休日前 新月期 快晴。これらの条件が全て揃うのはどれほどの確率でしょうか?
計算はそんなに難しくありません:日本の平均快晴率が年間28日。年間休日数が120日。新月±5日とすると,
つまり年間で2〜3日です。
なので,11月14日(土)の夜を「令和2年11月快晴」と名付けたい。
この夜,列島は移動性高気圧に覆われ,日本中の天文ファンが群れをなして露光をしました。国内で夜空に向けられたCMOS/CCDの総センサー面積は,A4用紙1枚分に達したとか*1(?)。
もちろん撮影に行って参りました。
完璧な夜の予感じゃ pic.twitter.com/OSNpi3dqvP
— nagahiro (@pochomskii) 2020年11月14日
行きがけのガソリンスタンドにてツイート。気合の観測報告ですございます。
N氏の機材と撮影スタイル
行き先はいつもの神割崎。いつもの「そーなのかー氏」「カノープス氏」と。
でも今回は、最近我々の星仲間に入ってくれ撮影をご一緒したN氏について書きたいなと思うのです。まずは撮影機材をご紹介。EM-400とCCA-250です(!)
本物は初めてみました。これに冷却CCD+AOガイドで撮影されてました。
明け方の写真です。AOってActive Opticsというのですね(知りませんでした)。オフアキで捉えた星像の動きがAOにフィードバックされ、なかのガラス板が「プルプルプルーーッ」と振動してガイドするのだそうです。なんと変態的な。。。この夜、N氏はM78のわずか南にあるモンスターのような形をした分子雲の塊を冷却CCDで撮影されてました。
撮影中に見学させてもらいいろいろ教えていただきました。電源確保の周到さ、乾燥空気の利用法、LRGB撮影の段取り、ガイド精度、撮影中のフォーカスの判断など、すべて我々より1段も2段も、高度な撮影をされていました。天ガで最優秀を複数回とる方は一味違うなあと、勉強になりました。さて、
結果報告
顧問はRASA11"+294MC-proで「M52とバブル星雲」「NGC1333」、そしてApo-Sonner+EOS6Dのほったらかしでカリフォルニア星雲の周辺を撮影していました。RASAの撮影はそれぞれ3時間、Apo-sonnerは5時間以上露光できました。休日前の晴天はありがたい。撮影中に、みなさんとビールを乾杯したり、カップラーメンをすすったりと楽しめました。
バブル星雲とNGC1333
M52 and NGC7635
Date: 2020-11-14 20:13~23:19(JST)
Camera: ASI294MC-pro
Optics: Celestron RASA 11", heuibII filter
Mount: iOptron CEM70G
Exposure: 240sec x 47 flames (gain 120)
まずはバブル星雲とM52を。自分的にはとってもお気に入りの一枚になりました。星雲の炙り出しはそこそこながら、色表現がうまくできたと思っています。青とオレンジの星、周辺の散光星雲も赤・オレンジ・マゼンダとそれぞれ違って楽しい領域です。斜めに横たわる暗黒帯のアクセントも魅力的です。これ横構図にしたらもっとよかったかもなあと、少し後悔。
NGC1333
Date: 2020-11-15
1:20~4:15(JST)
Camera: ASI294MC-pro
Optics: Celestron RASA 11", heuibII filter
Mount: iOptron CEM70G
Exposure: 240sec x 52flames(gain 120)
つづいて、縮麺ノイズに苦しんだNGC1333です。自分の画像処理、いつも全体の輝度が暗めなのかなーと、他の皆さんの画像と比較してよく思います。このNGC1333も、もっと輝度をあげてヒストグラムを太らせてしまう処理もアリかもしれません。ですが今回は、全体を暗くしておいtれ、その分彩度を強調する作戦にしました。いろんな星の色と、中心の分子雲の中で炭火でも燃えているような感じを出せたと思います。
カリフォルニア星雲の長時間露光は大気光に邪魔されて
この夜は大気光が強かったと、Twitterでフォローしている柊二さん(撮影をご一緒してました)が指摘されてました。ほったらかしで3分x120枚も撮影していたカリフォルニア星雲の画像を見返してみましたら、確かにその通りでした。
14日の5時間半露光のgif。東->天頂->西とカメラが動いているわけだけれど,前半と終盤に写っているモヤモヤは薄雲でなくて,大気光だと思う。分子雲出すにはけっこう影響ありそう pic.twitter.com/EYj0p4YUGj
— nagahiro (@pochomskii) 2020年11月19日
結局前後合計で30枚=90分のフレームを捨てました。もったいない。
この撮影結果は別の記事でご紹介します(ブログのネタがなくなってしまうので)