天文はかせ序二段(仮)

天文はかせ序二段(仮)

仙台高専(旧・宮城高専)天文部の活動記録です

台風一過のIC1805 & IC1848

10月4日、金曜日。

台風から変わった温帯低気圧が、夕刻に東北南部を通過していきました。日没後は「西高東低」の気圧配置が発生して、太平洋側は晴れの予報。

とはいえ、台風です。

普通だったらお家でおとなしくしているのが常識人というもの。しかし私は変態! 21時に自宅を出発して、福島県のはやま湖に出かけて来ましたよ。家族も

「キヲツケテネー(棒読み)」

と暖かく見送ってくれました。

本降りの雨の中、機材を車に詰め込みます。そしてワイパーを動かしながら南進。

「いったい何やってんだ俺は?本当に晴れるのか?」

なんて、こんな遠征は初めて。

はやま湖に到着。すでに星がちらほら見えていて、急速に雲が切れつつありました。先着(!)のカノープス氏と空を見上げていましたら、じきに快晴となりました。しかも不思議と無風。「大勝利ですなあ」と各々撮影を開始しました。

ハート&ソウル星雲

250mmのMamiya Apo-sekorで表題のハート&ソウル星雲をモザイク撮影するのが今回の狙い。しばらくして暴風状態になりましたが、それは想定内*1。250mm程度の焦点距離ならガイドにはさほど影響ありませんでした。60DaとKissX5のツインで「ハート」を30枚撮影した後、「ソウル」を14枚撮影した時点で曇り。即座に撤収して帰宅した次第でした。

The Heart and Soul nebulae ver2

Date: 4th Oct. 2019
Location: iidate, Fukushima
Camera: Canon EOS 60Da, EOS Kiss X5 twin
Optics: Mamiya Apo-sekor 250mm F4.5
Exposure: 300sec. x 30 and 300sec. x 14(ISO1600), mozaic
Guide: Kenko SEII, PHD2 guiding

ハートとソウルにノイズレベルの差はありますけれど、モザイクしてしまえば結果的にあまりよくわかりませんでした。今回は、画像処理の進め方に関して、2点ほど進歩がありました。機会があればまたまとめて書きたいと思います。

 

 

 

*1:というか、それまで無風だったのが想定外

最近のメディア情報(名取天文台関連)

今年度から、我々の天文部から分離・独立をはかった「名取天文台」。

上部にもtwitterのリンクを貼ってますが、ちょっと紹介しておきますね。まず、今月号の星ナビにて、先日のプラネタリウム展示会の様子が2ページで紹介されています。これは「天文リフレクションズ」の紹介記事を引用しておきます:

上の記事の中段あたりに紹介されています。

もう一つ、名取市の地域ラジオ「なとらじ 80.1MHz」にて、毎週木曜21:00〜、30分のラジオ番組「名取天文台のCosmo Cafe」がスタートしておるようです(これにはちょっとビックリしました)。ネット上で公式のサイトを見つけることができず、顧問の把握している情報源はTwitterのみです*1。 

 

 4月から、顧問の私は名取天文台の台員達の活動に、口出しをしていませんが、彼らはすっかり有名になりました。たまに天文部が外部のイベントに参加しても

(お前らじゃなくて)名取天文台の人たちは来てないのですか?」

と問われ、毎回、事情を説明しなければならない始末です。

一方、すでに2回のイベントを実施し、名取市近郊では「プラネタリウム観望」の需要はすでに掘り尽くされている可能性もあります。今後はさらに活動地域を広げていくことになるのかなー、と他人事のように想像していますが、彼らの次のアイデアに期待しましょう。

 

 

*1:ちなみに先週の放送は、ラジオの周波数を合わせていたのですけど、子供を寝かしつける時間帯と重なってしまい、聞き逃してしまいました。

土星のカラー撮影

バーダープラネタリウム製、31.7mmのLRGBフィルターと、ZWOのフィルターホイールを手に入れまして、ようやくモノクロカメラによる惑星のカラー合成ができる体制が整いました。昨年度の部費で、ASI174MMを導入して以来、一年越しです。

