天文はかせ幕下

蔵王にて。雲抜け初体験の巻

はじめに

9月に入ってはじめの休日。この日は、午後から雲が増えて夜も曇りの予報でした。そんななか、

なんてツイートが。主は、最近お近づきになった「蛙教教祖」さんという方で、顧問のわたしとは比べ物にならないくらいの天体観測のベテランです。かのーぷす氏(この方も同じくらいベテラン)も反応して、蔵王へ出かけるとのことでした。

天体写真撮影を長くやっている人は、必然的にお天気はかせです。長年のあいだ空模様を気にしていると、地域の気象パターンが頭に焼き付いてしまうのでしょう。

これは便乗させていただこうと、家族に「今夜行くから」と言い残して、自主研修に出かけてきました。

当夜の月没は23時。子供達が寝室に入ってから家を出ます。濃い霞がかかっていて、べっとりと湿度の高い夜でした。どうも期待できないので、いつもより軽い機材を積み込んで、西へ。小一時間の夜のドライブです。

東北道に入るころ、先着のかのーぷす氏から「今のところ山のうえは快晴」のツイート。わくわくしてきました。

雲抜けの素晴らしい空

我々が夏に良くいく観測地は蔵王山の山頂近くの駐車場。「三途の川」と呼ばれる渓流沿いのなだらかな傾斜地にあります。このあたり、地図には「賽の河原」と記されていて、まるで黄泉の国ですね。

ここでの撮影で鏡筒を向けるのは、もっぱら天頂から西方向で、東側は仙台市の光害で使えません。下の写真は、ふだんの東の空の様子です:

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(ISO400 F5.6 10sec.)結構ひどいですよね。この写真の撮影日は、透明度も悪かったのを覚えています。

それでこの日はといいますと、仙台の市街地は完全に雲にフタされていて、こんな様子でした

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(ISO3200, 10sec, F3.5)踊りだしたくなる暗さですね。この比較写真、条件は全然違いますが、露光時間はどちらも10秒で下の写真のほうがF値も小さく高ISOで撮影しています。

この日は、0時まえから薄明まで3時間半ほどの撮影。ずっと快晴で、下界には雲がかかり続けていました。長いこと続けていると、こんな夜に巡り合えるのですねー。

撮影開始

 今宵の目的は、ASI294MC-proでの再撮影。Mamiyaのレンズとの組み合わせで、IC1396を狙います。前回はカメラの感度をgain120に設定していて、うまくいったのかどうかモヤモヤの結果でした。いただいたコメントで「gainは390がおすすめ」とアドバイスもあったのですが、それからいろいろ考えまして、今回はgain200としました。

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撮影の様子(北西方向の空)。1枚当たり4分露光。雲の通過も一切なく、みっちり2時間露光ができました。その間、蛙教教祖さんのAZ-GTiに載せた6cm鏡で夏から秋の様々な星雲星団を観望しつつ、話も弾んで楽しい時間を過ごしました。

次第に東の空が青みがかってきて、はっきりとした黄道光を見ることができました。まさに雲抜けのおかげで、これには感激でした。

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今回の成果

IC1396

Date; 7th. Sep. 2019

Location: Miyagi, Japan

Optics: Mamiya Apo-sekor 250mm F4.5

Camera: ASI294MC pro

Mount: Kenko SE2 witn PHD2 guinde

Exposure: 240sec. x 30 flames, gain 200 + 30sec. x 10 flames gain 200

Sensor Temp.: 0deg.

優しい皆様なら、「象の鼻」を中心に添えたかったという構図の意図は理解いただけると思いますが、それにしても間抜けになってしまいました。それ以外の部分は、満足しています。

今回の結果、実はフラットがなかなか合わずに苦労しました。おそらく原因はFITS形式とデジカメのRAW形式の違いからくるものであったろうと思っています。それについては後日まとめてアップしようと思っております。