天文はかせ序二段(仮)

仙台高専(旧・宮城高専)天文部の活動記録です

M33の再処理

2017年の最後の新月期が近づいていますが、晴れませんね。困ったことです。

10月ころに撮影した、M33を再処理しました。変更点は、DSSのスタックで

  • フラットダークフレームの減算
  • オフセットフレームの減算

を追加したことと、その後の強調処理に使用するソフトをGIMPからフォトショップに変えたことです。こんな風になりました。

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ちなみに以前は下のような感じでした

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星の大きさや、ノイズ感など改善されたと思います。ほおーん、ノイズ感ねぇ・・。

 

 

レベルアップしたプラネタリウム

こんにちは、すずりょうです。だいぶ寒くなりましたね。最近観測にも出かけてません。真夜中の観測では凍えてしまうでしょう...

さて、10月の高専祭から時間は経ちましたが、プラネタリウムプロジェクトは水面下で進んでおりました。成果報告会のためです。1年生たちは放課後になると、ドームや投影機の製作をしに来ます。たまにちょっかいを出そうとしますが、一生懸命やっているので顧問とともに暖かい目で見てました(笑)

そして、教員への成果報告会が本日行われました。昨日からドームを組み立て、出来上がったドームがこちらです。

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以前よりも丈夫であり、形状も安定しています。ダンボールの内側には像を投影できるよう白い紙を貼っています。遮光性もよく、内部はかなり暗いです。投影してみると...

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1枚目には北斗七星がありますね!さすがに完ぺきにとはいきませんが、以前よりも格段にレベルアップしています!星像をもっときれいにするのは今後の課題となりそうです。

f:id:snct-astro:20171213175147j:plainこちらが投影機です。プロジェクトリーダーのハタナカの自信作ですね!ここまで作り上げたのはすばらしい!

投影機班もドーム班もやり遂げました。1年生でここまでできると、数年後はどうなっているのでしょうか。今後にますます期待です!1年生のみなさん、おつかれさまでした!

ダーク、フラット、フラットダーク、オフセット・・・

はじめに

DeepSkyStacker(以下DSS)で行っているダーク減算・フラット補正・フラットダーク減算・オフセット減算の4つが、どの程度に効果を発揮しているのか? を、比較して検証をしてみたいと思います。これらの処理については、いままで

「引けばいいんでしょ引けば」とか、
「みんな引いてるから、引きましょ」

といった盲目的な態度を我々はとっていて、じっさいに意味があるのかちゃんと確かめたことはありませんでした。そこで、前回スズリョウが撮影したオリオン座大星雲のISO1600 150秒露光のライトフレームを12枚加算平均した画像に対して、以下の5パターンの処理を行なった画像を比較してみます:

  1. ダーク減算のみ
  2. フラット補正のみ
  3. ダーク減算とフラット補正
  4. ダーク減算とフラット補正とフラットダーク減算
  5. ダーク減算とフラット補正とフラットダーク減算とオフセット減算

似たようなことは、いろいろなところで多くの方が行なっていることではありますが、自分でやって見て納得するのが大事なわけです。

DSSを使った処理について

最近は1・2年生の新入部員もこのブログを読んでくれているそうです。彼らのためのマニュアルになるかどうかわかりませんが、本題に入る前にDSSでの処理についてまとめておきますね。

まず、星が写っている画像のことを「ライトフレーム」と呼んでいます。天体写真を仕上げるときは、カメラのノイズとか周辺減光を取り除くために、ライトフレームに加えて以下の4種類の写真を撮影しなければなりません。それらの名称と説明を列記しておきます:

  • ダークフレーム:カメラに蓋をして(つまり光を遮断して)ライトフレームと同じ条件で撮影。そうしてできた真っ黒い画面は、ライトフレームのノイズ情報を含む。
  • フラットフレーム:青空のような一様な明るさでで何の模様もない光源に向かてカメラを向けて撮影。カメラレンズの性質から、光源が均一に光っているにもかかわらず、得られる画像は中心が明るく、隅っこが暗い。「周辺減光」と呼ばれ、これを補正するためのフレーム。
  • フラットダークフレーム:カメラに蓋をして(つまり光を遮断して)フラットフレームと同じ条件で撮影した画像。真っ黒い画面であるが、フラットフレームのノイズ情報を含む。
  • オフセットフレーム:カメラに蓋をして、ISO感度をライトフレームに一致させて最も早いシャッタースピードで撮影(?)。 センサーがもともと持っているベースのノイズの情報を含む。

