天文はかせ幕下

8月1日、蔵王雲抜け

東北の夏は、雲抜け*1

特に低層雲が厚く広がると、蔵王山では、東側の仙台から白石市にかけての町明かりがほぼ遮られることがあります。そういう夜は、空がとても暗くなるのです。

ここ数年の経験からすると、東北での雲抜けの発生はそれほど珍しい気象条件ではないようです。やませと呼ばれる太平洋からの湿った海風が吹き込めば、かなりの高確率で発生します。正確ではありませんが、夏の間は週に1回くらいは雲抜けで、奥羽山脈の上が晴れているような気がします。

以前も似たことを書きましたが、我々の雲抜け判断は3ステップです。

  1. MeteoBlueのMeteogramで雲頂高度を確認。下の例では木曜から金曜にかけての夜がチャンス

  2. windytyで風向きと低層雲の分布を確認。太平洋側に雲が出ていればオッケー

  3.  出発前に、蔵王お釜ライブカメラで様子を確認

ライブカメラは最後の確認で、meteoblueとwindytyの予報がオッケーなら、予定を確認して撮影に出かける感じです。

今回のエントリは遠征レポートです。作品は次回にアップします。いつもより写真多めでお送りします。

というわけで、行ってきました!

8月1日は、チャンスありの予報でした。ただ、MetelBlueが示す雲長高度が若干高かったのがちょっと気がかりではありました。

ふもとの蔵王町から眺めた空は、いつもより雲が厚くて不安になりました。このまま西に進んで、エコーラインに入るとすぐに濃い霧に包まれます。標高1300mの駒草平駐車場あたりまで広がっていた濃い霧は、1400mの大黒天駐車場のあたりで突然に晴れ、頭上に青空が広がったのでした。

この日は、そーなのかーさんが先着して陣取っていた大黒天駐車場を撮影地に選びました(山頂駐車場は風が強いことが多いためあまり使いません)。

機材の設営を終え一息つくと、下界がすっぽり雲に覆われていました。

雲海の上に、カシオペア座アンドロメダ銀河が見えました

気温は17℃ほどで、酷暑の下界が夢だったかのようです。風も無くて、素晴らしい星空を堪能しました。美味しい飲み物も飲みつつ。

撮影もつつがなく進み、車の中で1時間ほど寝ました。目を覚まして外に出ると、下界の雲はいつの間にか晴れていて、夜景が一望にできました。星空は若干悪くなりますけど、夜景もキレイです。

雲海が晴れて、星空は悪化。町明かりの上にスバルが見えています

この夜の薄明は3時ころでした。東の空が赤みがかかった頃、おうし座の周りに火星と木星が並んでいて、いつも違う星の並びを鑑賞します。そーなんかーさんはフラットの撮影中。

ほどなく皆さんお帰りになりました。自分はもう一眠りして、朝7時から営業している青根温泉の共同浴場に寄り道するつもりです。

しかしながらあまり上手く眠れず、そのまま夜明けを迎えました。疲労に呆然とするワタクシが映っています。

翌朝は晴天。ぐんぐんと気温が上がっていきます。

こちら、じゃっぽの湯ですっかりふやけて、気分もスッキリしました。ここから自宅までは1時間弱。特に眠気に襲われることも無く安全運転で帰宅できました。何かに感謝。

今年の8月新月期は雲抜けアタリ月でした

翌日(8月2日)の夜、やっぱり蔵王にでかけた友人の木人さんも、雲抜けで最高の星空を堪能されたそうです。

天体写真大先輩の木人さんをして、「自分史上一番かも」とのこと!いやー、私が遠征を勧めたのですよ。やったぜ。

さらに翌々日(8月3日)の夜、浄土平に出かけたM&Mさんも、雲抜けの良い条件で撮影ができたとか。

よかったよかった。

このような条件の良い場所が車で1時間圏内にある宮城県とても恵まれています。@kaerupapa 氏のいう通り、天体観測に好適な「天文県」だなとあらためて思いました(福島県も)。

 

この夜の成果はコチラです:

snct-astro.hatenadiary.jp

 

サムネ用





 

 

*1:山頂が低層雲の上にでて、雲海になる状態。市街地の明かりが遮られて天体観測にとって絶好の条件になる