天文はかせ幕下

仙台高専天文部の顧問が、日々の天文活動や天文情報を綴っています。
本を出版しました!→PixInsightの使い方[応用編]

自宅でM66

「あー。人生であと何回くらい春の銀河を撮影できるだろう?」

って考えます。自分は80歳まで撮影するつもりなので、あと33回です。うーん。それはそれで、ちょっと多すぎて、うんざりかもしれません。

今シーズンは、ASI2600MMとMT-200を組み合わせた撮影で、オフアキを導入することを計画しています。そのリハーサルとして、自宅でM66を撮影しました。

以下、今回のテストに当たって、顧問の個人的な状況をごにゃごにゃ書きますが、興味のない方は読み飛ばし、リザルトへスキップしていただければとおもいます

オフアキ+モノクロカメラへアップデート

撮影するなら、手法になんらかのアップデートを加え、昨シーズンよりも良い結果を目指したい。今年はMT-200に取り付けていたカラーカメラのASI294MCをやめて、モノクロカメラで撮ることにしました。

顧問が所有しているモノクロカメラはASI2600MMです。これまでは撮影途中にカメラをASI2600MCに入れ替えてカラーのデータを取得していました。ただ、長焦点の銀河撮影ではオフアキ入れたいため、このカメラを入れ替え作戦は現実的ではありません。2600MMと2600MCは同じボディですが、それでもマウントのネジの切り方が微妙に異なるので、カメラをねじ込んだときのセンサーとオフアキプリズムの位置関係が変わってしまうからです。すると色々めんどくさくなります。

そこで尋常の方法、つまりフィルターホイールを装着してLRGB撮影をすることにします。

フィルターでケラレる

以前、Twitterの友人、お気楽ジョガーさんから1インチセンサーのASI183MMをお借りして撮影していたことがありました。当時の自分は、将来的に同じく1インチのセンサーを搭載したASI533MMを導入するつもりで、31mm径の小さなフィルターが5枚入るZWOのEFWminiの電動フィルターホイールを購入し、LRGB撮影をしていたのです。

ただ計画は良いほうに(?)崩れて、かわりに中古のASI2600MM(APS-Cセンサー)が手に入ってしまいました。それでEFWminiの使いどころが無くなってしまったんですね。我ながら先走ってしまったなーと思います。

なるべく今ある資源で撮影することを考え、ともかく2600MMに強引にEFWminiを取り付け、こんなセットを組みました

あきらかにフィルターホイールが小さいです。このセットをMT-200に取り付けて撮影するとこんな絵になります。

周辺の丸い黒枠が、31mm径のフィルター枠によるケラレ、下側の影はオフアキのプリズムの影響とと思われます。

うーんでも、下の写真のように1インチセンサーのIMX533の画角にクロップして使うなら大丈夫かも。少なくとも日の丸構図なら。

処理してみるとこんな感じで、やっぱり問題無さそうです。

そんなわけで、今シーズンはこのセットで撮影してみようとおもいまつ。

リザルト

天皇誕生日の三連休は寒気が入って宮城県は晴れました。庭で二晩テスト撮影しました。

M66 from my backyard

Date:2025-02-22,23
Location: Natori,-city Miyagi
Camera:ASI2600MM
Optics:Takahashi MT-200
Exposure: L 34f x 180s, R 13f x 180s, G 13f x 180s, B 13f x 180s , total 3.6h (gain100)

M66です。特徴的にねじれた腕や暗黒帯の複雑さなど、見栄えのする銀河です。しし座のトリプレットの中では最も明るく、光害地での撮影向きだと思います。ちなみに自宅の空は、最も暗くなる深夜でSQM=20.0くらいです。

終結果は驚きで、色も良く出たし周辺の淡いハロもある程度よく写りました。以前、OSCのASI294MCで銀河を撮影していたころに比べて、カメラの大きな差を感じざるを得ません。

撮影日は典型的な冬型で、シーイングは良くなかったと思います。参考までにBXTをかける前と書けた後のL画像も載せておきます。

自宅撮影ってなんか良い

処理を仕上げた後、「自宅でここまで写せたぞ」という喜びの余韻がふつふつと長くありました。結果をディスプレイに映し出して、しばらくニヤニヤしたのは久しぶりかもしれません。

チリのリモート撮影や遠征撮影とはまた違った、自宅撮影でしか得られない喜びがあるような気がしています。その正体は?ぼんやりしていますが、あえて書けば

  • 関西の方に多いという、通常より安く手に入れた腕時計を自慢したくなる気持ち(一方で関東人は、高い腕時計を自慢するという俗説)。

が、価格を労力に置き換えれば、一番近いかな。うーん、でもそれが全てではない気がします

  • しんどい遠征しなくても、自宅でウイスキー飲みながら楽しめるぞ

という安心感もあります。チリリモートも自宅でまったりですが、課金がいつまで続けられるかという不安が伴います。

  • 綺麗に銀河が撮れたなー。この空は俺の空

なんていう空の所有感もちょっと混ざっているかもしれません。

サムネ用