いまの時期、日没後にちょうど南の空に南中している土星を撮影しました。まずは結果から、

Saturn, 30th Sep. 2019

date: 30th Sep. 2019 19:30~19:40
location: Miyagi, Japan
optics: Meade Lx200 3048mm F10 with Kasai 2 x Ballo
camera: ASI-174MM, Gain 400,
Exposure: RGB: 20ms x 75% of 3000flames RRGBでカラー合成
Processing: Autostackkert!, Photoshop

土星の結果としては自己最高記録。

初めてのカラー合成

まず、今回の写真の作成手順を記録しておきます:

  • 撮影:LRGBそれぞれのフィルターで動画を撮影。L画像は5000フレーム、RGBはそれぞれ3000フレーム。8bitMONOのAVIで保存。
  • スタック:AutoStackkert!で各チャンネルを75%スタック。
  • カラー合成:ステライメージで各チャンネル画像を位置合わせしてから、Photoshopでさらに各チャンネルの土星の位置を微調整しつつ、カラー合成。
  • シャープ化処理:NikCollectionのOutputSharpnerでシャープ化処理。Photoshopでホワイトバランス調整、明るさ・コントラスト調整。

といった形です。いろいろとツッコミ所の多い処理過程なので、一つ一つについて言い訳して参りましょう。

  1. 撮影:まず困ったのが、干渉膜のフィルターを使っているのに、RGB各チャンネルのピント位置がだいぶんズレること。LとGのピントがだいたい合っている時、Rはわずかに、Bは結構大きくピンボケになります。この事態を恐れて、ZWOでなく、少々お高いバーダーのフィルターを選んだのに・・・。どうやら、バローレンズを使っている時はBがピンずれしやすいという情報もTwitter経由でいただき、これについてはもうちょっと検証の必要あり。なんにしても、各チャンネル毎にピントを調整する必要があり、今回の撮影ではBがピンボケになってしまった。
     また、RGに比べて、Bはかなり暗くなる。今回はRGBを全て同じ露光時間で撮影したが、Bだけは露光を伸ばす必要がありそう。
     とにかく、RGB撮影では、Bチャンネルが困ったちゃんであることがわかったので、次回はしっかりしたB画像を得ることを目標とする。
  2. スタック:LRGそれぞれのスタックは問題無し。Bチャンネルは暗過ぎて、まともにスタックできなかった・・。
  3. カラー合成:まずWINJUPOSによるRGB合成を試みたところ*1、惑星のフチに色ノイズが強く発生して、どうしようもなかった。これはBチャンネルの像の質が低かったせいかもしれない。いろいろ試したが改善しないので、しかたなくステライメージで位置合わせをして、Photoshopでカラー合成を行なった。また、Rチャンネルは他のチャンネルよりも鋭像にだったので、LをRで置き換えるRRGB合成で処理した。
  4. シャープ化処理:これもなぜRegistaxを使わないかというと、Photoshopで保存したtifがRegistaxで読み込めない場合があったので。Nikのシャープ化とRegistaxのウェーブレット処理、くらべてみるとそれほど顕著な差はないように思える。ウェーブレット処理では、各波長ごとに処理の強さとデノイズ・シャープを調整する必要があり、職人技的要素が強いが、その点、NikのOutputSharpnerはパラメータ数が少ないので楽。

 

 

 

*1:WINJUPOSによるLRGB合成については、

を参照。

夜空の明るさ調査

上の環境省の取り組みに協力して、先日、名取市周辺の明るさ調査をしました。

 

もともと夏の観測期間が8月21日〜9月3日までだったのが、あいにくその時期は天候が悪かったせいか、追加観察期間が9月20日から10月3日までとなっています。撮影条件は、上のサイトに書かれていますが、あちらこちらに分散していて分かりにくいので、いかにまとめておきます:

  • 撮影日時・時間帯:新月前後2週間の日の、日没後の1時間半〜3時間半の間
  • カメラ設定:ISO800、30秒露光、長時間露光のノイズ低減Off、高感度撮影のノイズ低減On
  • レンズ:焦点距離35mm前後、F値5.6
  • カメラのセンサーサイズ:指定なし
  • 撮影方法:MFで無限遠にピントを合わせた状態で、カメラを天頂へ向けて固定撮影。

