天文はかせ幕下

5月連休は神割崎でアンタレス付近

今年の5月連休は、晴天と新月に恵まれました。神割崎に遠征して名所「アンタレス付近」を撮影することができました。

3年ぶりの撮影でした。

使用鏡筒は前回と変わらず、Mamiya Aposekor 250mmF4.5のツインです。カメラはASI2600MCとMMの並列同架にバージョンアップ(3年前は2台のEOS6Dで撮影)。まずは結果から。3x2の6枚モザイク合成になります

Rho Ophiuchi: in the composition like a hanging scroll

date: 2024-0504
location: kamiwari-saki, miyagi, japan
optics: Mamiya Aposekor 250mm F4.5 x 2
camera: ASI2600mc and ASI2600mm
exposure: 3x2=6 panel mosaic, 180s x 12f(RGB) + 180s x 12f(Lum), total 7.2h, gain=100
processing: Pixinsight, Astropixel processor, Photoshop

暗い左上の領域から、右下の天の川中心部に向けての輝度の変化がアピールポイントです。

画像処理は何度か試行錯誤しました。一回目は分子雲をガリガリに引き出して見ましたら、なんだか美しくない仕上がりになってしまいボツ。気を取り直して2回目はストレッチを控えめにしたら、今度はなんだか物足りません。「うーんコノヤロ、えいや!」と最後に構図を縦に。したらばアンタレス付近の星雲が斜めに垂れる柳の木のような塩梅にみえて、一幅の掛け軸みたくよい感じになりました。

「でもちょっとあざといかなー」

って心配しつつTwitterにアップ。評判はそこそこでした。neko-CAT (@nekoCAT60CB)さんから

とお褒め頂いて、パノラマ撮影の印刷に便利なサイトを教えてもらいました。フレームをDIYするのも楽しそうだし、印刷してみようかなと思っています。それにしても”neko-CAT”というハンドルネーム面白いですよね。私は毎回ツボに入ってしまい、氏をTwitterで見るたびにニヤニヤしてしまいます。

話が逸れてしまいました。下は3年前に飯館村で撮影したアンタレス付近です。これも3x2モザイクで、こちらのほうが淡い部分がよく出ています。これはこれで良いのですが、今になってみてみるとちょっとストレッチがキツイかなーとも感じます。

Rho Ophiuchi cloud complex part 2(2021)

撮影日の覚え書き

ななぜりくんという、Twitterでフォロワーになってくれている若者を連れての遠征でした。彼は元々電車など撮影しており、本格的に暗い空での星の撮影は初めてだったようです。f=70mmくらいのレンズで、小さな銀河がたくさん映りこんでいるのをみて感激している様子でした。連れてきてよかったです。

他にかのーぷすさん、東北大天文部の皆さんもいらしてました。JD君に見せてもらったBORGの屈折を2本並べた双眼鏡は見え味がすばらしく感激。両眼で見ることで、片目では見えない淡い対象が見えてくるということは無いような気がしますが、視野の広いアイピースと合わせて使うことで視界全体に像が広がるのがたまりません。没入感が半端でなく、宇宙に落っこちそうな感覚に襲われました。

モザイク撮影の記録

モザイク撮影についても記録しておきます。まずコチラが構図

撮影はNINAの「高度なシーケンス」にお任せ。撮影順番は西から東へ。フレーム番号で3→6→2→5→1→4の順で30分ずつ撮影ししました。使用したCEM70赤道儀は、NINAの制御と関係なく一定の姿勢に達したら自動的に子午線反転する設定で、そのときだけシーケンスが混乱するので、srew&Centerの命令を頻繁に入れておく必要がありました。それにしてもとんどほったらかしで撮影できるのは本当にらくちんです。

 

モザイク合成の手順は以前コチラにまとめましたので、興味あればご覧ください

今回もほぼこの手順を踏襲しました。2600mmとmcのデータをそれぞれLRGB合成した後、各フレームを並べた様子がこちら。

一番右の2枚のフレームの撮影時に薄雲の影響があり、コントラストが低めだったので、モザイク合成前のストレッチを強めにして、すべてのフレームでヒストグラムの幅がだいたい同じになるようにしました。

ただ、実はここまでしてもつなぎ目が目立つ結果に成ってしまい、最終的には各フレームにGradient Correctionをかけてから合成して、ようやく上手く行きました。

こちらがモザイク合成直後の様子。Gradient Correctionが効きすぎているのか、全体的にのっぺりしすぎているように見えなくもありません。うーん、そらの透明度が低かったせいかなあ。

「やっぱり神割崎でなく、蔵王に行けばよかったかなあ」

「いえいえ、蔵王に言ったら『神割崎がよかったかも』ってボヤいているのだと思いますよ」

って、これは撮影当夜の、私とかのーぷすさんとの会話でした。

サムネ用