天文はかせ幕下

バローレンズを導入

倍率が足りないのです

ZWOのCMOSカメラ(ASI174MM)に、全部費をつぎ込んでしまったこともあって、ここ最近は、それを使った惑星の撮影を熱心にやっております。

このカメラのセンサーサイズは1/1.2"型と呼ばれるもので、その対角長は13.4mm。LX200と組み合わせた時の焦点距離はフルサイズ換算で約9800mm(LX200の焦点距離は3048mm)。かなりの長焦点ながら、木星や火星を撮影するには、それでももうすこし倍率をあげる必要がありそうでした。

「バローレンズなら持ってますよ。Vixenの私物ですけど。今度持ってきますよ。」

と部長のハタナカ。ありがたいことです。数日後、

「あの、バローレンズは?」
「ああ、忘れてました。明日持ってきます。」

しかし、翌日になっても「あ、忘れてた」なんて一向に持ってくる気配がありません。私は痺れを切らして、笠井トレーディングという会社の2インチマルチショートバローというのを購入してしまいました(部費はないので私費で。)

で、笠井のバローが届いた翌日、遅ればせでVixenのバローを部長が持ってきてくれました。

f:id:snct-astro:20180612183604j:plain

どちらも公称は2倍のバローレンズ。お値段はVixen製が3400円、笠井製が10000円弱。せっかくなので比較して見ます。

望遠鏡とバローレンズの接続

ちゃんと理解しておらず付け焼き刃の知識ながら、バローレンズの倍率はカメラの受光面とレンズ間の光路長と関係していて、光路長が伸びると倍率も上がるようです。「2倍バローレンズ」と書いてあるのだから2倍の倍率で使用するのがもっとも性能が発揮されるのだろう(予想)。つまりバローレンズとカメラの間に、フィルターボックスとか接続環のような光路長を変えてしまうものを介在させるべきではないはずです。そういう考えのもと、以下の写真のように撮影システムにバローレンズを組み込みました。

f:id:snct-astro:20180612220405p:plain

Vixenバローレンズの接続。

f:id:snct-astro:20180612220414p:plain

笠井バローレンズの接続

A:LX200へ接続する2インチスリーブとM44雌ねじの接続環(M44雌ねじは自家加工)
B:フィルターボックス(タカハシ製?)左側M44雄ねじ、右側M42雄ねじ(Tネジ)
C:M42->M48ステップダウンリング(MPCC KOMA Collectorの付属品)
D:ZWOカメラ
E:笠井2インチマルチショートバローレンズ
F:Vixenバローレンズ
G:31.7mmスリーブと2インチスリーブの接続環(MPCC KOMA Collectorの付属品)

バローレンズと望遠鏡の間に、ゴタゴタがあって光路長が延びていますが、結論から言うと、どちらもピントが出ました。

撮影テスト

近く遠くの鉄塔を撮影しました。

f:id:snct-astro:20180612185310p:plain

ひだりの「バローなし」はデジタル2倍拡大で、中央と右の2倍バローを使用した画像はピクセル等倍です。以下、わかったこと:

  • 鉄塔の見かけの大きさがどれも同じくらいなので、おおよそ2倍の倍率が得られているようです。
  • 解像度はバローレンズを使用したほうが確実に高くなった。
  • Vixenバローは、笠井バローに比べるとかなり暗い。Vixenバローを使用した中央写真は、笠井バローを使用した右写真に対して1.5倍のgainで撮影している。

色収差については、モノクロなのでわかりません。おわり