撮影条件は結構厳しくて、天候も考慮するとなかなかチャンスがありませせん。カメラの設定も細かいですし、実質的に天体写真を趣味にしている人でないと、協力が難しいのじゃないかなという印象です。

撮影したデータはhttps://hoshizora.photoから、撮影場所のデータと一緒にアップロードする仕組みになっています。

 

さて、今回我々の部では、以下の7地点

f:id:snct-astro:20190929192150p:plain

にて測定を行いました。光街マップと重ねると

f:id:snct-astro:20190929193718j:plain

だいたいこんな感じ。

「学校のグラウンド」はもっとも市街地に近い場所。「地点1」は名取市岩沼市のちょうど中間の市境で、双方の街明かりの影響が少ないところ。そこから西方向の山間部へ向かって、およそ1000m間隔で測定しました。

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上の設定で撮影した写真を、PSのRaw現像で露光量を1.5にしてJPGに書き出したものを並べてみました。

地点1と地点6の間の距離は4キロほど。車でたった5分ほどの距離を離れただけで、ずいぶんと暗くなるものです。地点1に対して地点2が明るいのは、この交差点にコンビニとガゾリンスタンドがあるせいでしょう。

明るい対象の撮影であれば、それほど遠くに出かけなくても、撮影が可能なのかもしれません。

11"RASAの星像とフラット補正、あとRASAの雑感

撮影計画は不発

昨日の火曜日の夜、かなりの確率で晴れそうであると見込んで、4年生部員7名を連れてやくらいガーデンへ行ってきました。来月末の学園祭のための写真撮影が目的です。かのーぷす氏とそーなのかー氏も合流し、平日の楽しい観測会になる予定でした。

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行きがけの高速道にて。雲は少しずつ減っていき、西側には透明度の高い空が広がっていました。

到着すると、快晴ながらかなりの強風。シーイングは悪し。しかし次第に雲が広がって、日付が変わるころまでべた曇り。撮影は不発に終わりました。おしまい。

11"RASAの星像と、フラット補正について

でもせっかくですから、もうちょっと書きます。今回は、11"RASAでもって、ピント確認のためにデネブの周辺を撮影し、あとは曇って何にもできなかったのですが、その撮って出し画像がコチラです:

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カメラ:EOS 60Da (APS-Cセンサー)
鏡筒:Celestron 11" RASA 620mm F2.2
撮影条件:120s露光、ISO1600

RASA用のバーティノフマスクを用意して、ちゃんとピント合わせたら、かなり良い感じの鋭い星像です*1APS-Cの範囲内なら、周辺像もええんで内科医。

我々の部にある、ε-200と比べてみます。したは、昨年の9月におなじ60Daで撮影していたアンドロメダの一部です:

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カメラ:EOS 60Da (APS-Cセンサー)
鏡筒:ε200 800mm F4
撮影条件:300s露光、ISO1600

星の大きさは、シンチレーションの影響もあるので一概に比べることはできないけれど、周辺像はRASAのほうが若干よさそうです(ε200は光軸のずれ影響もあるかもしれません)。

デジカメ撮影でのRASAのフラット補正

上のデネブの画像、もう一度見てみますと、上下非対称な周辺減光があって不安になります。カメラを対物レンズ側に設置するプライムフォーカス、とくにデジカメみたいな変な形したものが光路を遮っているのですから、ちゃんとしたフラット画像を得るのは難しそうです。

上の写真のフラット補正がうまくいくか、テストしてみました。デネブの写真は、風が強くてフードなしで撮影していましたから、まずは深く考えず、ディスプレイの光源にカメラを向けます:

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なんと!自分でも笑ってしまうくらい、雑な手法です。これで、ライトフレームとヒストグラムが一致するようにデスクトップの色と明るさを変えつつ、ISO100で20枚撮影してマスターフラットを取得。

ついでにフードを付けた場合のフラットもゲットしておきます:

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こんな感じ。

それで下のようなフラット画像になりました。

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まあ、なんとなくライトフレームの周辺減光と一致してそうには見えますが、はたして。

