天文はかせ幕下

観測機材

追尾速度と大気差:40年前の天文ガイド掲載の謎グラフをめぐる議論

事の起こり 以下の概要: 大気差とは 大気差があると星が動く速度が変わる(直感的説明) 修正版「追尾速度図」 天頂でも星の移動が遅くなる理由(20240717 追記) 大気差が追尾速度に与える影響(ガチ計算) 事の起こり ある日のこと。星沼会のSWATユーザー…

f=250mm付近激戦区レンズ。星像対決の巻(20241005追記)

後日追記:このエントリ、ピクセル等倍マニアの皆さんから反響いただき、画像を提供いただいています。今後、比較する光学系を増やして随時更新しますので、チェックしてみてください。-Sigma 300mmF4 apo tele macroのデータを追加しました(2022/5/31)-Aska…

なぜ光軸が合わないのだろうか? Takahashi ε-200を例に

概要 センタリングチューブとセンタリングアイピースを使ったニュートン式反射の光軸調整について基本を確認しつつ、単純に斜鏡と主鏡のマークを中央に合わせただけでは光軸が正しくならないケースについて、顧問の経験をもとに2つの場合を考えます。一方は…

EOS6Dを追加購入して、アンタレス付近をモザイクしました

天体写真用のカメラ、ここ数年の間、ZWOやQHYCCDの冷却CMOSカメラが主流になりつつあります。その性能は素晴らしく、「冷やし中華」なんて皮肉った呼び方もほとんど耳にしなくなりました。 そんな潮流に反して、あえて国産の一眼レフCanonEOS6Dを追加入手し…

寒波の神割崎で、カタツムリ星雲

お正月明け1月9日の神割崎遠征について思い出しながら書いておきたいと思います。 新月期は撮影に専念して、満月期にブログを更新する方がイロイロと良いのじゃないかなと思い始めています。天リフにピックアップされる確率も上がるのではないか知らん。 確…

Sigma 70mm DG Macro Art で天体写真を撮影してみた

先日、ならは町の木戸ダム遠征では、Sigma の70mmF2.8 DG Macro | Art レンズをお借りして使用する機会がありました。今回はそのレビューをしたいと思います マクロレンズは被写体に近づいて撮影する目的で開発されているレンズです。もともと結像性能が良く…

木星と土星の最接近(新兵器準備編)

21日の木星と土星の大接近。みかけで0.1度まで近づくのは400年ぶりとか800年ぶりなとどと言われております。貴重なイベントに際して,どういう写真を撮るのが一番楽しいかと考えてみますと,これはなかなか難しい問題です。 といいますのは今回の大…

令和2年11月快晴

休日前 新月期 快晴。これらの条件が全て揃うのはどれほどの確率でしょうか? 計算はそんなに難しくありません:日本の平均快晴率が年間28日。年間休日数が120日。新月±5日とすると, つまり年間で2〜3日です。 なので,11月14日(土)の夜を「令和…

ε200+フルサイズカメラでSoul星雲

11日の神割崎遠征、1年生たちは思い思いに観望していました、その一部始終は https://www.youtube.com/watch?v=H9wobEEG_W4&t=12s をご覧ください(改めて宣伝)。 いっぽう顧問は、Soul星雲(IC1848)と、オリオン座+C/2020 M3の星野写真を撮っていました…

11"RASAの星像とフラット補正、あとRASAの雑感

撮影計画は不発 昨日の火曜日の夜、かなりの確率で晴れそうであると見込んで、4年生部員7名を連れてやくらいガーデンへ行ってきました。来月末の学園祭のための写真撮影が目的です。かのーぷす氏とそーなのかー氏も合流し、平日の楽しい観測会になる予定でし…

ε200とその補正レンズのバックフォーカス

前置き 今からもう、5年近くも前の話。私の前任の天文部顧問、「スズカツ」の研究室から埃をかぶったタカハシのε200が発掘されたという出来事がありました。 おそらく20年近くは眠っていたのでしょう。いくつかの接続環が紛失していて、そのままではカメ…

ε-200の光軸調整と、斜鏡のオフセットのこと

週末もしばらく曇り空が続く予報がでている。昨日、宮城県では山背(やませ)に伴う気温の低下もあって、こうなると天体観測もしばらく休業が続きます。 機材いじりくらいしかすることないな。 最近遠征先で知り合った方が、VixenのR200SSの光軸調整のことを…

電子観望用の望遠鏡と、そのファーストライト

今回の記事は、以前 にてアナウンスをしておりました件です。今年度、我々の部は財団からの助成金をいただくことができまして、市民向けの電子観望会を宮城県周辺で開催する体制を整えようというわけです。先日、それ用の望遠鏡が届きました。 大きい!と言…

mamiya apo-sekor 250mmのツインシステム

しばらく前から準備していたAPO-sekor 250mmのツインシステムを組み上げるました。これによって,撮影枚数を2倍にし画像のノイズを1/√2,およそ30%小さくすることができると。それだけのために,勤務時間後にしばしば工場で制作をしておりました。 もう…

高級アリガタプレート(Vixen規格)

本校にて作製しました,純金製の高級アリガタプレートになります。金特有の優れた振動特性,および撮影システムの重心を低くする効果によって,お使いの撮影システムのガイドを飛躍的に安定させる効果が期待できます(時価1200万円) 男性向きの趣味の世…

