天文はかせ幕下

土星のカラー撮影

バーダープラネタリウム製、31.7mmのLRGBフィルターと、ZWOのフィルターホイールを手に入れまして、ようやくモノクロカメラによる惑星のカラー合成ができる体制が整いました。昨年度の部費で、ASI174MMを導入して以来、一年越しです。

いまの時期、日没後にちょうど南の空に南中している土星を撮影しました。まずは結果から、

Saturn, 30th Sep. 2019

date: 30th Sep. 2019 19:30~19:40
location: Miyagi, Japan
optics: Meade Lx200 3048mm F10 with Kasai 2 x Ballo
camera: ASI-174MM, Gain 400,
Exposure: RGB: 20ms x 75% of 3000flames RRGBでカラー合成
Processing: Autostackkert!, Photoshop

土星の結果としては自己最高記録。

初めてのカラー合成

まず、今回の写真の作成手順を記録しておきます:

  • 撮影:LRGBそれぞれのフィルターで動画を撮影。L画像は5000フレーム、RGBはそれぞれ3000フレーム。8bitMONOのAVIで保存。
  • スタック:AutoStackkert!で各チャンネルを75%スタック。
  • カラー合成:ステライメージで各チャンネル画像を位置合わせしてから、Photoshopでさらに各チャンネルの土星の位置を微調整しつつ、カラー合成。
  • シャープ化処理:NikCollectionのOutputSharpnerでシャープ化処理。Photoshopでホワイトバランス調整、明るさ・コントラスト調整。

といった形です。いろいろとツッコミ所の多い処理過程なので、一つ一つについて言い訳して参りましょう。

  1. 撮影:まず困ったのが、干渉膜のフィルターを使っているのに、RGB各チャンネルのピント位置がだいぶんズレること。LとGのピントがだいたい合っている時、Rはわずかに、Bは結構大きくピンボケになります。この事態を恐れて、ZWOでなく、少々お高いバーダーのフィルターを選んだのに・・・。どうやら、バローレンズを使っている時はBがピンずれしやすいという情報もTwitter経由でいただき、これについてはもうちょっと検証の必要あり。なんにしても、各チャンネル毎にピントを調整する必要があり、今回の撮影ではBがピンボケになってしまった。
     また、RGに比べて、Bはかなり暗くなる。今回はRGBを全て同じ露光時間で撮影したが、Bだけは露光を伸ばす必要がありそう。
     とにかく、RGB撮影では、Bチャンネルが困ったちゃんであることがわかったので、次回はしっかりしたB画像を得ることを目標とする。
  2. スタック:LRGそれぞれのスタックは問題無し。Bチャンネルは暗過ぎて、まともにスタックできなかった・・。
  3. カラー合成:まずWINJUPOSによるRGB合成を試みたところ*1、惑星のフチに色ノイズが強く発生して、どうしようもなかった。これはBチャンネルの像の質が低かったせいかもしれない。いろいろ試したが改善しないので、しかたなくステライメージで位置合わせをして、Photoshopでカラー合成を行なった。また、Rチャンネルは他のチャンネルよりも鋭像にだったので、LをRで置き換えるRRGB合成で処理した。
  4. シャープ化処理:これもなぜRegistaxを使わないかというと、Photoshopで保存したtifがRegistaxで読み込めない場合があったので。Nikのシャープ化とRegistaxのウェーブレット処理、くらべてみるとそれほど顕著な差はないように思える。ウェーブレット処理では、各波長ごとに処理の強さとデノイズ・シャープを調整する必要があり、職人技的要素が強いが、その点、NikのOutputSharpnerはパラメータ数が少ないので楽。

 

 

 

*1:WINJUPOSによるLRGB合成については、

を参照。