フラット補正の結果

フラットは一致するでしょうか。まずはフードなしの状態で得られたフラット画像を適用した場合です。マスターフラットの取得と、補正はすべてRStackerでやりました。

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フードなしのフラット画像で補正

次はフードありのフラット画像で補正した結果:

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フードありのフラット画像で補正

予想に反して、どちらの場合も気抜けするくらいあっさりとフラット補正が決まってしまいました。強調をかけてみますと、どうやらフードありのフラット画像の結果のほうがうまくいっている様子です。

なんにしても、フラット補正で苦労することは避けられそうで、よかったよかった。

RASAの雑感

最後にすこし、RASAをすこし使ってみての感想を書いておきます。

良かった点:

  • 星像・・・十分にシャープ。
  • フラット補正・・・予想に反して難しくない。
  • 筒内気流・・・まだあまり気になっていない。

悪い点:ちょっと考えれば、すべて予想がつくことではあるんですけど、対物がわにカメラがあるというのは、いろいろ面倒くさい

  • フードが必須・・・補正版は結露しやすく、フードが必須。また、カメラ自体が周辺の光を反射することを考えると、やっぱりフードは重要
  • 撮影像の確認・・・かといって、フードをつけていると、デジカメのライブビューが見られないというのはちょっと痛い。BackYartEOSなどが必須になる。
  • フードの取り付け・取り外し・・・たとえば風の影響を弱くするために、撮影中にフードを外したくなることはよくある。なんも工夫していないと、カメラのケーブルを抜かないとフードが外せない。
  • バーティノフマスクの取り付け・取り外し・・・同じようにバーティノフマスクを取り付け・取り外しするときも、カメラケーブルを抜かないといけない。
  • ピント合わせ・・・バリアングルがないとピント合わせは無理。ピトノブが鏡筒の反対側にあるので。BackYartEOSなどがあれば解決。

 

 

 





*1:ちなみに、前回のNGC6888の撮影ではSharpCapのピント合わせ支援の機能を使っていました。いまいちピークがよくわからず、今回と比べれば明らかにピンボケだったようです。

カラーCMOSのフラット補正とホワイトバランス

全体の概要

先日、蔵王で撮影したIC1396は、SharpCapのホワイトバランス設定の問題でライトフレームのホワイトバランスが緑に偏っていた。これをステライメージのマニュアルに記載されている手続きに従ってフラット補正・ダーク補正したところ、色ズレが起こって補正に失敗した。この結果から、カラーCMOSのFITS画像の場合、背景がニュートラルになるようにライトフレームのホワイトバランスを調整しておかないとフラット・ダーク補正で失敗するのだろうと推測した。これは、ホワイトバランスを後から調整できるデジカメのRAW画像と比較して対照的(だなあ)。また、ホワイトバランスが崩れたFITS画像をフラット補正・ダーク補正するための別の手続きも考えました、という話。

FITS画像の通常のフラット・ダーク補正の手続き

はじめに

カメラはZWOのASI294MC-Proを使っています。またSharpCapのフラット画像・ダーク画像の取得機能を使って得たマスターダークとマスターフラットを使って補正を行った場合のはなしです。特にマスターフラットはモノクロのFITS画像です*1*2。しかし、だからといって今回の話の一般性は、あまり損なわれないと考えています。

フラット補正とダーク補正の手続きとその結果

で、そのようにして得られたマスターフラットとマスターダークを使い、ステライメージのマニュアルに従って使って次のように前処理を行いました:

  1. FITS画像に対して、ダーク・フラット補正を行う
  2. RGGBのパターン(ASI294MC)でベイヤー変換を行い、カラー化
  3. オートストレッチ機能で各ライトフレームのWB調整
  4. コンポジット

上記の方法でコンポジット後に得られた画像がこんな感じです:

f:id:snct-astro:20190919201120j:plain

一見すると、フラット補正はうまくいっているように見えますが、実はこの画像は失敗しております。といいますのも、このまま彩度だけを強調しますと

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こんな風に周辺が緑になっています。どうやら、RとBのフラットは正しく補正できていて、Gだけが補正不足過剰補正になってしまっているようなのです。

