天文はかせ幕下

モザイク撮影の落とし穴と教訓

ここ何回かの撮影では、Mamiyaのレンズを使ってモザイク撮影をしております。「最強の画像処理とは縮小である」と誰かが言っていたのをどこかで読んだことがありまして、モザイク撮影にはそれと同等の効果があります。その効果は凄まじく、もうこれから全ての天体写真をモザイクで撮影したい気持ちです。

落とし穴

でも落とし穴もあります。例えば先日アップした北アメリカ星雲とペリカン星雲です:

f:id:snct-astro:20181015185404j:plain

この画像、楕円の部分にモザイクの境界がはっきり見えてしまっています。つなぎ合わせの部分で、星の歪みの方向がジャンプ、「収差の差」もはっきりとわかります。これはまあ仕方のないことなんでしょうが、以前マルカリアンチェーンのモザイク撮影をやった時は、星どころか星雲が欠落していたということがありました。

その時の画像がこれです:
chain_pano_ps

マルカリアン鎖を構成する最も重要な「The eye」が欠落してしまっていますが、違和感がないのが驚きであり、同時に怖いです。

教訓

一方、モザイク撮影をしていて初めて認識できた教訓もありました。それは画像をちゃんと縮小してからwebにアップすることの大切さです。

Raw画像をそのまま処理していくと、例えばEOS6Dとかなら5472x3648pixel^2 のtif画像が出来上がります。これまでは、「解像度はでかいほうがいいだろう」と考えて、それをそのままflickrやブログにアップしていました。しかしその場合、画面表示の時に、おそらくブラウザかそのサイトのプログラムが勝手に縮小をしてしまいます。その結果、画像が眠くなることがあるようです(これは、モザイク撮影をしてシャープな画像が自分で撮影できるようになって、初めて気づきました)。

それならば、初めからphotoshopで正しく縮小したほうが良い結果になります。ちなみに、photoshopの場合「イメージ」->「画像解像度」->「バイキュービック法(滑らかなグラデーション)」のアルゴリズムで縮小をしています。

たとえば、以下の二枚の写真は、全く同じ画像を、長辺が5000pixelのままflickrにアップした画像と、長辺2000pixelに縮小してからアップした画像です。後者の方が、星がシャープだと思います:

長辺5000pixelの画像(下)↓

NGC_7000_5000px_png_test

長辺2000pixelの画像(下)↓

ngc7000_2500px_png_test

はてな上での表示では判然としないかもしれません。リンク先のflickrに飛んでいただけると、2000pixに縮小した写真のほうが、はるかにシャープであるとわかると思います(もし違いがなかった場合は、ブラウザ依存かとおもいますので、その時は「私の環境では同じに見えた」コメントいただけるととても参考になります)。