天文はかせ幕下

雲から逃げて

どうもアベです。すずりょう、顧問も報告していた通り、12月20日に観測に行ってきました。

私は先日狙ったプレアデス星団に狙いを定め撮影しましたので報告します。

 

前日譚

――――― 今夜行きませんか。

顧問から、突然のお誘いです。いつもそうです。快晴の空を狙わなければならないので仕方ないでしょう。常に自然との闘いなのだ!

しかし今日は天気が悪い。

――――― 今日はダメそうですね。やめましょうか。

顧問も諦めたようで何回かのやり取りの後に中止のメールが届きます。

――――― いやあ、残念ですね。

なんて返信を送ろうとした刹那、間髪入れずに再びメールが届きます。

 

――――― でも最近予報外れることあるし、ダメ元で行って見ますか。

 

げ、これは悪い予感がする。顧問はこういった運は誰よりも悪い。そして私は雲男です。

はやま湖についてみると、晴れています。

しかし、撮影の準備にもたついているうちにあっという間に曇り空に……

ということで、この日は全くの坊主に終わってしまいます。

まったく、高速道路に乗る前に

「ラーメン食べて帰るだけになったら悲惨だな、アハハハハハ」

なんて言って、伏線を張ったのがいけなかったのでしょうか。

それとも私が雲男故でしょうか。これは天文部破門も秒読みです。

日を改めて。

失敗に終わった4日後、再び晴れのチャンスが到来します。

ところがはやま湖には雲のかかる可能性が大です。

 南下すればチャンスはありそう、顧問の事前のリサーチにより観測地が福島県常磐富岡IC付近に決定されます。

道中、いつものサービスエリアに寄り夕食を取ります。

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サービスエリアでSCW(局地予報)を確認する顧問。
さながらスターバックスにいるようです。

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SCWを見て絶望する顧問。みたか雲男の力を!

サービスエリアでSCWを見ると予報が悪化しています。顧問はこれを見てうなだれています。しかし諦める訳にはいきません。ここで引き返しては顧問が浮かばれません。

我々は引き返して温泉に入れないか、横で呑気に健康ランドを探します。諦めモード半分です。

 

まだ望みは完全に断たれたわけではありません。曇に逃れるために更に南下を続けます。まずは第一候補、常磐富岡IC付近の空き地を目指します。

が、空き地は悲しくもメガソーラーになっております。

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ということで急遽更に山に入り込み第二候補へと向かいます。

そしてようやく。

 色々とありましたが、第二候補は最高の立地にありました。

そして前回失敗に終わったプレアデス星団を再び狙います。

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プレアデス星団, Canon EOS70D
F4.0, ISO800, Light : 420 sec ×9枚=63 min
Dark : 9枚
Flat : 11枚
DarkFlat : 11枚
DSSにてコンポジット処理>GIMPにてレベル補正, カラーバランス補正, コントラスト・輝度補正

 GIMPにしては、画像処理が結構うまく行ったのではないのでしょうか。DPPでのノイズ軽減処理は行っておりません。ていうか、あまりノイズが気になりませんね。

 

ざっくりとした画像処理方法

今回、Pleiades星団の画像処理をしたのですが、最近GIMPでの画像処理方法がある程度定まってきたように思えます。画像処理方法としては以下に記しておこうと思う次第です。

まず、DSSにてコンポジット処理を行います。この辺については顧問がDSSのコンポジット処理法について軽く触れている記事があったかと思います。

出力されたTif画像はGIMP2.9にて処理します。

軽くレベル補正を行った後にトーンカーブを用いて全力で画像を引き上げます。こうすることで、通常の処理では姿を現さない分子雲の影が浮かび上がります。

これら分子雲を画像が崩壊しないように注意しながら強調するのがゴール地点でしょう。鍛錬が足りないのでしょう、全てを美しく強調することはできませんでした。

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画像処理においてはまず初めにレベル補正にて星雲、分子雲をある程度強調します。或る程度です。やり過ぎると星像が大きくなりすぎて精神衛生上よろしくありません。

星像の大きさは高輝度側のスライダーを弄ることで大きく変化します。ですので高輝度側はあまり下げない方がいいようです。他の2つはさほど影響ないので思う存分調整します。

その後はカラーバランスを調整し、色相、彩度、輝度、明るさ、コントラストを調整し、最も強調がうまく行くような処理経路を探します。

彩度>輝度>コントラスト の時もあれば、

彩度>コントラスト>輝度 の時もあり、その辺の処理経路は撮影毎にまちまちな気がします。もっとも、正確に処理の過程を記録していないので曖昧ですが。

この辺の処理が終わったら再びレベル補正を行います。このとき調整画面の中段にある出力のところを調整するといいようです。

その後、トーンカーブで更に調整を加えます。画像をクリックすると、その箇所に対応した輝度(x軸)が表示されます。これを参考に強調します。

今回は、周辺減光による影響を少しでも抑制するために、周辺減光部のスペクトルを探し敢えて強調するような処理をしました。その結果、さほど違和感なく中心部とその周囲の分子雲を強調出来たような気がします。

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また、カラーバランスの調整についてですが、基本的にはシャドウ中間調を弄るといいようです。ハイライトは星像の部分が大半であり、調整しても大きな変化は見られないと思います。

例としては、シャドウの“シアン”、“マゼンタ”、“イエロー”をそれぞれ+10程度

中間調はそれぞれ-10にするといい感じになったような気がします。

ただ、この値はあくまで参考です。しかし、値を変更する際は基本的には“シアン”、“マゼンタ”、“イエロー”それぞれを同じ量だけ変更しないとカラーバランスがおかしくなります。基本的には同じ量だけ変更してから、カラーバランスの微調整の為に少し値をずらしてみるといいでしょう。

 

とまあ、私が現在GIMPを用いて画像処理をする際のセオリーがこんな感じとなっております。以上、参考までに。

もし、こうした方がいいよというのがあれば教えてください。

最後に

今回の撮影をもって、今年の撮影は終わりです。いわゆる撮り納めです。

今年も沢山観測に行けて幸せであります。

合宿や観測で、毎度毎度眠い中、車を出してくださった顧問。ありがとうございます。

来年もよろしくお願いします!!!

お願いします!(大事なので2回言います。)