もうひとつ気になるのは、ガーネットスターの右のあたりの緑が強く出ているところ。ここってアンプグローが生じる位置ですよね。念のためマスターダーク画像を見てみますと

f:id:snct-astro:20190919201220j:plain

まさにアンプグローの位置で、緑が強く出ています。つまりダーク補正も上手くできていないようです。

ちなみに、DSSをつかった場合でも結果はうえと変わらず同じでした。困ったものです。

原因は、ライトフレームのカラーバランスと思われる

ASI294MCの我々のファーストライトで、Crescent星雲を撮影したときは、上記のような問題は発生しませんでした。実は、あのときは偶然、撮影したライトフレームのWBがある程度ニュートラルに整っていたのです。

それに対して、今回のIC1396の撮って出し画像は

f:id:snct-astro:20190919201336j:plain

このように思い切りGに偏っていました。撮影時はデジカメの感覚で

「ホワイトバランスは後から調整すればよい」

と思い込んでいて、このG偏りはまったく気にしていなかったのです。

元の画像がGに偏っているのにも関わらず、ベイヤー変換前にモノクロのフラットと(ほぼ)モノクロのダークで補正を行うものだから、RとBは補正が合致しても、Gだけが補正不足過剰補正になる。というのが、我々の推測です。

(9/20追記:ここの記述,すこし話がアベコベですね。後で修正します。)

(9/20追記:上の赤で強調した件,ちょっと数式とグラフで考えます。画像の中心を通るある断面をx軸上の-1\leq x\leq1の範囲であらわし,Redの輝度をy_R,Greenの輝度をy_Gとしましょう。中心の輝度を10とし,周辺減光が二次関数で表されると仮定すればは

 y_R=10-2x^2

という風に書けるはずです(係数2は式を簡単にするためで,意味なし)。ホワイトバランスのズレは加法的に表されるはずですから,Greenの輝度y_GはRedの輝度y_Rよりも5だけ大きいとします:

 y_G=10-2x^2+5

グラフで表すと,下のような状態です。

f:id:snct-astro:20190920102721p:plain

フラット補正というのは,この分布と同じ割合の輝度をもつ画像でそれぞれを割り算するわけです。たとえばRedに対する理想的なフラット画像の輝度分布は

y_F=5-x^2

といった形をしていて,これでy_Rを割ってあげると当然ながら

\displaystyle\frac{y_R}{y_F}=2

と定数になる。つまりフラットが合うわけです。これに対してy_G/y_F

\displaystyle\frac{y_G}{y_F}=\frac{10-2x^2+5}{5-x^2}=2+\frac{5}{5-x^2}

となって定数にはならない。グラフにすると

f:id:snct-astro:20190920104239p:plain

このように周辺が浮き上がってしまうわけです。(どうでも良いことですが,はてなtex機能,昔に比べると数式が綺麗になりましたね。天文のブログで数式使いたい人多いと思うのですが,yahooブログが潰れたとき,はてなに引っ越してくれば良かったのにと思います。)

 

一方、デジカメのフラット補正では、液晶ディスプレイを使用して、ライトフレームと同じカラーバランスになるようにフラットフレームを作成していたせいか、あるいはRStackerやDeepSkyStackerに,WBを調整してからフラット補正を行う演算機能があらかじめ備わっているのか不明ですが,ともかく上のような問題は生じていませんでした。

対策

以上の推測が正しければ、まずはベイヤー変換でカラー化してから、ホワイトバランス調整で背景をニュートラルにしてから、そのあとフラット・ダーク補正を行えばよいはずです。つまり具体的には

  1. 各ライトフレームをベイヤー変換でカラー化。
  2. 各ライトフレームにオートストレッチ機能でWB調整
  3. いっぽう、マスターダークとマスターフラットもベイヤー変換してカラー化(マスターフラットはもともとSharpCapでモノクロ画像として取得しているので、ベイヤー変換してもモノクロのまま)。
  4. 各ライトフレームに対して、ベイヤー変換後のマスターダークとマスターフラットを使って、ダーク・フラット補正
  5. コンポジット

