天文はかせ幕下

ASI294MC-pro でのNGC6888の再処理

前置き

8月25日のやくらいガーデンでのファーストライト。gainと露光時間の設定が適切ではなかったようで。撮って出しのFITS画像があまりに暗くて、後の画像処理がうまくいかなかったというお話を報告しておりました:

この結果に対して、コメントにてアドバイスを頂きました。要は、ASIのCMOSカメラはLRN条件にて短時間露光・多数枚を撮影して初めてデジカメと比較した利点が発揮されるのであると。

LRNとはLow Read Noiseの略であって、上記の条件はもっともRead Noiseが小さくなる条件のこと。それがGain=390に当たるのだそうです*1。一方、我々が25日の夜に設定したときは、gain=120。これはHDR(Highest Dynamic Range)条件に当たるもので、つまりはダイナミックレンジがもっとも広い条件でした。

そのごインターネットを徘徊し、おなじカメラを利用している方々の条件をカンニングして見ました。すると先日のコメントのようにLRNでt撮影されている方以外にも、HDRで撮影されているかた、その中間くらいで撮影されている方と三者三様で、それぞれ良い結果を出してらっしゃいます。そんな中、ぼちぼち星空眺めましょのタカsi氏は、先日の我々とおなじgain=120の3分露光ですばらしいアンドロメダをアップされてました。処理について尋ねて見ると、前処理はすべてステライメージ(SI)で完結しているとのことでした。

再処理について

タカsi氏の処理を参考にして、先日の画像の再処理をしました。順序としては

  1. [SI]FITSファイルを読み込み、フラット補正、ダーク・バイアス減算を行う*2
  2. [SI]RGGBのベイヤーパターンを指定して、カラー化
  3. [SI]加算平均でコンポジット。
  4. [SI]レベル補正
  5. [SI]デジタル現像して16bitのtiffで出力
  6. [PS]後処理とお化粧

というもの*3。ここで自分的に重要だったのは4.のレベル補正です。といいますのも、コンポジット後の画像はヒストグラムのピークがひだり側1/20程度と非常に暗いために、かなり強烈なレベル補正を行って、ピーク値を1/3から1/2くらいまで強調しています(以前の処理では、ここのところがすこし弱気で、強調が足らなかったのかもしれません。)。もちろん、この操作で星は真っ白に飽和してしまうので、デジタル現像をかけるわけです(が、それでもかなり肥大した星像になってしまうのが苦しいところ)。

そのあと、PSで星をシャープにしたり、さらに強引な協調を行ったりして得られた画像が次のものです;

Crescent Nebula

date: Aug. 25th, 2019
location: Miyagi, Japan
optics: RASA 11''
camera: ASI-294Mc pro
mount: Takahashi NJP, MGEN
Exposure:gain120, brightness 20, 180sec. x 40flames
sensor temp.:0 deg.

以前の結果、

f:id:snct-astro:20190827224412j:plain

と比べれば、所々がよくなって入るものの、まだデジカメの方が良い結果になったんじゃないかなーという感覚が拭えません。特に星が肥大して、また一部は色がマゼンダに傾いてしまっているのが大いに不満。まだ294MCの性能を利用しきれていないのでしょうか。

週末晴れれば、すかさずセカンドライトでLRN条件など、いろいろ試したいところですが、しばらくはそれも難しそうなお天気です。

 

 

*1:ちなみにRead noiseとは、ダークノイズとバイアスノイズを一緒くたにしたものであると理解している。

*2:ついでにホット・クールピクセル補正も行ったが、この中身やパラメータ調整についてはまだ理解していない

*3:いっぽう、これまでの方法は

  1. [DSS]ディベイヤー処理しつつ、フラット補正、ダーク・バイアス減算を行う。
  2. [DSS]コンポジットして、16bitのtiffで出力
  3. [SI]レベル補正
  4. [SI]デジタル現像
  5. [PS]後処理とお化粧

でした。どうもDSSのカラー化は、元ファイルがFitsでもRAWでも、色の損失が多いのだろうか?