天文はかせ幕下

初めての青い天体

昨年度に卒業していった、部員アベとよく話していたのは、「一晩に2対象以上を撮影してはならぬ」ということで、それをやるとたいてい両方失敗するのです。

昨晩のはやま湖での遠征では、薄明終了後からNGC7000を撮影し、それがしだいに西に低くなっていきました。まだ夜半...

「次は何を撮影してこましたろか」

と東の空を見れば、M45が昇ってきています。そういえばこの対象、部員アベが何度か挑戦し、そのたび失敗・敗亡していたなと思い出しました。明るい天体なのに撮影が難しい。ちゅーか、明るすぎる星団のまわりに、それに比べるとはるかに淡い散光星雲が広がっていて、その輝度の差が撮影を難しくしているのですね。

今回の遠征では、禁を破って2対象目を撮影しました。

M45

M45 プレアデス星団
撮影地:福島県飯館村 
カメラ:Canon60Da 
レンズ:Mamiya Apo-sekor 250mm F4.5 
追尾:Takahashi NJP(ノータッチ) 
露光:360sec x 10 flamesの2枚モザイク(Iso 1600) & 中心付近のみ、60sec x 5 flames (ISO400)をHDR合成

 

蛇足:

青く光っているということはエネルギーが高いのであって、宇宙の中では比較的少数派のようです。こういう全般的に青い対象を撮影するのは初めてです。色の違いと、中心付近の星の明るさのせいで、これまで培ったワタクシの画像処理技術が、ほとんど通用しませんでした。その困難は主に

  • 中心付近の星が明るすぎて、星消し画像が作れない
  • 全体的に青い分子雲がうすく広がっているせいで、色の基準がわからない。

の2点です。星消し画像からは、星雲だけを選択するマスクを作って強調に使ってますが、今回はB-Rのチャネル減算のマスクで強調を補助しました。

この対象は、十字の光条がないと、なんとなく物足りない気がしてくる。それは自分の美的感覚が、他人の撮影写真に強く影響をされていることの表れですね。

反省点:

  • 星団周りの散光星雲にもうちょっとコントラストがほしいところ
  • 散在しているオレンジ色の星のいろが、白っぽくなってしまった
  • 星のHDRのために用意した短時間露光の画像がそもそも明すぎて、結局は星が円盤状になってしまった。20秒くらいの露光でいいかもしれない。