天文はかせ幕下

晩秋のはやま湖で洞窟星雲(sh2-155)

11月の新月期、星沼会のみなさんは喜界島へ星空観望に行かれていました。天候にも恵まれて楽しい時間を過ごされたようです。

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顧問はと言いますと、まあ。ちょっと悔しいので理由はつまびらかにいたしませんが、宮城県に待機。でも、文化の日の夜に福島県飯館村のはやま湖で撮影ができたのは幸いなことでした。

オバケが出そうで怖いはやま湖。最近はすっかり足が遠のいていて、前回の訪問は1年9か月も前です。一人で行くのは恐ろしすぎて、今回はかのーぷすさんをDMで誘いご一緒しました。もともとは蔵王に行く予定だったのを、顧問の誘いをうけて変更してくれたのです。持つべきものは星友ですね。蔵王寒そうですし。

はやま湖にて(24年11月)

ところが撮影開始後、ちょっと困ったことになります。かのーぷすさんの機材にトラブルが発生し、リカバリーが難しい状況に。考えた末、今夜は早めに切り上げますというのです。

「えー、帰っちゃうんですか?(泣」

と顧問は泣き言いって氏を困らせてしまいます

「まあでも、昔はここで一人で撮影していたんですよね」

なんてブツブツいっている私を不憫に思ってくれたのか、鏡筒を切り替えて撮影を続行してくれました(よかった&すみません)。顧問がお貸ししたUSBハブも役立ったようです。

そんなやり取りをしているうちに、東北大の天文同好会のみなさんもやって来て、結局は賑やかな遠征撮影になったのでした。

洞窟星雲(Sh2-155)を撮影

11月ともなるとだいぶん夜が長くなって、一晩に2つの対象を狙ってもある程度の露光時間が確保できます。今回は前半に表題の洞窟星雲、後半にぎょしゃ座のIC417を撮影しました。今回は洞窟星雲の結果を紹介いたします。

sh2-155
The cave nebula (sh2-155)
(L)
Date: 2024-11-03 20:46~23:00
Location: Hayama-ko, Fukushima
Optics: Celestron RASA11" ASI2600MM-pro
Exposure: 180s x 41f, gain100
Mount: iOptron CEM70G

(RGB)
Date: 2022-08-28 21:20~26:07
Location: Komakusa daira, Mt. Zao, Miyagi.
Optics: Celestron RASA11" ASI2600mc-pro
Exposure: 120s x 132f, gain100
Mount: iOptron CEM70G
Preprocessing: Pixinsight, Photoshop

この作品、実はちょっとサボっています。2年前にASI2600MCをつかって撮影していたカラー画像と、今回ASI2600MMで撮影したL画像を合わせてLRGB合成しました。Lが2時間、OSC(One Shot Color)カメラのRGBが4時間ちょっと。それでも今回撮影したL画像のほうが若干質が良いようでした。

画像処理では、RGB画像にDeepSNRをかけて(かなり強烈な)ノイズ処理をしたあと、GHSで彩度とのバランスを取りながらコントラスト強調をしました。同じくBXT済みのL画像にもGHSをかけた後、LRGB合成しています。特にGHSのcolorモードでのストレッチがとても便利で、これを覚えてからはAsinhStretchもMaskedStretchも使わなくなりました。

ケフェウス座のこの領域は、様々な色にあふれていてとても魅力的です。洞窟星雲本体の散光星雲には若干O3が混じっているようで、中心部から周辺にかけて朱色と紫がグラデーションをなしています。その周りにはオレンジと青の散光星雲が点在し、それらをグレーの分子雲と真っ黒な暗黒帯が取り巻いています。色のオンパレードです。今回はその様子を上手く描出することが出来て満足しています。

 

ちなみに2年前にOSCのASI2600MCで仕上げた結果がコチラでした

The cave nebula(Sh2-155)

当時、星沼会の丹羽さんやグラスノスチ君と議論して、何度もやり直して懸命に処理したのを覚えてますけど、全体的な発色がもう一歩という印象です。

 

後半に撮影したIC417は、これを書いている現在まだ未処理です。次のエントリで記事にしたいと思います。

撮影後記

機材を片付けて車のトランクに詰め終わった頃には、すっかり夜が明けていました。皆さんとっくに帰られて、顧問は一人です

湖面に気嵐がたっていました。昨晩の結露はひどかったなあ。

明るくなった駐車場のあちこちに、空き缶やら吸い殻が落ちているのが目につきました。うーん、ではちょっと陰徳を積み増しいたしますかって、軽くゴミ拾いをさせていただきましたよ。

これでまた、極楽浄土への道が近づいたのでした。いくぜ、極楽浄土。