まえおき
9月24日の夜はそーなのかーさんと申し合わせて蔵王で撮影.途中から,かのーぷすさん,柊二さんと合流し楽しい夜を過ごしました.
撮影対象は,そー氏の提案でSh2-126 鷹の爪星雲です.私は250㎜レンズ+フルサイズのツインで,そー氏は同じく250㎜レンズに4/3センサーの2x2モザイクで同等の画角を確保して合作します.
この対象,とにかく淡い! 撮影中の実感としてはエリダヌス座のスーパーバブル並みに幽かなのではと思われました.
こちらがスーパーバブル.通称「し」です.3年前に,そー氏との初めての合作した作品で,懐かしく振り返ってみました.
さてさて,前置きが長くなりました.まずは撮影結果から,どん!
Date: 2022-9-24 at Mt. Zao
そー
ASI294mm-pro + RedCat51, (L,R,G,B) = (231,58,58,47)min, gain=120, 4panel mosaic
ASI294mc-pro + RedCat51, 394min, 4panel mosaic
ASI294mm-pro + FS60CB, 342min, gain=120 4panel mozaic
だい
EOS6D + Mamiya Aposekor250mm(Twin), 754min, ISO2500
Total=31.4h
一晩で30時間越えの露光時間は過去最高記録です.全体のカラーバランスは,意識して少し赤っぽくしています.
撮影記
稲刈りのすんだ田んぼの畔に彼岸花がまばらに並んでいて,って季節.あれは農家の人が自主的に植えてるのだろうか? 午前に雨があったあと,肌寒い西風が吹いて秋だなーって,毎年感じる寂しい感じの日でした.
夜は晴れる予報です.
蔵王への道すがら,遠刈田温泉の驚くほど熱い共同浴場で湯につかり,賽の河原駐車場に着いたとき,空は紫色の雲に覆われてました.
どよーん...
まあまあまあ,どうどうどう.ゆっくり機材を設営しましょう.
今晩は風が吹くみたいで,単焦点レンズで撮影です.250mmのMamiya ApoSekor + EOS6Dのツインを持ってきました.そーなのかー氏はRedcatにASI294MM/MCのツイン.さらにはタカハシのFS60CBも並べて,5台体制で同じ対象を狙います.
ほどなく雲は切れて,薄明終了直後から撮影を開始できました.風もやんで気温も下がり空気は乾燥.結局はパーフェクトな夜です.やったぜ.
顧問の撮影分はF4.5レンズにEOS6DでISO2500の120秒.これでヒストグラムが1/3です.その撮って出しはこんな様子でした
なんにも写ってないでは内科医!この瞬間は,この対象を選んだそーなのかー氏をお恨み申し上げました.
まあまあまあ,どうどうどう.今夜は朝まで撮影ですから麦酒を飲みましょうって,ガイドもほったらかし.カップラーメンなどの食事をします.顧問は柊二さんと,最近話題の遠藤さんについて意見交換をし「彼女はミズ/ミスターコンでグランプリをとるだろう」という予想で一致.強く握手しました.
空を見ると白鳥座は西に傾き,冬の天の川に黄道光が重なっているのが見えていました.
撮影後記
2台のモノクロCMOSカメラと3台のカラーカメラで取得した,合計31時間分のデータをいかに適切に前処理するかで,頭を悩ませました.各カメラの画像の前処理と位置合わせはそーなのかーさんが担当してくれました.その後のマスターファイルの作成プロセスは結構複雑でしたので,はじめてフローチャートを作ってみました.
ポイントはチャートの中段あたり.”MasterRGB(1)”と”MasterRGB(2)”をPSF Signal Weightで平均し,その結果からLを取り出して294mmで撮影したLとをまたPSF Signal Weightで加算して,最後にLRGB合成しているところです.これで背景はずいぶん滑らかになったと思います.
Hαのブーストは,丹羽さんのブログ
を参考にしました.
おわりに
”New born baby”が一番かわいいってのもあるかもですが,今回の結果は今まで何度か行ってきた合作のなかでも最高の出来になったとおもっています.けっきょくは露光時間が最終的な作品の出来を大きく左右するのは否定のしようがありません.
今のところはバリバリの遠征派である我々,1作品にかけられる時間の面ではリモート撮影の人たちに敵いません.これは気にしたくなくても気にしていました.ところが今回,1晩で30時間越えの露光ができて,これなら戦える.とても満足しています.
でも来月は,明るい対象をとりましょうね.