天文はかせ序二段(仮)

天文はかせ序二段(仮)

仙台高専(旧・宮城高専)天文部の活動記録です

LeeソフトフィルターのEOSクリップ自作

星景写真用に,LEEのソフトフィルターを買いました。

このフィルターは、10cm角のピラピラのフィルムになっています。専用のフォルダーを用いて,レンズの前に固定するのが本来の使い方。これに対してよく行われるのは,フィルムをハサミで小さく切り取って,レンズの後玉にテープで貼り付ける方法です。

しかしながら,そうするとポロっと剥がれて紛失してしまったり,取りのぞくときにテープの粘着剤が付着して取れなくなったりして,消耗品あつかいになってしまいます。一枚3000円ほどなので,それは厳しい。

そこで,センサーの前に取り付けるクリップを自作しましたよ。

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見た目悪いですけども。

レーザーカッターで,ドーナツ状に切り取ったプラ板を二枚用意して,両面テープで貼り合わせた間に,LEEフィルターを挟んでします。プラ板は,ぴったりハマるまでヤスリで削ってサイズを調整しました。レーザーカッターがなくても,バインダーとかに使われているような柔らかい樹脂を使えば,ハサミで切って同じものが作れると思います。

使わない時は,こんな風にケースにしまっておきます:

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遠征の限界距離は片道90分です・・・

少々古い物言いではありますが、天体写真撮影というのは

「一に根性、二に技術。三四がなくて、五に財力」

ではないかと思いまして、何よりも根性が大事だと思います。みなさんのブログを拝見していると、関東地方には平日に片道数時間の遠征をするような愛好家諸氏がいらして、ちょっと信じられないというか、酔狂レベルの圧倒的な差を感じています。

いっぽうの私はと言いますと、たとえ休日前でも片道90分の遠征が限界です。根性が足らんのです!

先日の土曜日、その限界レベルの遠征に行ってまいりました。行き先は山形県の月山の麓、弓張平公園です。最近ほぼ毎回ご一緒しているカノープスさんの提案でした。

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ルートはこんな感じ。この時期、東北地方では前線が南西から北東にかけて配置することが多くて、北西に移動すれば雲を抜けれれるのではという算段でした。ところが残念ながら現地は曇っていて、湖の水蒸気だとか、急に下がった気温のせいだとか、公園でカノープスさんとブツブツ雑談しておりました。

その後、月山の登山口まで移動して、夜半すぎは晴れる気配がありました。カノープスさんは体力的な理由で大事をとって帰宅。私はスカイメモでIC1396を2時間ほど撮影しました:

IC1396
Date: 14th Oct. 2018
Location: 月山姥沢駐車場、Nishikawa city, Yamagata, Japan
Camera: Canon 60Da
Lens: Apo-sonner 135mm F2(F2.8)
Exposure: 150sec. x 35 flames(ISO1600)
Mount: Kenko skyMemoR(no touch)

蛇足:

これは初めて撮影する対象です。150秒の撮影でヒストグラムが真ん中まで達し、透明度はイマイチだったのかもしれません。巨大な星雲で、135mmのレンズですっぽり収まります。周辺の暗黒帯の様子を強く浮き立たせる処理を狙ったものの、今後の課題です。最近は、スカイメモRの追尾精度の良さを痛感しております。

モザイク撮影の落とし穴と教訓

ここ何回かの撮影では、Mamiyaのレンズを使ってモザイク撮影をしております。「最強の画像処理とは縮小である」と誰かが言っていたのをどこかで読んだことがありまして、モザイク撮影にはそれと同等の効果があります。その効果は凄まじく、もうこれから全ての天体写真をモザイクで撮影したい気持ちです。

落とし穴

でも落とし穴もあります。例えば先日アップした北アメリカ星雲とペリカン星雲です:

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この画像、楕円の部分にモザイクの境界がはっきり見えてしまっています。つなぎ合わせの部分で、星の歪みの方向がジャンプ、「収差の差」もはっきりとわかります。これはまあ仕方のないことなんでしょうが、以前マルカリアンチェーンのモザイク撮影をやった時は、星どころか星雲が欠落していたということがありました。

その時の画像がこれです:
chain_pano_ps

マルカリアン鎖を構成する最も重要な「The eye」が欠落してしまっていますが、違和感がないのが驚きであり、同時に怖いです。

教訓

一方、モザイク撮影をしていて初めて認識できた教訓もありました。それは画像をちゃんと縮小してからwebにアップすることの大切さです。

Raw画像をそのまま処理していくと、例えばEOS6Dとかなら5472x3648pixel^2 のtif画像が出来上がります。これまでは、「解像度はでかいほうがいいだろう」と考えて、それをそのままflickrやブログにアップしていました。しかしその場合、画面表示の時に、おそらくブラウザかそのサイトのプログラムが勝手に縮小をしてしまいます。その結果、画像が眠くなることがあるようです(これは、モザイク撮影をしてシャープな画像が自分で撮影できるようになって、初めて気づきました)。