これらを実際にどうやって撮影するかはいろいろと方法がありますが、後日書きます。とにかく、ライトフレームとこれらの画像をそれぞれ10枚以上撮影してDSSに読み込ませると、ライトフレームを平均して滑らかにした上で、ノイズと周辺減光を取り除いた画像を出力してくれます。ぜひやってみましょう。

処理が異なる5枚の画像

DSSから出力しただけの無加工のTif画像を縮小してJPG変換した画像を5つ並べます。

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無加工の状態でも、「1.ダーク減算のみ」の画像はなんかダメそうですね。残りの4つは区別がつきません。しかし同じライトフレームを同じ枚数だけ処理しているのにもかかわらず、背景のカラーバランスも輝度もそれぞれ異なっています。これらをもうちょっと詳しく比較してみます。

比較

うえの5枚を、いかにして「同じ土俵」で比較をするかが難しいところです。ここでは、うえの画像たちに以下のようなレベル調整で極端な強調処理をおこなって、比べて見ます。

  • すべての画像について、背景の輝度が(R,G,B)=(10,10,10)(8bit階調0~255で)になるようにレベル補正でダーク側を切り詰めるて背景を暗くする。
  • つぎに、中心の大星雲がおなじくらい「飛ぶ」まで、レベル補正でライト側を切り詰めて、全体をあかるくする。

いかに強調した後の写真をならべてみます。

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考察

フラット補正の効果 

まず、画像1.と他の画像を比べると、フラット補正の重要さがわかります。強調の度合いは同じはずですが、フラット補正がない場合は背景の階調まで失われているように見えます。

ダーク減算の効果

2.と3.を比べるとダーク減算の効果が見えます。これは拡大するとわかります。それぞれの画像の同じ部分を等倍で切り出してみましょう。

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ダーク減算をしていない場合は、画像の中に黄緑いろや赤の輝点があります。ダーク減算後はそれが無くなっています。それ以外のノイズも若干ダーク減算をしたほうが抑えられているように見えますが、これは微妙ですね。輝点ノイズは、webにjpegで載せる程度の天体写真なら、どうでも良いように思えてきました。ただ、ダーク減算がない方の画像は全体が赤かぶりしているのが気になります。ですが、遠征先でダークを撮影するくらいなら、その時間を使ってライトフレームを増やした方が良いかもしれません。

フラットダーク減算・オフセットの効果

これについては、画像をつぶさに眺めても、明確な効果は確認できませんでした。ただし、さらに強調を施すとフラットダーク減算を行なった画像の方が、フラット補正がより高い精度を持っているようには見えます。「オフセット減算」の効果としては、カラーバランスが改善しているように見えますが、これはたまたまかもしれません。また別の対象を撮影した時、同じ検証をして見て、なにか発見がありましたら報告します。

そんなわけで、検証が尻すぼみになってしまいましたね。でもこのブログはいつもそうです。それでは。

IC1805とIC1848

先日、スズリョウ・ナカムラ・タナカのメンバーで撮影してきた写真の最後です。IC1805とIC1848、ハート星雲と胎児星雲。飽きずに同じところばかり撮ってますが、これはオリオン大星雲のHDRばっかりやっているスズリョウを見習ってのことです。そういう姿勢も大事だなと思いました。

この二つの星雲は、天の川の中にあって周囲にはたくさんの星々がひしめいています。普通に強調すると、それらの星が肥大して星雲を覆い隠してしまい、なんだかよくわからない写真になってしまうわけです。photoshopでいろいろ工夫してみて、なんとか星々を抑えて、星雲を引き出すことができました。

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2017/11/24 
カメラ:Canon EOSKissX5 新改造
レンズ:Apo Sonner 135mm F2->2.8
露光:ISO1600 150sec x 28
NJP赤道儀、PHD2ガイド

画像処理:
DSSでフラット・ダーク・スタック処理。PhotoShopで強調&ノイズ処理

星々を抑えて星雲を強調するのは、とくにこの領域の場合すごく難しかったです。現在、金曜の23時40分。顧問は飲酒しながら作業を行ったため、すでに上の写真をどうやって加工したのか、忘れてしまっています。赤の淡い散光星雲を撮影するときは、公害カットフィルターを使った方が良いかも?

