天文はかせ幕下

ASI294MC-pro でのNGC6888(最終版)

これまでの経過をまとめておきます。

CanonのデジカメからZWOの冷却CMOSカメラへ移行して、初めに撮影したNGC6888。まず困惑したのが、ファイル形式がRAWからFITSに変わったこと。つまりはデジカメの画像処理エンジンを通さない、本当の意味での生データの扱いです。

F2.2という明るい光学系で180秒露光して得られたデータが

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こんなに暗いのです(gainは120)。

ここからまず行わなければならないのが(かなり大胆な)レベル補正で、右側のスライダを極端に左側に寄せていかなければなりません。そうすると当然、星は飽和します。そこで登場するのが「デジタル現像」なのだそうですよ。

ちなみに正直に書きますと、6年ほども天体写真を撮ってきて、この時点で初めてデジタル現像の意味を知った次第です。デジカメの感覚なら、とって出しの状態で背景レベルがヒストグラムの1/3から半分近くまでくるので、コンポジット後に極端なレベル調整は必要なく、したがってデジタル現像の必要性も感じていませんでした。そもそもこれまでの処理はもっぱらDeepSkyStackerだったので、デジタル現像に触れる機会もありませんでした。

デジタル現像を施して、PSで処理した結果、得られたのが

Crescent Nebula

こんな結果でした(http://snct-astro.hatenadiary.jp/entry/2019/09/03/234741)。それほど満足してはいませんが、まあこんなものなのかなと。

そのあとは、ぼんやりと日々を過ごしておりましたが、そういえばと思い出しました。

界隈では「対数現像」という言葉もよく目にします。それも試しておかないと。とりあえず無料版のFlatAidePro (FAP)をインストールして、ステライメージの吐き出したFITS画像をFAPに読み込ませます。そしてレベル調整後に対数現像・・・。

うん、なんとなくデジタル現像に比べて星が小さくなったような。

FAPからtiffを出力して、PSで強調します。星が小さくなった分、前回のバージョンよりも強い強調をかけられました。もともと、ASI294MCの背景のノイズは非常に小さく、強調処理を難しくしていたのはノイズでなくて星の肥大だったのです。

得られた結果はこちら:

Crescent nebula (2nd)

ちょっと調子に乗ってやりすぎた感じもありますが、ここまでくればファーストライトの結果としては良しとしたいと思います。NGC6888との格闘も終わりにしましょう。

FAPは後日、1年間のライセンスを自費購入しました。。。

現段階での、最終的な処理フロー:

  1. (ステライメージ) asi294MCのFITS画像をダーク減算・フラット補正
  2. (ステライメージ)RGGBベイヤーパターンを選択してカラー化。
  3. (ステライメージ)加算平均でコンポジットー>FITSで出力。
  4. (フラットエイドプロ)ある程度星雲の構造が見えるところまでレベル調整して、対数現像して飽和部分を取り除く。->16bit Tiff出力
  5. Photoshopで強調・微調整。

FITS画像を取り扱うために、有料ソフトが3つになってしまったのが悲しい。PIX Insightのほうが一つで済んで安く済むのかな。まあでも、国産のソフトを応援した気持ちもありますが。