注:いかにもブログ記事向けの長いタイトルをつけましたが、この記事はリコリモのスタッフの方や、天リフの山口編集長にお願いされて書いたものではなく、このブログ主の顧問が勝手に執筆していることをはじめにお断りします。「じゃあなんでこんな記事かいたの?」というご質問については、最後までお読みいただけると答えが書いてあります。
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話題にしたいのは、天リフの山口編集長とリコリモのスタッフの方々が始められた天体写真の「リザルトシェア」サービスです。
簡単に説明しますと、南天のリモート天文台施設にある大口径望遠鏡で撮影された、超一級品のRAWデータを多人数でシェアして、天体写真を楽しもうという企画です。詳細は上のリンクをご覧ください*1。
顧問はこれまで、南米チリのEl Sauce Observatoryでのリモート天文台ホスティングサービスを利用して、中口径の望遠鏡を他3人の仲間と共同所有して撮影を楽しんできました。その運用開始から3年ちかくが経った今、リザルトシェアもアリだよなあ、良いよなあ、と感じています。
その理由を説明するにあたって、まずは最近の我々のチリでのリモート撮影がどんなふうに運用されているかをお話しします。
撮影日は4日に一度。日本時間の朝にGoogle Desktop経由でチリのパソコンにログインし、NINAのシーケンスをスタートさせます。撮影中はたまに様子を確認する程度で基本放置です。夕方にはNINAをクローズして撮影終了。データが十分に溜まったら、DropBox経由でダウンロードしてきて、画像処理を楽しみます。
トラブルには、メールで現地のスタッフに連絡して対処してもらっています。運用開始直後はスケアリングエラー、ガイドエラー、接続エラーなど、かなり苦労もしましたが、最近は安定して一定の結果が出るようになりました。
撮影結果が一定になれば、当然ながらフラット補正やダーク減算も毎回キレイに決まります。そこに苦労や工夫はありません。
日本から地球のうらがわの望遠ん今日を操作しているっていう「ロマン感」は3年も経つとすっかり慣れっこになってしまいました。撮影の実感としては、インターネットからダウンロードしてくるのとそんなに変わりません。
それなら、リザルトシェアでも良いのじゃない?
という考えはもちろんありだと思うのです。
というわけで要約すると「ホスティングサービスでリモートとリザルトシェア、天体写真の楽しみ方としては、そんなに変わらないのじゃない?」ってことです。
もちろん、一つの望遠鏡を独占できれば、撮影対象が完全に自由になったり、電視観望を楽んだりというメリットはあります。でもその程度です。もし、リモート天文台のホスティングサービス利用を希望しつつも二の足を踏んでいる方がいらしたら、まずはリザルトシェアから始めてみるのは、十分お勧めできます。
たとえ元データが同じでも、画像処理によって結果は大きく変わることは常日頃から実感しています。チリリモートでも、4人のメンバーが同じ対象を撮影していたりしますが、最後の結果にはかなり違いがあって、びっくりすることがよくあります。
最後に補足です。リコリモのリザルトシェアが多くの天文ファンに広がれば、これまで以上に「ノンリニア画像処理」の重要性が増します。PixInsightによる「ノンリニア画像処理」については、近日刊行予定の「PixInsightの使い方[応用編]」で詳しく書きました。ぜひお買い求めいただければ幸いでございます。
*1:ちなみに、この記事をアップする直前に気づいてしまったのですが、リコリモのリザルトシェアは、すでに申し込みが殺到しているそうで、こんな記事を書くまでもなかったかもしれません。