画像処理の技術はともかくとして、写真をみる目だけは年々肥えつづけているなあ、と感じます。数年前にとても満足していた完成画像も、今になって省みると歯牙にもかからない出来に見えてしまうのです。
この「肥えた目」が、天体写真撮影の趣味に数年間没入し、twitterやfacebook, astrobinなどにアップされる他者の写真と自分の写真を、毎日血眼で比較
「嗚呼ダミだ。俺は何をしているのか?」
と悩み続けた結果として得られたのだとすれば、はたして自分の写真は普通の人にはどのように見えているのだろうか? これは、気になるところです
顧問の場合は簡単で、妻に写真を見せて感想を求めれば判明します。例えば、先日に蔵王にて撮影した「バンビの首飾り」 です。
「自信作だ!」と悦に入っていたこの写真、数日経ったらもう気に入らない感じになり、頑張って再処理しました。その結果がコチラです:
うん!圧倒的に良くなったよね!と、妻に両者を見せて意見を求めたところ。
「何が違うの?」
「え、この真ん中の星雲の透明感とか、赤い星雲の出方とかちがうでしょう?」
「はあーなるほど、確かにこっちの方が綺麗かも」
といって妻が指さしたのは、再処理前の画像でした。ぐぬぬ・・
細部を比較
見て分からぬと申すなら、ピクセル等倍で切り出して細部を比較して説明しますよ。まず中心部のバンビの首飾り。処理前はこう。
それが再処理後はこうなりました
赤い星雲に重なっている青いガスがより分離して見えているでしょう。これによって「透明感」が生まれるのですよ。
次に写真右下部分、暗黒帯と赤のコントラストも見てください。処理前はこうでした:
それが再処理後はこう:
赤が豊かになりました。これによって青い星や暗黒帯のコントラストも明確になるのですよ。微光星がブチブチになっているのは仕方がないのですよ。
そして、写真は細部も見なければなりません。写真右上のスタークラウドの部分。再処理前はこうでした
それが再処理後はこうです。
処理前はカブリ補正が正しくなく、星の背景が黒潰れしてしまっていたのですよ。再処理後はこれを修正することで、星間に淡く広がっている分子雲も見えるようになったのです。
いかがでしたか?
これでみなさんも,再処理後の写真の方が出来がよく見えるようになったと思います。それではまた。
くもじいじゃ。美しさを理屈で説明する姿が醜いの。