先日の栗駒山遠征で撮影していたM45です。
Date: 2020-10-18 3:12(JST)~
Camera: ASI294MC-pro(-10deg.)
Optics: Celestron RASA 11", heuibII filter
Mount: iOptron CEM70G with iGuider
Exposure: (180sec.+30sec.+10sec) x 10 flames (gain 120)
Processing: Pixinsight, Photoshop
M31を撮影した後、薄明までの時間を使って天頂に鏡筒を向け露光しました。反省点はUSBケーブルがフードの擬似スパイダーからはみ出て光条が割れてしまったこと。分子雲の特徴的な縦縞が、光条と並行になって目立たなくなってしまったのが痛恨。それ以外は、明るい対象ということもあって短時間でも良く映ったなと思ひます。
今回は、画像処理の詳細をパラメター含めてメモしながら進めました。その詳細を公開してみようと思います。内容はPixinsightを使っている方以外には通じないかと思いますが、そのあたりは悪しからずすみません。また、書いているうちにテンションが上がってしまい、文章がだんだんと乱れてゆきますが、そのへんもご容赦ください。
前処理
PixinsightのWBPPでバッチ処理しただけ。スタック後の画像は以下の通り:
Pixinsightでは、14bitの画像に対してレンジを上に付け足して32bitにして処理するので、処理後の画像はこんなふうに真っ暗です。
後処理
Pixinsight編
以下の記述、パラメターは特に何も書いていなければデフォルトの値を使っています。
- HDR Composition:180s,30s,10sの3枚の画像をHDR合成, (threshold = 0.7)
(処理後にSTFで仮ストレッチ)294MCの出力は、ものすごく緑です。これ、どうにかならないのか。 -
Background neutralization (previewで左下あたりの暗部をROI指定)で背景がニュートラルグレーになるようカラーバランス変更。
(処理後にSTFで仮ストレッチ)まだ星雲は青緑色です。裏像失礼。 - いつもはここで、Automatic( or Dynamic)BackgroundExtractor, を行ってカブリを補正しますが、この画像についてはどちらもうまくいかず。まあ、あんまりカブリもないかなとスキップ。
- Photometric Color Caribration (Photometry para. Limit mag. =16, aperture=10)でカラーバランス補正。下は処理時のグラフ。
(処理後にSTFで仮ストレッチ)これでようやくマトモな色に。 - いつもはこのタイミングでDecomvolution処理をするのですが、今回はすっかり忘れていました。スキップ!
- Multiscale Linear Transfrom(MLT)とSNCRで軽くノイズ除去する。ノイズが残ったままストレッチすると、ノイズも一緒に増幅させてしまう。これを避けるために、ストレッチ前にあらかじめノイズ処理をするという考え。これは確かに合理的だけど、余計なものまで消してしまう危険を孕む。あくまでごく控えめに以下のよう行った。
a. RangeSelectionで以下のようなマスク作成
b. 上のマスクをかけた状態で、MLT(layers=4, layer1のみNoiseReductionをチェック,Amount=0.6)
c. 上のマスクをかけた状態で、SNCR( green, amount=0.6 )
(処理後にSTFで仮ストレッチ)見た目はほとんど変わらない。 - PixelMathで軽くLogstretch。
数式:iif( a*($T-m)+1 > 0, ln(a*($T-m)+1)/ln(a*(1-m)+1),0), m=0,a=10000
処理の後の画像。普段はAutoHistgramを使っているが、これはどうもカラーバランスが動くようなので、やめた。以下、仮ストレッチなし。 -
Starnet++で星消し(stride=128)ここで秘密兵器登場! Starnet++は、ある程度ストレッチした画像でないとうまく動かない。
星消し画像。特に明るい星の痕にはエラーがあります。 - PixelMathで[元画像]-[星消し画像]を計算して、星だけ画像を作る。
a. Morphological Transformで星の追尾エラーを修正(以下のパターンで amount=0.5と0.2を1回づつキメル)
これが星だけ画像。
b. Color Saturation を星だけ画像にカマス(+0.6)
c. PixelMathで[修正後の星だけ画像]+[星消し画像]を計算して、元に戻す。星消し画像にエラーがあれば、CloneStampでコソコソと修正する。
星像の修正後(左)と修正前(右) - Asinhstretchでさらに強調。sf=1.5, bp=0(protecthighlightをチェック) を2回
asinhstretchは色が出る一方、ちょっとフワッとした後味になります。 - HDRMultiscaleTransform をキメてうねりをだす。“to lightness”, ”lightnessMask”, ”deringing”をチェックして。
-
16bit tiffで保存。Pixinsightを閉じる。
Photoshop編
- 色カブリ、輝度カブリを補正。色カブリの修正をするときは彩度を上げて、輝度カブリを修正するときは彩度を下げると分かりやすい。
-
トーンカーブを使って、カラーバランスを調整。ヒストグラムを見ながら、緑と赤の山の幅を合わせた。下のようなトーンカーブをあてる:
カラーバランス補正後の画像。え、文句あります? PCCをやった後にカラーバランス弄るなという意見はわかりますよ。次行きましょう! - 明部にマスクして、暗部に対してCameraRawのカラーノイズ除去(+50)
- 明部にマスクして、暗部に対してDFineで輝度ノイズ除去(設定オート)
- レベル補正(暗部+7, 中央+1.2, 明部255)
- トーンカーブで中間持ち上げ
- CameraRawFilterで調整
露光量+0.3
コントラスト+5
ハイライト-30
テクスチャ-13
明瞭度+8
自然な彩度+25
彩度+35
オレンジの彩度+50
ブルーの彩度+20
- 上の結果をみて、星の色がもうちょっと欲しかったので、星マスクで選択して彩度+15
- あらためて全体をみて、色被り補正。左側が赤いのを修正した。
最終仕上げ
- まずはパソコンを閉じ、コーヒーを淹れて一休み。子供の相手など。
- 庭の手入れ。落ち葉を掃除。
- 近所のゴルフの打ちっぱなしに行く。パキー
- 帰宅。うがい手水に身を清める。
- スマホでTwitterやFacebookを検索して、M45の作例を眺める。
- 改めて自分の画像を見る。すると、すべてが気に入らない感じになります。
- ヤケクソでDenoiseAIをキメて、Flickrにアップ(おい)。
以上です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。
サムネ