天文はかせ幕下

2024年の撮り始めは神割崎でエンゼルフィッシュ

秋田県勢のみなさんと賑やかに撮影

冬になりますと、日本海側の天文ファンが晴れ間を求めて太平洋岸までやってきます。1月14日の神割崎での遠征撮影は、そんな秋田県勢の方々をお迎えして賑やかな撮影になりました。

普段より賑わう神割崎の下駐車場

ここに謹んでご紹介いたします:

お気楽ジョガーさんとは、夏のCANP以来の再会です。実はカメラをお借りしていたりと、個人的にとてもお世話になっております。ツイッターリンクはクリックすると、M42まで写った画角でご覧になれますのでぜひ。

永太郎さんとは、2020年の元旦にここ神割崎でお会いしたのが最初でした。あの時はバラ星雲の導入に2時間苦しんでおられてお手伝いしたのですが、あれから急速に技術を磨かれて、最近もとても印象的な作品を仕上げてらっしゃいます。今回のDualBandPass系のフィルターをつかったパノラマも素晴らしいです。仙台の光街で西方向が明るい神割崎で撮ったとは思えません。こちらもクリックすると南の端にうっすらガム星雲まで写っていて、驚きます

もう一人の方は初めてお会いする方で、こちらのブログ主の方でした。 

天文はかせ幕下もご覧になってくれていたそうで、嬉しい限りです。25cm鏡でのライブスタック撮影をメインにされていますが、一晩にたくさんの銀河を撮影していくスタイル、となりで少し見せてもらいましたが、すごくたのしそうでした

長い夜

当日はめずらしく明るいうちに現地入り。長い冬の夜をじっくり味わえました。撮影開始が18時半。ライトフレームを50枚確保した時点でも

「あらら、まだ9時ですよ。今夜はこれからですよ、うひひ」

なんて気色悪くニヤついておりました。皆さんとの雑談の合間に、カレーメシ食べて、コーヒー飲んで、コーンスープ飲んで・・・といろいろやっても、まだ0時前でした。

気温も0℃前後と快適な夜。風が少し強いことは予報であらかじめわかっていて、そのため135mmと250mmの短い焦点距離での撮影です。ガイドエラーの心配がほとんどないので、撮影中まったりできます

撮影中に星空を見上げるワタクシです。こういう写真を撮ると、自分がやたらエラソーな姿勢だったり顔が間抜けだったりで気に入らず、5回くらい撮り直しました。

撮影結果

エンゼルフィッシュ星雲の周辺

f=250mmのカメラレンズ2台にASI2600MMとMCをそれぞれ取り付けてトータル14時間超撮影したエンゼルフィッシュ星雲の周辺です

Angel fish nebula and sh2-263

Date:2024-01-14
Location: Kamiwari-saki, miyagi
Optics: Mamiya Aposekor 250mm F4.5, UV/IR Cut only for 2600MM  
Camera: ASI2600MM/MC
Exposure: 180s x 149f(mono),  180s x 146f(mono), total 14.75h
Processing: Pixinsight and Photoshop

南を上にとる構図を選びました。エンゼルフィッシュの口先から分子雲と散光星雲(sh2-263)がプクプク泡立っているイメージです。右下に写っている明るい星の色を出すのに腐心しました。

この領域について(なんちゃって天文学

星図を書き込んでみました。

この写真に写っている星雲は主に3つで、いづれもSharpless(Sh)カタログ*1に記載されています。左上からSh2-265, Sh2-263, Sh2-264です。

ここで、Sh2-263と264に注目してみましょう

エンゼルフィッシュ星雲Sh2-264の中心にはオリオン座のλ星"Heka"があります(写真右下の青い星)。Hekaは非常に高温で巨大とされるO型の主系列星です。エンゼルフィッシュ星雲は「オリオン座λ星のリング」とも呼ばれていて、この星の放射線をうけて光っているのだそうです。ちなみに、主系列星については以前、このエントリで書きましたのでよければご覧ください

一方で、Sh2-263は比較的小さい星雲で、日本の天文ファンの間では俗に「エンゼルフィッシュの餌」と言われることもあります。中心付近にはやはり明るい星(HIP25041)があって、調べてみるとこれはB型の主系列星です。B型はO型に次いでエネルギーが高い星ですが、それでも温度ではおよそ半分以下、絶対的な明るさでは一桁から二桁以上に暗い星です。

HekaとHIP25041の地球からの距離はどちらも1000光年ほどでした。なので星雲の見かけ大きさから、HekaとHIP25041が放出しているエネルギーの違いを推定できそうな気がします。

写真から見てわかる通り、二つの星雲の視直径の比は20倍ほどです。リニアのR画像を調べた限り、両者の明るさはそれほど変わらないようでしたので、単純に散光星雲の体積がそのまま星の放出するエネルギーに比例していると考えてよさそうです。するとHekaとHIP25041の放射量の比は20^3=8000倍となるでしょうか。うーん、でもHekaが4.3等、HIP25041が5.8等級なので明るさの比は4倍程度しかなく、ちょっと違うかもしれません

 

最後のパラグラフが「なんちゃって」になりますが、こんなふうに撮影した天体写真から、星と星雲の関係を妄想するのが、最近のマイブームであります。

それではまた。

 

*1:Sharplessカタログ。日本語にすると、ぼんやりした天体のカタログ、といった意味でしょうか。