天文はかせ幕下

Nikkor 300mm F2.8 ED と M16わし星雲

先日の13日は梅雨の晴れ間に恵まれました。平日でしたし、学生たちは

「レポートの提出があるので」

といふので、今回はコモンひとりで撮影に出かけて来ました。

この時期、日没後に東から昇ってくるいて座周辺の星雲を撮影しようと思いまして、東の空が暗い福島県霊山の登山口駐車場へ出かけました。

17時半くらいに学校を出発して、薄明が残る時間帯に現地に到着。少し雲が出ていました。この場所、周辺の気流の影響なのか、西風が吹くときは山越えに雲が発生しやすいようなので、冬の時期は避けた方がよさそうです。幸運なことに、この日は雲もじきに晴れて、22時くらいから撮影を開始しました。

夜半を過ぎた頃、山形大地学研究部の天文班の方々が、やって来ました。プラネタリウム作りのアドバイスをいただいたり、持参されたC8でいろんな星雲を見せてもらいました。C8があんなによく見えるとは思いませんでした。またお会いしたいですね。

M16わし星雲

いて座付近のわし星雲を撮影してみました

M16_eagle nebula

2018/6/13 22:00-25:30
カメラ:Canon 60Da 
光学系:Nikkor 300mm F2.8 ED (->F4)  with Astronomik CLS CCD filter
露光:ISO1600 360sec x 22 
マウント:NJP赤道儀、PHD2ガイド
画像処理:DSSでフラット・スタック処理。PhotoShopでレタッチ。

まあ、そこそこ満足いく仕上がりになりました。今回はオートガイドがバキバキに決まりました。カメラとオートガイダからのケーブルを赤道儀本体に固定したのがよかったのかもしれません。歩どまりも100%。DSS上でのスコアも見事に安定しています。

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それと、撮影やレタッチに新しい試みを加えました。小出しに書いていきます。

Nikkor 300mm F2.8 EDの青いコマ収差問題

これまで何回か書いていますが、使用したニコンサンニッパレンズは、部での購入が平成3年。設計が古いため、コマ収差がでます。開放で使用するのはかなりきつくて、F4まで絞っても以下のような周辺像です。

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スタック後にレベル補正だけを施したものですが、周辺ではコマ収差が強く、青のにじみが目立ちますね。このまま強調すると、青にじみも強まって、ひどいことになります。だからといってphotoshopで青にじみを消してしまうと、いっしょに星の色も全部消えてしまうのでよくありません。

これを何とかしたいです。青ハロに対してはL42紫外シャープカットフィルターを使うと軽減できると

ASTERISM(アステリズム) SIGMA AF 70mm F2.8 EX DG MACRO

にて紹介されてました。L42はおおよそ波長400nm以下の光をカットするフィルターです。そういえば光害カットフィルターの透過特性のグラフを見て見ますと、同じように400nm以下をカットする仕様になっていることが多いです。というわけで、今回のわし星雲はNikkor 300mm F2.8 EDと光害カットフィルターの組み合わせで撮影しました。その中心と周辺像は以下の通り。

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なんと、青いにじみがほとんど見えません。これはすごいと思ったのもつかの間、強調処理をしていくと、星(特に微光星)の色バランスが大きく崩れていることに気づきました。拡大してみるとこんな感じ:

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比較的明るい星には緑のハロ、暗い星は芯が赤くなった上に周辺が緑で気持ちが悪いことこの上ないですね。

光害カットフィルタが星の色に悪影響というのは、

などでも触れられていましたけども、上の写真のようにひどくなるという話はあまり聞いたことがなくて、これは多分レンズとフィルターの相性が悪いのでしょうね。次回はL42フィルターを手に入れて撮影して見ます。