2月の中頃から3月の初めにかけて、チリのリモート望遠鏡でNGC3521銀河を撮影しました。露光時間はHαとLRGBがそれぞれ30hづつ合計60時間、これまでで最も長い露光になりました。まずは結果をご覧ください
date:2025-02-23,27,28,03-03,07(5 nights)
location: El sauce observatory, Chile
optics: Vixen R200ss PH extender f=1120mm
camera: ZWO ASI294MM-pro
exposure: L 120s x 788f, R 120s x 180f, G 120s x 180f, B 120s x 180f, Ha 240s x 247f processing: pixinsight, photoshop
NGC3521はしし座の南側にあります。宮城県からの南中高度は55度弱です

獅子座の鼻先にあるNGC2903(下)と同じくらいの明るさがあり、なかなか立派な銀河です。にもかかわらず、他の方の作品を見る期間もこれまであまりなかったように思いますし、チリで撮影するまでこの銀河の存在を知らなかったのはなぜなのだろう。ちょっと不思議。

NGC3521の周辺に霧のように分布している領域を浮かび上がらせるために、強めの画像処理を行いました。

この淡い構造は銀河ハローと呼ばれていて、過去に別の銀河が衝突して無数の恒星が飛び散っている様子なのだそうです。そう言われてみると最外周の銀河の腕が、外側に伸びるにつれて銀河面から外れていってハローへ溶け込んでいるように見えるのは、いかにも衝突の影響のように見えます。

不思議なのは、衝突相手の銀河が周辺に見当たらないこと。すでに遥か遠くに飛び去ってしまったのか、それとも衝突によって崩壊してハローの一部になってしまったのか。時間を巻き戻してタイムラプスを見られたら良いのに。
蛇足:
今回の撮影はなかなか良い結果になったと満足しています。SNSに投稿した後の反応も比較的良好でした。AstrobinのIOTDも狙えるかも?と淡い期待を抱いていたのですが、けっかはTopPickどまり。いつかIOTDをゲットしてみたいですなあ。
