天文はかせ幕下

sharpstar15028とフルサイズカメラで、蒼い馬星雲

まずは結果

昨年導入したSharpStar 15028HNT、これを使って撮影したのはまだ2点しかなく、次の二つです。

The right (or left?) wing of the seagull negula__M38 and IC417

一つ目はナローバンドの習作で、お気楽ジョガーさんからお借りしているASI183mmとフィルターで撮影したかもめ星雲の右翼。二つめはのちに丹羽さんとの合作になる、ASI2600MCでのM37とIC417付近です。センサーサイズはそれぞれ1インチとAPS-Cです。

これに対して今回は満を待して、フルサイズセンサーでの撮影を決行しました。まずはリザルトです

IC4592 Blue horse

Date:2022-5-24 22:56~26:27
Location: Mt. Zao (1587m), Miyagi
Optics: Sharpstar 15028HNT(420mm F2.8)
Mount: iOptron CEM70G
Camera: Canon EOS 6D(HKIR)
Exposure: 120s x 92f + 10s x 20f (ISO1600)
Guinde: ASI120mm PHD2

天の川に近い微光星の多い領域、小さな星のシャープさを重視した仕上げを目指しました。さらに青の彩度を許容範囲ギリギリまで上げています。全体的にはとても満足のいく結果となりました!

撮影後記

15028HNTとフルサイズの組み合わせ

EOS6DでISO1600、1枚当たり120秒露光で撮影しました。それでヒストグラムのピークは半分くらい。標高1500m越えの蔵王では南の低空が十分暗いにもかかわらずです。これだけ露光が短いと、さすがに歩留まりもほぼ100%でした

 

こちらは1枚の撮って出し。

 

つぎに周辺400pxの切り出しです。

右下だけ星がオニギリ形状になっていて、主鏡の固定か光軸をもう少し見直すかで改善できるのかもしれません。

 

マスターフラットの等光度線。

上側はボックスケラレ。ピークはすこし左に寄っていて、これも調整の余地ありです。ちなみに、15028HNTのように明るい反射鏡筒では、斜鏡がオフセットされていますが、これによって輝度のピークが中心に、オフセット方向の左右で輝度の勾配は非対称になるはずだという理解です。だいたいそうなってますね

 

最後にこちらは、キャリブレーションとディベイヤー後の一枚画像をSTFで仮ストレッチしたものです。

フラット補正はこのくらいの精度で大丈夫で、DBEで十分補正できました。

今回の結果を得て、15028HNTはフルサイズでも十分に活用できる鏡筒だという感想をもっています。スケアリング調整はやっておらず、マウントにTリングを取り付けてカメラを固定しただけです。光軸の調整はあるていど習熟する必要はありますが、RASAとかに比べると断然使いやすいです。

遠征の記録

今回、遠征も楽しかったので書いておきます。

仕事を17時に終え、荷物を積んでGO。自宅から蔵王山頂までは車で1時間ほどです。

いやー、この夕焼けはテンション上がります。でも実はこの時、ちょっと仕事疲れを感じていました。

私は今年45歳です。

「これから徹夜で撮影するにしては、ふうー。ちょっと体が怠いなあ。」

車を走らせながら、つい深呼吸してしまいます。そこで今回、実は私の天文人生で初めての試みを実施したのです

そう、行きがけに蔵王ふもとの遠刈田温泉の公衆浴場に寄りました。44℃とめちゃくちゃ熱い神の湯に10分ほど浸かって、体の芯にわだかまっていた疲労感が吹き飛びました。たぶん血行が悪いんですね。この日の目標、蒼い馬星雲の撮影開始は22時ころ。到着後少なく見ても3時間は時間の余裕があるからこそできたことでした。

こんなたっぷりの時間の余裕が、楽しい遠征の秘訣だと最近は確信しています。

撮影時も無理はせず、赤道儀をたくさん並べることは避けメインの一台に加えてスカイメモRを出す程度にとどめています。撮影し損ねた対象は、また来年撮ればいいやというスタンスです。自分の場合、よっぽど気合いを入れないと、2台の赤道儀にオートガイドを使うことができません。

撮影地の刈田リフト駐車場では、いつも一緒のそーなのかーさんと、今回はお久しぶり柊二☆ (@shuji_acure) | Twitter さんとご一緒し、コーヒー飲みながらゆっくり談笑しました。

不思議と星が多く流れる夜でした。