天文はかせ幕下

Starnet2開発者による、深層学習ノイズ処理プログラムDeepSNRが良い(Pixinsight)

新年あけましておめでとうございます。今年もみなさまのお役に立てる情報を発信できるよう、頑張ってまいります。

 

さて、海外の掲示板をいろいろ斜め読みしていましたら、Pixinsightで利用できるディープラーニングを使ったノイズ処理プログラムを見つけましたので紹介したいと思います。あのStarnetを開発したMikita (Nikita) Misiuraさんが開発されたそうです(あれ?ひょっとして日本の方?<違いました)。

www.deepsnrastro.com

無料版NoiseXTerminatorといった位置づけになるソフトだと思います。インストール方法はそれほど難しくないので後述するとして、まずは効果を検証してみます。

Deep SNRの検証

インストールが済むと、次のようなウインドウで操作ができるようになります。対象画像がリニアかどうかを選ぶチェックボックスと、作用の強さをコントロールするつまみがあるだけです。

さっそく、ASI2600MCで撮影したリニア画像に対して適用してみました。

Strengthはデフォルトの1で適用しています。ノイズはきれいさっぱり処理されたと同時に、背景の淡い分子雲の起伏も良く見えるようになりました。ディティールも失われていないように見えます。

次は、有料ソフト(2024年1月時点で59ドル95セント)のNoiseXTerminator(NXT)と比較してみます。

NXTもデフォルトのDenoise=0.9、Detail=0.15で実行しています。パラメーターの追い込みによって結果は変わるかもしれませんが、DeepSNRはディティールの処理もかなりのもので、まるでBXTとNXTを同時に掛けたような効果です。ただしこの結果だけを見る限りですが、無い星が発生してしまっているようでもあり、この辺りはさらに検証が必要そうです。

だいじな注意点

元サイトの注意書きを見ると、DeepSNRは、現時点ではモノクロカメラを使ってRGB合成したカラー画像にしか適用できないとあります。つまりOne Shot Color(OSC)カメラの画像に対しては使えないということです。この辺りは、どんな画像でも処理してくれるNXTとの差になっています。

しかしながら、上のNXTとの比較はOSCカメラであるASI2600MCで行っています。顧問が検証した範囲では、どうやらワンショットカラーのカメラでもCFADrizzleでカラー化行えば十分に良い結果が得られるようでした。

下の比較はASI2600MCのデータについて、CFADrizzleでカラー化した画像と、通常のDebayerでカラー化した画像に対して、それぞれDeepSNRを実行した結果の比較です。

みると判るようにDebayerで処理した画像では、ノイズ処理が上手く行っていないように見えます。

 

インストール方法

こちらのサイトから必要なファイルを落とします

すでにStarnetをPixinsightにインストール済みの場合とそうでない場合で、ダウンロードするファイルが異なるので注意してください。インストールの方法は同梱のReadme.txtに書いてありますが、Windowsの場合のみ方法をメモしておきます:

  1. Pixinsightを閉じる
  2. ダウンロードしたフォルダに含まれるファイルを、すべて
    C:\Program Files\PixInsight\bin\
    にコピー。
  3. Pixinsightを起動して、Process>Modules>Install Module...を実行

  4.  

    開いたウインドウで ”Search”をクリックすると、DeepSNRが表示されるので、つづいて”Install”をクリックすれば完了。

以上です。