Nikkor 85mm F2で天体写真(再び)

昨年の8月ごろ,ヤフオクにて安く入手した表題のオールドニッコールレンズを紹介しました。そこで引用したブログからの受け売りですが,Xenotar型と呼ばれるタイプのレンズ設計が,安価ながらも非点収差や歪曲収差をよく補正していて,天体撮影に向いている…

Mamiya-EOSマウントアダプタに問題

すっかり気に入ってしまった,MamiyaのApo-Sekorレンズ。現在は Apo-Sekor 250mm F4.5 Apo-Sekor 500mm F6 の2台で撮影しています。ところがここにきて中〜大くらいの問題が発覚しました。冬場にはいって,なぜか250mmレンズの無限遠にピントが出たり出なか…

Mamaya Apo-sekor 500mmのファーストライト

「来年のお正月は新月が重なっていますから、一度撮影にまいりませう」 年末から天文部OBのアベくんとの約束があって、5日の夜に神割崎に撮影に行って来ました。顧問の私は、昨年末にボーナスで追加購入していたMamiyaのApo-sekor 500mmのファーストライト、…

脱・マンネリ構図

カメラレンズを使った撮影では、鏡筒バンドではなしに三脚座をつかって,赤道儀にカメラを取り付けます。そうすると自然に、画像の短軸が北側になるわけです。天体写真には「北が上」というの暗黙ルールがあるので、写真がいつも縦構図になってしまいます。…

NJP赤道儀:赤緯軸のベルトドライブ改造(DIY)

前置き この試みは、いま(2018/11/27)のところ失敗していますので、興味のない方はお読み飛ばしください 赤緯方向のガイドが安定しない理由 われわれのNJP赤道儀は、PD5-XYコントローラとギアモーターで駆動されている未改造のオリジナル品です。その2軸…

新機材でM74を撮影

DSOを撮りたい 天体写真のブログやFaceBookなどを拝見していると、135mm〜400mmくらいの焦点距離での撮影の方が、多数派になるのかなと感じます。たとえば満月の撮影なら写野に対する月の大きさが、国旗の日の丸よりもひとまわり小さく映るかなという、その…

秋の新機材まつり

潤沢なる年 年間5万円ほどの部費で細々と運営されている本校の天文部。2018年度はしかし、例年に無く予算が潤沢でした。 まずプラネタリウム班では、彼らのプロジェクトが「西松建設」という近隣企業からの助成金事業に採択されて、目下、数十万円をかけて本…

LeeソフトフィルターのEOSクリップ自作

星景写真用に,LEEのソフトフィルターを買いました。 このフィルターは、10cm角のピラピラのフィルムになっています。専用のフォルダーを用いて,レンズの前に固定するのが本来の使い方。これに対してよく行われるのは,フィルムをハサミで小さく切り取って…

Mamiya APO-Sekor 250mm :撮影機材くみたて

9月の初めのこと。 顧問は睡眠中に"APO Sekor 250mm F4.5"というカメラレンズをヤフオクで買う夢を見て、目がさめると同じレンズが机の上に置いてあった。摩訶不思議の力で夢が現出したのか?それともレム睡眠行動障害なのか? とまれ、レンズは手元にあるの…

新しい250mmレンズ

昨年の冬頃から、nikonの古いサンニッパレンズをつかって撮影を繰り返してきました。 ぎょしゃ座、IC405 - カモメ星雲など - Nikkor 300mm F2.8 ED と M16わし星雲 - 8月、網状星雲 - 焦点距離300mmとAPS-Cの組み合わせは使いやすくて、まだまだ撮影した…

Xenotarレンズで天体写真

以前、「ぷくぷくのブログ」にて という記事を読みました。曰く、Xenotar型と呼ばれる構成を持つレンズが、安価な割に星の撮影には良いとのことです。もっとも力を発揮するのが100mm前後。 例えばNikkor 85mm F2はXenotar型です。これは、ヤフオクに安定的に…

3代目NJP箱(タカハシNJP赤道儀用の箱)

沿革 NJP箱(1代目) そこらに転がっていた廃材を集めて3年前に作製しました。 こんなものでした(右側)。しかしこれはサイズが70cm四方もあってスペースとるために使い勝手が悪く、やがて解体。バーベキューの薪へ消えて行きました。 NJPスタンド(2代…

Nikkor 300mm レンズの色収差のこと

前口上 28年前、平成2年。天文部が購入したNikkor 300mm F2.8については、これまで何度か紹介してきました。当時の高級レンズも、最近のデジカメで天体撮影に使用するにあたっては、どうしても強い色収差が目立ってしまいます。それは、写野の中心から放…

バローレンズを導入

倍率が足りないのです ZWOのCMOSカメラ(ASI174MM)に、全部費をつぎ込んでしまったこともあって、ここ最近は、それを使った惑星の撮影を熱心にやっております。 このカメラのセンサーサイズは1/1.2"型と呼ばれるもので、その対角長は13.4mm。LX200と組み合わ…

火星接近への準備など その2

部の道具箱を漁っていたら、こんなのが見つかりました。 フィルターボックスです。どこの製品なのかわかりませんが、なんとなくタカハシっぽい堅牢な作りで、M52くらいのフィルターを挟み込めるようになっています。一面にはM44、もう一面にはM42の雄ねじが…