高画質版はこちら

HT_dss1_PS2


 

今季三度目のオリオン大星雲HDR

こんにちは、すずりょうです。前回の観測から6日後(11/24)にまた観測に行くとは(笑)顧問に観測のお誘いをいただきましたので、例のごとくはやま湖へ遠征です。

観測の準備をしていると、空一面がピカピカっと赤や緑っぽく?光りました。顧問は「火球かもね」というのです。うーん...ほんとうだろうか...と疑いつつ、準備に戻ります。

さてさて、この日も自分はオリオン大星雲を狙いました。改造X5 EOS60DaとNikonサンニッパとオートガイドを使いました。強そう…!撮影パターンを10s、60s、150sの3つとし、タイマーレリーズをスイッチオン。寒い中、待ち続けます。うう...さぶい...

今回の成果はこちら!f:id:snct-astro:20171128183247j:plainなかなかよさげではありませんか!ダークやフラットの写真とともにDeep Sky Stackerにてそれぞれの時間ごとの画像を重ね合わせ処理後、photoshopのNik Collectionにて再度重ね合わせをし、調整をしました。このソフトいいですね!簡単に処理ができる。顧問と「おお~すごい」とニヤニヤしながら画面を見つめていました(笑)オリオン大星雲がそこそこ撮れたし、次は何したらいいですかね?と顧問に話したら、「もっと高倍率のレンズで撮ってみたら?」と助言をいただいたので、チャレンジしてみようかと思います!

後日談)観測の翌朝、いつも自分の画像処理にちょっかいを出しに来る1年生部員HからLINEがきました。「火球見ました?」と。後々調べてみると、日本の広範囲で火球が目撃されたそうな。みなさんは見ましたか?

補足:DeepSkyStacker(DSS)とNik collectionでHDR合成

スズリョウさん。報告をありがとうございました。顧問ですが、表題のことを行う手続きをまとめておきますね。まず、今回ズズリョウが撮影した"Light フレーム"は以下の通りでした。

  1. ISO1600 露光150sec x 12
  2. ISO1600 露光60sec x 5
  3. ISO800   露光10sec x 5

それぞれの露光時間とISO感度はスズリョウの直感により決定されました。それぞれの写真をDSSでダーク&フラット処理して、次のような三つの画像が出来上がります。

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左から150s、60s、10s露光。DSSから無加工で出力したもの

DSSでスタックした後、トーンカーブやレベル調整ができますが、トーンカーブだけを以下のようにフラット(直線)にして16bitのtiffファイルで出力します(HDR合成自体がいろいろな強調処理を含むので、強調した画像をHDR合成するより、HDR合成したあとに強調するほうが良い結果になると思います)。

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DSSでスタックした後のパラメータ設定

つぎに、NikCollectionというソフトに付属のHDR Eflex Proというソフトでうえの3枚のtif画像を読み込みます。NikCollectionはphotoShopプラグインとしてgoogleから無償で提供されていて、「原則は」photoshopがないと使えませんが、以下のような情報もあります:

つまり、HDR合成は無料でできます。ともかく、HDR Eflex Proを立ち上げて、画像を読み込むと以下のようなダイアログが出てきます。

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HDR EFlex Proの「総合ダイアログ」画面


ここで出来上がりではありません。なんか三角黄色の「!」マークが並んでいて少々混乱したのですが、上に並んでいる三つの画像の下の小窓に「EV値」を入力しなければなりません(それは普通、デジカメの写真に埋め込まれていますが、DSSの出力にはそのようなデータは入っていないので)。EV値というのは、基準の露光時間をEV0として、2倍の露光時間をEV1、4倍をEV2。逆に申せば0.5倍はEV-1、0.25倍はEV-2という数字です。つまり、露光時間を2が底の対数スケールで表したものですね(え?)。今回の撮影の場合

  • ISO1600 露光60sec 

を基準として(EV0)として、

  • ISO1600 露光150sec

は露光時間が15/6倍ですから、方程式  2^x=\frac{15}{6}を解いてEV値は約1.32となります(え?*1)。同様に 

  • ISO800   露光10sec x 5(ISO1600相当で露光5sec)

のEV値は  2^x=\frac{1}{12}を解いてEV-3.58です。総合ダイアログの小窓には任意のEV値は入らないので、だいたい近い値を入れて「HDRを作成」ボタンをクリック。しばらくするとHDR合成された写真が表示されます。