それならば、初めからphotoshopで正しく縮小したほうが良い結果になります。ちなみに、photoshopの場合「イメージ」->「画像解像度」->「バイキュービック法(滑らかなグラデーション)」のアルゴリズムで縮小をしています。

たとえば、以下の二枚の写真は、全く同じ画像を、長辺が5000pixelのままflickrにアップした画像と、長辺2000pixelに縮小してからアップした画像です。後者の方が、星がシャープだと思います:

長辺5000pixelの画像(下)↓

NGC_7000_5000px_png_test

長辺2000pixelの画像(下)↓

ngc7000_2500px_png_test

はてな上での表示では判然としないかもしれません。リンク先のflickrに飛んでいただけると、2000pixに縮小した写真のほうが、はるかにシャープであるとわかると思います(もし違いがなかった場合は、ブラウザ依存かとおもいますので、その時は「私の環境では同じに見えた」コメントいただけるととても参考になります)。

 

初めての青い天体

昨年度に卒業していった、部員アベとよく話していたのは、「一晩に2対象以上を撮影してはならぬ」ということで、それをやるとたいてい両方失敗するのです。

昨晩のはやま湖での遠征では、薄明終了後からNGC7000を撮影し、それがしだいに西に低くなっていきました。まだ夜半...

「次は何を撮影してこましたろか」

と東の空を見れば、M45が昇ってきています。そういえばこの対象、部員アベが何度か挑戦し、そのたび失敗・敗亡していたなと思い出しました。明るい天体なのに撮影が難しい。ちゅーか、明るすぎる星団のまわりに、それに比べるとはるかに淡い散光星雲が広がっていて、その輝度の差が撮影を難しくしているのですね。

今回の遠征では、禁を破って2対象目を撮影しました。

M45

M45 プレアデス星団
撮影地:福島県飯館村 
カメラ:Canon60Da 
レンズ:Mamiya Apo-sekor 250mm F4.5 
追尾:Takahashi NJP(ノータッチ) 
露光:360sec x 10 flamesの2枚モザイク(Iso 1600) & 中心付近のみ、60sec x 5 flames (ISO400)をHDR合成

 

蛇足:

青く光っているということはエネルギーが高いのであって、宇宙の中では比較的少数派のようです。こういう全般的に青い対象を撮影するのは初めてです。色の違いと、中心付近の星の明るさのせいで、これまで培ったワタクシの画像処理技術が、ほとんど通用しませんでした。その困難は主に

  • 中心付近の星が明るすぎて、星消し画像が作れない
  • 全体的に青い分子雲がうすく広がっているせいで、色の基準がわからない。

の2点です。星消し画像からは、星雲だけを選択するマスクを作って強調に使ってますが、今回はB-Rのチャネル減算のマスクで強調を補助しました。

この対象は、十字の光条がないと、なんとなく物足りない気がしてくる。それは自分の美的感覚が、他人の撮影写真に強く影響をされていることの表れですね。

反省点:

  • 星団周りの散光星雲にもうちょっとコントラストがほしいところ
  • 散在しているオレンジ色の星のいろが、白っぽくなってしまった
  • 星のHDRのために用意した短時間露光の画像がそもそも明すぎて、結局は星が円盤状になってしまった。20秒くらいの露光でいいかもしれない。

 

 


北アメリカ星雲モザイク撮影

顧問です。

今月末は本校の学園祭がありまして、部員たちは懸命にプラネタリウムをつくっております。もしよければ、このブログのトップにリンクを張っている公式Twitterをご覧いただき、「いいね!」など押してあげてください。

さて私は学園祭とは関係なく熱心に、3連休も撮影に行ってきました。

7日のよる、明るいうちに自宅を出発。撮影場所は、久しぶりの「はやま湖」です。

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途中、ミニストップに寄ってコーヒーなど。透明度の高い空に、いい予感しかしません。

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南相馬鹿島SAでカツ丼を食したり。

はやま湖にて

そうしてはやま湖にやってきました。ここはとても辺鄙(へんぴ)なところで、だいたい誰もいません。この日は珍しく先客があって、相馬からいらしたオートキャンプのお客さんたちでした。激アツの缶コーヒーなどふるまっていただき、うれしかったです。

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たまには撮影風景など。今回は、Twitterに応援コメントをよくくださる「カノープスさん」(写真左下で白飛びしている方)とご一緒しました。

NGC7000のモザイク

早い時間帯から撮影には入れましたので、夏の対象である北アメリカ星雲を撮影しました。今期2度目。この対象は通算で7回目の撮影です。そして今回はそのなかでもっともよい出来になりましたよ。フハハ。

NGC7000

NGC7000 北アメリカ星雲とIC5067 ペリカン星雲
撮影地:福島県飯館村

カメラ:Canon60Da
レンズ:Mamiya Apo-sekor 250mm F4.5
追尾:Takahashi NJP(ノータッチ)
露光:360sec x 15 flamesの2枚モザイク(Iso 1600)
(*クリックしてリンク先に飛んだ方が、高画質です)

懐かしいこれまでの変遷

を記録しておきます:

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2015年9月15日。改造EOS40Dで、初めて撮影できた「赤い星雲」。蔵王滝見台に、西浦&阿部&糟谷の頭脳集団を連れて撮影した懐かしい記憶。

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2015年11月14日。亘理あたりの海岸で、ピロッシーを連れて撮影した懐かしい記憶。Old Nikkorの135mmで撮影している。当時のレンズはいまオートガイダー用となっている。

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2016年8月6日。名取市の自宅庭にて)EOS40Dに光害カットフィルター使用。

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2016年8月11日。(これも名取市の自宅庭にて)EOS40Dに光害カットフィルター使用。

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2017年9月19日。岩手県のまつるべスノーランドというよくわからないところまで出かけて、一人で撮影した。

NGC7000
2018年7月24日。Photoshopを使い始める。

NGC7000
そうして今回の結果。ぜんぜん違うでしょう?

