天文はかせ幕下

スカイメモRは偉い赤道儀です

背景

卒業生のA君から貸与されているタカハシのFC-76屈折望遠鏡。彼はそれを会社の先輩から買い受けたそうな。しかしすぐに撮影に取りかかれない事情がありまして、A君はスカイメモR(以下S-mR)*1しか所有していないのです。

「僕が,次回のボーナスで赤道儀を買うまで,これを有効利用してもらえませんか?」

彼からそんなありがたい申し出があって、我々の部にはFC-76があるという話は,いぜん書きました*2

FC-76はレデューサー使用で焦点距離438mm,カメラとバンドを加えた重さは4.2kg強。一方,S-mRの公称の耐荷重は2.5kg*3しかありません。普通に考えたら載りません。しかし顧問の経験では,これまでS-mRに裏切られたことはなく,いつも期待以上の性能で答えてくれました。

ひょっとしたらガイドしてくれるのでは?そうすればAくんも新しい赤道儀を購入する必要もなく、代わりに欲しかったDC-S1Rも買えるというものです。

スカイメモRのポテンシャル

顧問のこれまでの実績では,f=250mmくらいのレンズならノータッチガイドで3分は余裕でした。

さらなる長焦点についても前例はあります。たとえば,RNA氏は強度的にはRに劣ると思われるスカイメモSにf=480mmの鏡筒を載せて,6分5分の露光でも星を点像に納めています(!)。下記サイトをご覧いただくと,ポタ赤で撮影したとは到底信じられないようなDeepSky写真をごらんいただけます:

それなら,過積載とは言えS-mRにFC-76ガイドも十分可能でしょう。

スカイメモRで一軸オートガイド

とはいえ、さすがにノータッチガイドは厳しいと予想されます。ちなみにS-mRにはオートガイド端子はついていません*4。そこでヤフオクを利用しました。以前、NJP赤道儀でオートガイドを行う際にお世話になった方*5が、S-mRで一軸ガイドを行うためのアダプタを出品してくれています。今回はこれを即購入して使用しました。

機材のセットアップはこんな感じです

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三脚はslik professional design-iiで、これは台座にコルクが貼っていないのが利点で、もっぱらSm-R用に使っています。その上にKyoeiの低重心ガイドマウントを介して、S-mRを取り付けています。極軸合わせは、Sm-Rの極望をつかってマニュアルで合わせており、ドリフトアラインメントやpoleMasterは使ってません。ガイド鏡は親子亀式で、カメラはSigmaFpです。

結果

先日、よく晴れましたので月光の下、庭先でテストを行いました。ほぼ完全な無風で、シンチレーションも冬場にしてはいい方でした。

ガイドグラフはこんな感じ、

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うん、赤緯はあさっての方向に行ってしまいますが、ガイド自体は良い感じです。対象はオリオン大星雲で、3分露光を7枚撮影しました。そのうちの6枚を、ピクセル等倍で並べて見ます:

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完璧とまでは言えませんが、これくらいのガイドエラーならコンポジット後には真円になるでしょう。

終わりに

というわけで、スカイメモRはfc-76+reducer+フルサイズの組み合わせを余裕でガイドしてくれました。

最後に、18分露光の最終結果を。

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Date: Feb.12th, 2020
Location: Natori, Miyagi, Japan
Optics: Takahashi FC76 
camera: Sigma Fp
mount: Kenko SkyMemo with PHD2 guiding
Exposure:ISO1600, a stack of 6flames x 180 sec.

庭先撮影にしては、なかなか仕上がりました。Aくん、新しい赤道儀買わなくても良いかもです。

*1:顧問が購入を勧めた

*2:元旦は、神割崎からスタート! - 天文はかせ序二段(仮)

*3:下記サイトを参照www.kenko-tokina.co.jp

*4:スカイメモSにはオートガイド端子あります

*5:https://auctions.yahoo.co.jp/seller/good300speed