天文はかせ幕下

2021年の初天体写真は8時間露光。あと今年の目標も

2021年初めの作品は、Mamiya Apo-sekor 250mm F4.5レンズのツインによるM78周辺になります。フルサイズカメラを合わせると、馬頭星雲からバーナードループの北側までが画角に収まります。

Horsehead, M78 and Barnard's Loop

Date: 2020-12-12, 2021-1-9
Location: Kamiwari-saki, Miyagi, Japan
Camera: Canon EOS6D(mod) and Sigma fp
Optics: Mamiya apo-sekor 250mm F4.5 (twin)
Mount: Kenko SEII, PHD2 guiding
Exposure:
EOS6D ... 360s x 19 (2020-12-12) + 300s x 33 (2021-1-09)
SigmaFp ... 300sec. x 43 (2021-1-09)
ISO: 1600
Processing: Pixinsight, Photoshop

昨年の12月12日に撮影していたEOS6Dでの19枚に追加して、1月9日にEOS6Dで33枚、sigmaFpで43枚を追加しました。顧問としてはめずらしく2晩にわたる撮影で、トータルは8時間超えです。露光新記録です。

2021年の目標

無理をしない画像処理、淡い部分のあぶり出しよりも星雲の透明感や滑らかさを優先した画像処理を目指したいのぅ

と顧問は考えています。なんでかというと、最近ブログを再開された近江商人さん

の天体写真にえらく感銘を受けたからです。氏は私設の天文台で1作品あたり平均10時間くらいの露光をされています。にもかかわらず作品はかなり控えめで、2時間くらいの露光時間の写真に対して顧問が行うストレッチよりも弱い強調しか施されていないように見えます。それによって星は輝星から微光星まで整っていて、星雲には透明感があり、等倍で拡大してもとても滑らかです。
我々は基本遠征スタイルなので、毎回10時間の露光は無理なんですけど、たとえば3時間しか露光できないならそれなりのストレッチを行うようにするべきなんじゃないかなと考えています。
で、上の作品はというと、自分では強調を抑えたつもりながらそれでも強い強調になってしまいました。まだ煩悩を捨てきれてないのです。

撮影後記

今回は、Mamiya Apo-Sekorのツインシステム

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に初めてフルサイズのカメラを二つ取り付けて撮影を行いました。一時期評判になったこのレンズ、最近は似た焦点距離のRedCatやSharpStarが人気で、これを使っている人はあまり見かけないように感じますが、このレンズの最大の魅力は豊富な周辺光量です。もともと67版フィルム用に設計されているから当然と言えば当然。フルサイズを取り付けてもほとんど、したのヒストグラムをご覧になればわかるように周辺減光がありません。

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EOS6Dを取り付けた場合のマスターフラットです、ヒストグラムのピークの左側はほぼ垂直で、フルサイズでこれだけの周辺減光の小ささは通常のレンズではなかなか無いのではとおもいます。このレンズこそ、フルサイズのカメラで運用すべきなのではあるまいか。顧問は愚考しました。

レンズにあわせてフルサイズカメラを2台所有したいところですが、ここはカメラは改造済みの6Dと非改造のSigmaFpを用いました。下の写真はそれぞれのスタック後の写真を、カラーバランスだけ整えてSTFで仮ストレッチした結果です

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それぞれ色の出方がだいぶん違います。この二つをどのように重ねるべきか、工夫が必要そうです。今回は良いアイデアが思い浮かばなかったので、そのままそれぞれの露光時間の重みをつけて単純に加算しました。それが上の結果です。背景のノイズは小さくなった一方、若干赤い星雲の輝度は弱まってしまったかもしれません。

この辺は、今後このシステムを運用していくにあたっての検討課題です