チリのリモート天文台で、天体写真の構図を決めるのに、最近は少し困るようになってきました。
いつもは、満月を一週ほど過ぎた頃に次回の撮影対象を考え始めます。ところがイータ・カリーナやタランチュラといったメジャーな対象は、共同運用の仲間たちと自分が、ここ1年半ほどであらかた撮り尽くしてしまいました。もちろん、撮影すべき対象はまだまだたくさんあるのだと思いますが、南天の星空のイメージがあまりないので、具体的に何も思いつかないのです。
Telescopiusの全天データを参考に探しても、あれは写真の繋ぎ目がけっこう荒いので、淡い対象を含む構図を考える時はイマイチ参考になりません。きっと50mmとか135mmのレンズで自分で空を撮影して、画像処理をとおしてその領域にじっくり向き合った経験があるとだいぶん違うのでしょう。もし南天に旅行に行くことがあったら、いろんなところを135mmレンズで撮ってみたいです。
さておき、そんな7月の新月期。明日は撮影日だというのに構図を決められなくて、顧問は困っておりました。仕方ないので、最近サブスクで始めたChatGPT4.0に質問しました。
「この時期に、800mm+フォーサーズレンズの画角で撮影するのに良い、南天の天体写真の対象を教えてください。できればメジャーな対象ではなく、すこしマニアックな天体が良いです。」
なんて質問したらば
焦点距離800mmのフォーサーズセンサーで、あまり撮影されていないマイナーな天体を撮影するのは面白い試みです。以下は、南天に位置し、あまり知られていない銀河で、細部をクローズアップして捉えることが可能です:
なんて、答えてくれます。NGC1316はふたご座ではなく、ろ座の銀河ですけど、確かにこの時期の南天で撮影しやすい対象です。
そんな前置きで、今回はchatGPTに教えてもらったNGC7793銀河です。
NGC7793
Date: 2024-7-2,6,10,14 (4 nights)
Location: El sauce, Chile
Camera: ASI294MM-Pro
Optics: Vixen R200ss
Exposure: LRGB=(4h48m, 2h12m,2h12m,2h24m),
total 11h36min
Processing: Pixinsight, Photoshop
大きさはちょうどM63ひまわり銀河くらい、そして銀河の腕の様子や淡い部分の広がりなどはM33に似ています。とても綺麗な銀河だなと思いました。Astrobinの作例もそんなに多くなく、マニアックさも十分でした。
でもChatGPTには負けてられないぞ。自分でも構図を探してみよう。一生懸命に考えて決めた構図がこちら
NGC6231という青い散開星団とその周りに薄く広がるHa、下側の赤と青の明るい星を並べてみたんですけど、ちょっと構図が窮屈になってしまい失敗でした。カメラを90°回転できるなら良かったのですが、こちらは撮影データも省略しつつ、ここで供養しておきます。