天文はかせ幕下

(いまさら?)Photoshopでソフトフィルター効果

前置き

PSでソフトフィルター効果...。ちょっと今更感があるこのテーマについて記事を書きましたのは、以下の記事

がきっかけです。

f=200mmくらいで蟹座のプレセペを撮影すると、

  • フィルターなしだと、星がシャープになりすぎて地味
  • 通常のソフトフィルターをつけると、効果がかかりすぎて不自然

というジレンマがあるとのこと。

Hiroponさんの「星のつぶやき」では「PRO1D プロソフトン クリア(W)」が程よい効果で使えるとのことでした。

焦点距離によって効果の強さを調整する必要があるなら、フィルターワークよりも画像処理の方が有利です。Photoshopでソフトフィルター効果をかける方法について検索すると、以下のような記事が見つかります:

いづれも、基本的には同じ方法による処理です。

上の「ソフトフィルター風」処理。顧問も何回か試しましたところ、イマイチうまく行きません。実際にプロソフトンなどを使った撮影に比べると見劣りするようです。顧問の推察では、いちばんの原因は「レンズぼかし」という機能が用いられている点にあって、この機能は非常に重い処理である上に強さの調整が難しいのです。

以下では、顧問が改良した「ソフトフィルター風」処理を紹介します。

基本的なところは同じですが、レンズぼかしを用いないなど細かな点をいくつか改良してよりそれっぽく効果を及ぼすことができるようになっていると思います。さらには、星の色を引き出す副次的な効果もあります。

ただ、それなりに工程は多いです。それでは参ります。

本題(星にソフトフィルター風効果をかける)

次の写真を題材にして説明します。Hiroponさんの題材に倣って、250mmレンズで撮影した、プレセペ・・ではなくて、かみのけ座付近です。

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まず「元画像」レイヤーをコピーし、上に重ねておきます。

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「元画像のコピー」レイヤーに「レベル補正(イメージ>色調補正>レベル補正 )」をかけて、明るい星しか目立たなくなるまでダーク側を切り詰めます。

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「OK」をクリックしてレベル補正を適用した後、画像を拡大してみましょう。すると下の写真のようにまだ小さな星が残っています。

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このままでは暗い星にまでソフト効果がかかり、結果が不自然になってしまいます。そこで「ダスト&スクラッチフィルター>ノイズ>ダスト&スクラッチ)」で小さい星を消します。ここでは、小さな星は3~4pxくらいで残っているので半径を4pxとしましょう。

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小さな星が消えました。しかし、極端にダークを切り詰めた為に偽色がひどいです。これはあとで悪い効果を生じるので「色相・彩度」レイヤーを上に重ねて、グリーン・シアン・マゼンダなどの彩度を下げておきます。

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完全ではないですが、ある程度は偽色を取り除けます。必要ならこのタイミングで青や赤の彩度を上げておくと、星の色が豊かになります。ここではそのまま進みましょう。「色相・彩度1」レイヤーは、下のレイヤーと結合しておいてください。

「元画像のコピー」レイヤーの上にレベル補正レイヤーを重ねて、中間スライダを強めに左に寄せておきます(このあとかける効果をわかりやすくするため)

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その上で、「元画像のコピー」レイヤーを選択した状態で「ガウスぼかし(フィルター>ぼかし>ガウス)」を選び、「元画像のコピー」をボカします。

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ボカしの半径はお好みになります。私の場合f=135mmから250mmくらいの星野写真なら半径40~70pxくらい。f=14mmから24mmくらいの星景写真なら、半径7~15pxくらいにしています。

ボカしを適用したら、レベル補正レイヤーを右クリックして、「クリッピングマスクを作成」を選びます。

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そうしたら、「元画像のコピー」レイヤーのブレンドモードを「スクリーン」か「覆い焼きリニア(加算)」にします。

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最後にあらかじめ用意してあった「レベル補正」レイヤーで、ソフトフィルター効果の強さを調整します。このときハイライト側のスライダを使うと星の中心が飽和して色も失われるので、中間スライダのみを動かすのがポイントです。ここは思い切って強調するのがコツです。

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一つ注意点があって、上の画像を見るとわかるように輝星の周りにトーンジャンプが生じているに見えます。これはレイヤーを結合すると解消するのでご安心を。

以上です。効果を比べてみましょう

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この方法、星景に限らず、通常の天体写真でも「星の色が足りないなー。」というときに便利に使えます。ちょっと反則ですけど^^