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出力されたHDR写真。左メニューが「プリセットライブラリ」右は各種の設定

以下は、いろいろと調整する部分がおおいのですが、そのほとんどは天体写真にとっては余計なエフェクトと思われます。プリセットライブラリの「ソフト」か「デフォルト」が天体写真向きかなと思います。右の設定はいろいろ弄れるのですが、基本的にはノイズが小さくなるように値を決めて、あとでPhotoshopで調整しました。(おわり)

結果その2

うえにスズリョウがアップしたオリオン大星雲ですが、photoshopの機能を駆使して、さらに強調してみました。

orion_HDR_ps

え、そんなに変わらないって? あ、一年生部員Hが来ました。ここで終わりにします

*1:両辺の対数をとって、\log(2^x)=\frac{15}{6}\log(2^x)=x\log 2だから、 x=\frac{\log15-\log 6}{\log 2}

今月2回目の遠征。

夏の合宿以来、めっきり天文部から足が遠のいていた5年生部員のナカムラが、先日ひょっこりと顧問の部屋に姿を現しました。カメラを買ったから、部のレンズを貸して欲しい由。

「ちょっと学校の屋上で、試写してみようと思いまして。明日の夜は晴れるそうですし。。。」

そのカメラは富士フィルムのミラーレス一眼。なんと改造しなくても赤い星雲が映るのだそうです。すばらしい。

「明日かあ。仕方ないなあ、連れて行ってやるか!」

と本人はなにも希望していないのに、福島へ遠征することになりました。もちろん、スズリョウも一緒です。

まずは霊山へ

11月21日の夜。GPVもSCWも今夜が快晴であることを予報していました。冬場はすこし雲がかかりやすいと噂の霊山に行きました。その傾向通り、空は雲に覆われていました。しばらく待ってから諦め、例の「クビカケ森」を抜けるルートを通って、いつものはやま湖へ。途中、部員タナカは確かに落ち武者の亡霊をみたとのことです。

はやま湖もしかし曇っていました。不思議なことがあるものです。仕方ないからタイムラプスでも撮るか、

なんて撮影を始めたら、見る見る雲が切れて行きました。

ハート星雲

この日、気温はマイナス3・4度まで下がりました。スズリョウはオリオン大星雲のHDR、顧問はハート星雲、ナカムラはデジカメの試写で色々撮影していました。まずはハート星雲をあっぷしますが・・・

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2017/11/24 
カメラ:Canon EOS60Da
レンズ:Nikkor ED 300mm F2.8->4.0
露光:ISO1600 6minx15
NJP赤道儀、PHD2ガイド

画像処理:
DSSでフラット・ダーク・スタック処理。PhotoShopで色々調整。

なんかもう、色が赤しか出ません。非常に不満です。年内にあと一回、遠征に行きたいですね。

Photoshopによる画像処理

現在、天文部には部室がないのが悩みどころです。部室があれば、そこに画像処理のためのパソコンを一台据えて、DeepSkyStacker, FlatAide, Photoshopなどのソフトを整備して、部員たちは自由に昨夜の画像の処理をできるようにしたいものです。

それは将来の話で、ひとまず顧問は自分のパソコンにphotoshopをインストールして、お勉強しております。ネット上で「よっちゃん」と呼ばれている男性が考案したという星マスク・輝度マスク・チャンネル減算マスクなどを適用して、先日のバラ星雲を再処理しました。

こちらがPhotoshopによる習作:

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そしてこちらが従来のもの:

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さらにバージョンアップ↓(11/27追加)

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最終的に納得した画像↓

rosetta_dss3_ps6

 

このような微妙な画像をアップすると、

「は?いったいなにが違うというのですか?」

と人を馬鹿にしたような笑いを浮かべて、攻撃的な質問をしてくる1年生部員Hがおります。

「星の大きさが違うでしょう。下のほうは、FlatAideProというソフトをつかって強引に星を小さくしていたのだけど、上のほうはFlatAideProを使っていないのに、星がもっと小さいでしょう。」

「星が小さいと、嬉しいんですか?」

「うう、嬉しいとか嬉しくないとかじゃなくて、、その方が綺麗に見えるでしょう。あとバックグラウンドも上の方が暗いでしょう。にもかかわらずノイズ感が少ないでしょう?」

「ほーん・・『ノイズ感』ですかぁ」

ぐぬぬ。。」