮影の方が、多数派になるのかなと感じます。たとえば満月の撮影なら写野に対する月の大きさが、国旗の日の丸よりもひとまわり小さく映るかなという、その…

プレアデス星団、2度目の撮影

顧問です。 10日土曜の夜、天気も悪くなさそうだし、2週連続で撮影に行っちゃおうかななんて、皿洗いや庭掃除など、例のヘコヘコ運動をしていたら長男が熱を出してしまって、自宅に待機しておりました。 深夜になって子供たちも寝静まったあと、同日はやま湖…

オリオン座とバーナードループ

小学生のころから何度も望遠鏡で眺めていたオリオン座の周辺。その東側に大規模な円弧状の星雲が広がっていることは,最近知りました。バーナードループと呼ばれているそうです。憧れだったこの領域を,初めて撮影しました。 神割崎にて。夜半過ぎに撮影して…

勾玉星雲の周辺

11月初旬、文化の日の週末と、月が細くなる時期が重なりました。東北地方は安定した秋の晴天に恵まれて観測日和です。この時期は、湖や河川の周辺で霧が発生しやすい頃でもあります。まだ温度が下がりきっていない水面と、寒気の流入で急に冷えた空気の温度…

M77の周辺、職務質問、オリオン座流星群

20日の夜、およそ25時の月の入りをまって「はやま湖」に撮影に行ってきました。 夕刻に雷を伴う驟雨があって、夜は快晴の予報。ところが、湖周辺は霧が立ち込めていました。唯でさえ不気味なこの場所。霧のせいでさらに薄気味悪く、理学部を出た私も「うわ…

遠征の限界距離は片道90分です・・・

少々古い物言いではありますが、天体写真撮影というのは 「一に根性、二に技術。三四がなくて、五に財力」 ではないかと思いまして、何よりも根性が大事だと思います。みなさんのブログを拝見していると、関東地方には平日に片道数時間の遠征をするような愛…

モザイク撮影の落とし穴と教訓

ここ何回かの撮影では、Mamiyaのレンズを使ってモザイク撮影をしております。「最強の画像処理とは縮小である」と誰かが言っていたのをどこかで読んだことがありまして、モザイク撮影にはそれと同等の効果があります。その効果は凄まじく、もうこれから全て…