前置き
撮影した天体写真に座標や星座線,メシエ天体名などを書き込みたくなることはよくあって,いままでは手動でやっておりました。顧問は手動が好きなんです。
そういった「星図書き込み」を自動でやってくれる"AnnotateImage"という機能がpixinsightに収録されていることを,nabeさんのブログ
https://starphotographing.blog.fc2.com/tb.php/94-bf91c7bc
で知りました。でもって試してみますと確かに簡単にこんな画像
が作れてしまいます。楽しいではないですか。
ところが思い通りにいかないこともよくありまして,と言いますのもその前処理としておこなう"ImageSolver"*1が,広角の写真では失敗することが多いんです。書籍"Inside Pixinsight"を読みますと,
「400mm未満の焦点距離では,"ImageSolver"はたまに失敗することもあるので,そういう時は"Manual ImageSolver"をつかえ。」
とあります。やってみましょう。顧問はマニュアルが好きなんです。
"Manual ImageSolver"を使った星図書き込み
以前撮影した,下の「写真」に星図を書き込んでみましょう。APS-Cで10mmの広角です。周辺が思い切り歪んでいるので,"ImageSolver"ではまずうまくいきません。
おおまかには
- "Catalog star generator"で「写真」に対応する星画像を生成する。
- Dynamic Alignmentで,「写真」と「星画像」を手動でアラインメントする。
- 「星画像」のデータを参考にして,"Manual Image Solver"で「写真」をプレートソルブする。
- "AnnotateImage"で「写真」に星表を書き込む
という手順になります。順を追ってみていきましょう。まずは"Catalog star generator"を起動します。
下はパラメータの入力画面です。
まず「写真」の中心座標を指定します。この「写真」の中央あたりにはM101があるので,"search"をクリックしてM101と入力してOKを押せば座標が入力されます。あとカメラの解像度とピクセルサイズ,焦点距離も入力します。これらの値は大雑把で構いません。星表のカタログ名を選ぶところは,HipparcosとかBrightStarで良いと思います。Maximum magnitudeも適当に選んでOKをクリックすると,しばらくして下のような「星画像」が出力されます。
もし真っ黒な画像であったら,ScreenTransferFunctionで自動ストレッチをすればよいでしょう。
「写真」と「星画像」が開いている状態で,"Dynamic Alignment(DA)"を起動します。
まずアライメントする2枚の画像を指定します。下のように,"DA"がアクティブな状態で,カーソルを画像の上に持って来ると,マウスカーソルが「1」に変化するので,その状態で「星画像」をクリック。次はカーソルが「2」になるので,その状態で「写真」をクリックします。これで指定は終わりです
次に手動アラインメントをします。「星画像」の目立つ星をクリックすると,星が認識され,"DA"の左側にアップで映し出されます。それに対応して「写真」にも緑のX印が表示されます。
うえでは北斗七星のDubheとAlkaidを選択しています。「写真」側では緑のX印が,かなりズレたところに表示されるので,ドラッグして正しい位置に導いてあげます。"DA"は星を指定していくと順次計算をおこなうようで,3つも指定すれば,「写真」の正しい位置にX印が表示されるようになります。 なるべくたくさん行うと,良い結果になるようです。
ある程度指定したら、緑のチェックマークをクリックして実行した後、下のように"DA"の三角マークを作業画面上にドラッグドロップして,”instance”を作っておきます。
もう作業はだいたい終わりです。さいごに"Manual Image solver"を起動します。
したのウインドウが出てくるので,Control points iconに”DA”のインスタンス,Reference imageに「星画像」を指定します。広角写真の場合は”Distortion correction”にチェックを入れておくと良いです。
OKを押せばプレートソルブが実行されます。あとは"annoteteImege"を「写真」に対して行えば,
こんな風に星図が上書きされます。お疲れ様でした。
PSで地上風景にマスクをかけると,かっこよくなりますね。,
*1:プレートソルビングのこと