天文はかせ幕下

sigma Fp, 天体写真を中心に一年使って改めてレビュー

顧問はSigma Fpなるカメラを購入。日常と天体撮影の両方に使ってきました。それから一年余。このブログをご覧いただき「天体撮影用にSigmaFpの購入を検討中です」というコメントもいただいておりますので、ここらへんでもう一度、sigmaFpを1年間使った感想を簡単にまとめたいと思います。

購入時のレビューはこちらです。

上のエントリの内容をまとめますと

  1. 無改造でもHaの感度は結構ある(改造カメラの60%ほど)
  2. 高感度は、ISO3200~6400くらいはノイズが気にならずに使用できる
  3. マウントアダプタの性能は問題なし。
  4. タイマー付きレリーズがないので自作の必要あり
  5. 液晶画面は撮影中offにできない。

といったところ(註:2019年11月現在にて)

(2022年1月追記:上の4.についてSigma Panasonic一眼レフ用のタイマーレリーズがΦ2.5-3.5変換アダプタを介してSigmaFpLに使用可能とのこと

また、撮影中の液晶画面は2021年のファームウェアアップデートによってoffに設定することが可能になっています。)

3.については1年が経過した現在もSigmaFpに対応するタイマーレリーズは販売されていません。いっぽうPCからSigmaFpをコントロールできる"SIGMA Camera Control SDK"というのは昨年7月に公開され、これを使えばUSB接続でカメラコントロールが可能になったようです。しかしこれはあくまで開発者向けのソフトウェアで、顧問が試したみたところワケがわからず、これを使ってタイマー付きレリーズの機能を実現するのは素人には無理に感じました。

5.については、ファームウェアアップデートで撮影中offが可能になるかもという噂はあったのですが、いまだに実装されていないようです。そういうわけでカメラを取り巻く環境は、1年前とそれほど変わっていません。

そういった状況ですが、顧問がこれまでこのSigmaFpを使って撮影した天体写真を全て並べておきます。

Coma Berenices

Horsehead, M78 and Barnard's Loop

Orion with night glow

Comet/2020 M3(atlas) on 11th. Nov

Comet NEOWISE on 19t July

The milkyway - from Sagittarius to Cygnus

IC4592 The Blue Horsehead Nebula

 使用したレンズやマウントは、写真のリンク先に記載しています。

6Dとの直接比較

EOS6Dは随分前のカメラですが、いまだに人気で、天体写真では根強く使われています。その性能の良さについては、改めて述べるまでもなさそうです。実は、うえに紹介した写真のうち、馬頭星雲からM78にかけての星野写真は、SigmaFpと改造EOS6Dにそれぞれ同じレンズをつけて撮影したものです。

そのときのデータをつかって、この二つの直接比較をしてみます。下の1枚目は改造EOS6D、2枚目はSigmaFpになります

f:id:snct-astro:20210218230800p:plain

f:id:snct-astro:20210218230806p:plain

どちらもISO1600の5分露光です。これといって大きな差は内容ですが、カラーノイズは6DよりもFpの方が小さいです。さらに拡大するとホットピクセルが見えてきて、その数はFpの方が多かったです(というか6Dにはホットピクセルがまるで見当たらない)またヒストグラムの平均値は6Dが114に対して、Fpは100でした。これはFpのほうがダイナミックレンジが広いと解釈できるのか、それとも改造されている6Dのほうが感度の波長域が広いためなのか、どう解釈したらよいのかははっきりしません。

キットレンズ45mm DG DNの天体適正

コメントで質問いただきましたので、45mm F2.8 DG DNで星を撮った場合の中心像、周辺像をみていきましょう。自宅庭での撮影のため、カブリが酷く星が少ないのはご容赦ください。絞り開放のF2.8からF4までです。

f:id:snct-astro:20210218231834p:plain

f:id:snct-astro:20210218231929p:plain

f:id:snct-astro:20210218232104p:plain

f:id:snct-astro:20210218232117p:plain

うーん。星像は周辺で大きなコマ。絞っても改善しません。周辺減光もそれなりにです。45mmDGDNは「オールドレンズ的な味わい」が開発コンセプトにあったよう(?)なので、これは仕方ない結果かもしれません。星の撮影を目的にSigmaFpを購入するなら、キットで購入せず、べつのArtレンズを買った方が良さそうです。

サムネ用

f:id:snct-astro:20200415222604j:plain