 

 

 

 

 

 

Mamiya APO-Sekor のファーストライト

新しく購入したMamiya Apo-sekor 250mm F4.5で撮影をする準備が整って、顧問はチャンスを伺っておりました。それで、たまたま振替休日を取得していた木曜日の前日、星空を求めて宮城県北部方面まで出かけてきました。

SCW予報では、前線に伴う雲が切れるのが23時ころ。月が登ってくるのが夜半過ぎ。わずかな時間にIC1805を撮影しました。

IC1805

日時:2018年10月4日 23:15:00~25:15くらい
場所:宮城県加美町
レンズ:Mamiya Apo-Sekor 250mm F4.5
カメラ:Canon EOS 60Da
赤道儀:Kenko SkyMemoR ノータッチガイド
露光:ISO1600, 180sec x 32flames 

蛇足とつぶやき:
  • 見込み違いで、構図を完全に失敗しました。
  • Mamiya Apo sekorの中心像と周辺像を載せておきます。

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    APS-CでのISO1600,180secの撮って出し画像です。星像が円形にならず少し歪みます。でも強拡大しない限りわからないくらいで、そのほかのシャープさや、周辺減光と収差の小ささなど、ほんとこれ素晴らしいです。

  • KenkoSkyMemoRの追尾精度はなかなかに素晴らしく、250mmのAPS-Cで180s露光でも歩どまり100%でした。これは嬉しい誤算。でも、SkyMemoの公称の追尾制度は300mmで15分なんですよね。それはさすがに・・・と思いますが。
  • このハート星雲は結構淡いので、それでも180secでは露光不足。次回は240secぐらいにしてみる。SkyMemoのノータッチでいけるはず。
  • 今回の撮影地は、加美町の「陶芸の森ゆーらんど」駐車場

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    前線の雲がかかる時は、晴れを求めて北や南に移動することが多い。南部の福島にはいろいろ良いところがあるけれど、仙台市以北のスポットは少ない。今回は新規開拓のために冒険してみました。空の暗さはやくらいガーデンと変わらず。窪地で湿気がたまりやすく、この日は野生の獣畜たちがあちらこちらで「ギャーン・ギャーン」とか鳴いていて、不気味でした。クマも出没するらしく、次回使うことはない。

  • 今年の秋冬は、このレンズでぎょしゃ座の周辺モザイクや、M45の周辺、カモメ星雲、オリオン座周辺などを撮影していきたいです。

 

Mamiya APO-Sekor 250mm :撮影機材くみたて

9月の初めのこと。

顧問は睡眠中に"APO Sekor 250mm F4.5"というカメラレンズをヤフオクで買う夢を見て、目がさめると同じレンズが机の上に置いてあった。摩訶不思議の力で夢が現出したのか?それともレム睡眠行動障害なのか?

とまれ、レンズは手元にあるのですから、しげしげ観察して見ます。するといろんな点が奇妙です。まずピントリングがありません。その代わりレンズ内にシャッター機構が入っていて、いろいろ弄っていたらレンズ単独で「パシャ」とシャッターが切れたりします。訳がわからない感じです。「はっ?」という感じです。

Amazon検索によれば、このレンズをEOSマウントに接続するアダプターが、Fotdioxという会社から販売されているようです。そのマウントアダプターにピントリングが備わっているみたい。少々お高いそれをなんとか手に入れて撮影機材を組み立てました。

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マウントアダプタには三脚座が付いています。ところが、これ単独で三脚固定をするとレンズの自重でアダプタのピント機構が明らかに撓(たわ)みます。リングの回転もかなり渋くなってしまう。あかんので、余っていたVixenのφ90mm鏡筒バンドをレンズの胴に据え付け、写真のように2点支持にしました*1。三脚座と鏡筒バンドのベースの高さはちょうど10mmずれています。工場に余っているアルミ板の廃材を矩形に切って、スペーサーとして挟みんで、アリガタに取り付けました。

ピントリングを動かすとアダプタの全長が伸び縮みする仕組みになっています。そこで、鏡筒バンドの締め付けネジを緩めた状態でピント調整して、ネジを閉めて固定する形をとりました。

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スカイメモRでもなんとか運用できそうです。

*1:Vixenの鏡筒バンドは、くわっと力を入れて強引に押し広げ、レンズに装着しています。また元々は白で、色合い的にかっこ悪いので黒に塗装しました。