という流れです。その結果得られた画像を、再び彩度強調してみますと、

f:id:snct-astro:20190919201905j:plain

こんなふうに、周辺のG偏りは解消しました。今度はBに偏っているように見えますが、これは画面全体のカラーバランス調整で解消します。

ただ、厳密に言いますと、若干アンプグローの影響は残っており、周辺の輝度はすこし過剰補正になっています。この理由はわからないのですが、あらたにライセンス購入したフラットエイドプロに助けてもらいました。

終わりに

ステライメージのマニュアルによると、ダーク減算はベイヤー変換によるカラー化の前に行うべきとあり、なぜならRGGBのベイヤーのうち、ひとつがノイズであった場合、カラー変換後にその影響が周辺のピクセルに波及してしまうから、とのことです。とすると、上の手続きは、変換後にダーク減算してるので、うまくないです。

できればダーク減算だけは、ベイヤー変換前に行うようにしたいですね。

また、ステライメージは今まで毛嫌いしていて、I love DSSだったのですが、今回の画像処理でステライメージの自由度の高さが気に入ってしまいました。もう離れることができなそうです。

 

 

*1:カラーのフラットをSharpCapで取得しようとすると、

「カラーのフラットで補正を成功させるのは難しいよ」

とソフトに怒られるので、このアドバイスに従っています。

*2:ちなみに、SharpCapのこの機能はフラットダークもバイアスも自動で引いてくれるので便利です。

最近の撮影スタイル

3分露光で、15枚くらいのライトフレームを確保したら、

「それでは次は何を撮ってこましたろうかな」

と独り言ちて次の対象に移動する。そうして一晩に3~4種類は撮影。

「善哉善哉」

なんて言っておりましたのは、われわれ天文部の”ノータッチガイド*1”時代のお話。2年ほど前でしたか、オートガイドを導入してからというもの一晩で1対象にミッチリ露光をかける撮影スタイルがほぼ原則になっております。

そうして帰宅後に「ぐあーー」と画像処理を行って一枚の写真を仕上げてみますと、寝不足での疲労と相まって、何とも言えない虚脱感でいっぱいになってしまいます。写真の出来具合とは別に、なんだか物足りないのですね。

それで最近は、本命の対象とは別に、スカイメモRで撮影を並行して行うようになりました。100mm前後のレンズなら、ガイドエラーもまず起きませんので放置できるのが楽です。

下の写真は先日の蔵王にて。SEII赤道儀でIC1396を撮影しつつ、スカイメモと85mmレンズで流し撮影していたカシオペヤ座の近辺です。

Cassiopeia

Date: 7th Sep. 2019, 25:00(JST
Location: Miyagi, Mt. zao.
Camera: Canon EOS 6D
Optics: Nikkor 85mm F2(F4)
Exposure: 180sec. x22 (ISO1600)
Guide: Kenko SkyMemoR

レンズは、以前になんどかご紹介していた*2リーズナブルなNikkor 85mm F2をF4まで絞って使用しました。6Dとの組み合わせでは、画像の右下部分の星だけが妙に伸びていて、マウントアダプタのせいでスケアリングのエラーがあるのかもしれません。右下部分は少々トリミングしてあります。

スカイメモではないのですが、今回はついでにもう一つ撮影してました。薄明前の30分弱の露光でのM31です:

M31

date: Sep. 7th, 2019
location: Miyagi, Japan
optics: Mamiya Apo-sekor 250mm F4.5
camera: ASI-294Mc pro
mount: Kenko SE2, PHD2 guide
Exposure:gain121, brightness 30, 180sec. x 8flames
sensor temp.:0 deg.

思ったよりも色が出なかったのは、さすがに露光時間が足りないからか。機会があれば次回にじっくり撮影してみましょう。

 

 

 

*1:ノータッチガイドは和製英語。ではオートガイドなしでの撮影のことを英語圏の人は何と呼んでいるのか、そもそもそれに対応する呼び名があるのか?ずっと気になっていながら調べておりません。

*2:Xenotarレンズで天体写真 - 天文はかせ序二段(仮)