天文はかせ序二段(仮)

天文はかせ序二段(仮)

仙台高専(旧・宮城高専)天文部の活動記録です

ダーク、フラット、フラットダーク、オフセット・・・

はじめに

DeepSkyStacker(以下DSS)で行っているダーク減算・フラット補正・フラットダーク減算・オフセット減算の4つが、どの程度に効果を発揮しているのか? を、比較して検証をしてみたいと思います。これらの処理については、いままで

「引けばいいんでしょ引けば」とか、
「みんな引いてるから、引きましょ」

といった盲目的な態度を我々はとっていて、じっさいに意味があるのかちゃんと確かめたことはありませんでした。そこで、前回スズリョウが撮影したオリオン座大星雲のISO1600 150秒露光のライトフレームを12枚加算平均した画像に対して、以下の5パターンの処理を行なった画像を比較してみます:

  1. ダーク減算のみ
  2. フラット補正のみ
  3. ダーク減算とフラット補正
  4. ダーク減算とフラット補正とフラットダーク減算
  5. ダーク減算とフラット補正とフラットダーク減算とオフセット減算

似たようなことは、いろいろなところで多くの方が行なっていることではありますが、自分でやって見て納得するのが大事なわけです。

DSSを使った処理について

最近は1・2年生の新入部員もこのブログを読んでくれているそうです。彼らのためのマニュアルになるかどうかわかりませんが、本題に入る前にDSSでの処理についてまとめておきますね。

まず、星が写っている画像のことを「ライトフレーム」と呼んでいます。天体写真を仕上げるときは、カメラのノイズとか周辺減光を取り除くために、ライトフレームに加えて以下の4種類の写真を撮影しなければなりません。それらの名称と説明を列記しておきます:

  • ダークフレーム:カメラに蓋をして(つまり光を遮断して)ライトフレームと同じ条件で撮影。そうしてできた真っ黒い画面は、ライトフレームのノイズ情報を含む。
  • フラットフレーム:青空のような一様な明るさでで何の模様もない光源に向かてカメラを向けて撮影。カメラレンズの性質から、光源が均一に光っているにもかかわらず、得られる画像は中心が明るく、隅っこが暗い。「周辺減光」と呼ばれ、これを補正するためのフレーム。
  • フラットダークフレーム:カメラに蓋をして(つまり光を遮断して)フラットフレームと同じ条件で撮影した画像。真っ黒い画面であるが、フラットフレームのノイズ情報を含む。
  • オフセットフレーム:カメラに蓋をして、ISO感度をライトフレームに一致させて最も早いシャッタースピードで撮影(?)。 センサーがもともと持っているベースのノイズの情報を含む。

これらを実際にどうやって撮影するかはいろいろと方法がありますが、後日書きます。とにかく、ライトフレームとこれらの画像をそれぞれ10枚以上撮影してDSSに読み込ませると、ライトフレームを平均して滑らかにした上で、ノイズと周辺減光を取り除いた画像を出力してくれます。ぜひやってみましょう。

処理が異なる5枚の画像

DSSから出力しただけの無加工のTif画像を縮小してJPG変換した画像を5つ並べます。

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無加工の状態でも、「1.ダーク減算のみ」の画像はなんかダメそうですね。残りの4つは区別がつきません。しかし同じライトフレームを同じ枚数だけ処理しているのにもかかわらず、背景のカラーバランスも輝度もそれぞれ異なっています。これらをもうちょっと詳しく比較してみます。

比較

うえの5枚を、いかにして「同じ土俵」で比較をするかが難しいところです。ここでは、うえの画像たちに以下のようなレベル調整で極端な強調処理をおこなって、比べて見ます。

  • すべての画像について、背景の輝度が(R,G,B)=(10,10,10)(8bit階調0~255で)になるようにレベル補正でダーク側を切り詰めるて背景を暗くする。
  • つぎに、中心の大星雲がおなじくらい「飛ぶ」まで、レベル補正でライト側を切り詰めて、全体をあかるくする。

いかに強調した後の写真をならべてみます。

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考察

フラット補正の効果 

まず、画像1.と他の画像を比べると、フラット補正の重要さがわかります。強調の度合いは同じはずですが、フラット補正がない場合は背景の階調まで失われているように見えます。

ダーク減算の効果

2.と3.を比べるとダーク減算の効果が見えます。これは拡大するとわかります。それぞれの画像の同じ部分を等倍で切り出してみましょう。

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ダーク減算をしていない場合は、画像の中に黄緑いろや赤の輝点があります。ダーク減算後はそれが無くなっています。それ以外のノイズも若干ダーク減算をしたほうが抑えられているように見えますが、これは微妙ですね。輝点ノイズは、webにjpegで載せる程度の天体写真なら、どうでも良いように思えてきました。ただ、ダーク減算がない方の画像は全体が赤かぶりしているのが気になります。ですが、遠征先でダークを撮影するくらいなら、その時間を使ってライトフレームを増やした方が良いかもしれません。

フラットダーク減算・オフセットの効果

これについては、画像をつぶさに眺めても、明確な効果は確認できませんでした。ただし、さらに強調を施すとフラットダーク減算を行なった画像の方が、フラット補正がより高い精度を持っているようには見えます。「オフセット減算」の効果としては、カラーバランスが改善しているように見えますが、これはたまたまかもしれません。また別の対象を撮影した時、同じ検証をして見て、なにか発見がありましたら報告します。

そんなわけで、検証が尻すぼみになってしまいましたね。でもこのブログはいつもそうです。それでは。