天文はかせ幕下

仙台高専天文部の顧問が、日々の天文活動や天文情報を綴っています。

1月合宿で撮影したカタツムリ星雲、M108&M97

1月の末に、茨城県に二泊三日の撮影旅行に行ってきた話を、星沼会のブログに書きました。

こちらのブログでは、その時に撮影した天体写真について簡単に書いておこうと思います。

今回の作戦

まず、合宿を通して晴れ続けるものと決め打ちしました。

その上で初日にASI2600MMでLを取得、二日目にASI2600MCでRGBを撮ることに。これによって夜中にカメラをMMからMCへ付け替える余計な作業を排除し、コテージでの飲みに集中する作戦です。実際、終始晴れの結果でこの作戦は成功でした。

だたこの時期、日付が変わる頃には春の空になって、撮る対象が小さな銀河ばっかりになります。そこで手頃な長焦点の鏡筒としてε-200を選びました。

右下の黄色い筒がε200

この鏡筒を持ち出すのは実に2年半ぶりです。というのも一昔前の補正レンズが使われていて、周辺像がスッキリしないのです。もてる限りの技術でもって光軸追い込んでも、APS-Cセンサーでの星像がこんな様子です

事前にテストしたε200の星像

でもこの2年半の間にBXTが誕生し、今やこれくらいの星の伸びは何の問題もありません。久しぶりに見ると、中心は結構シャープです。これはもうちょっと活用しないともったいないです。

それでは結果です

タツムリ星雲 IC1269

IC1269 Dreyer's nebula

Date: 2025-01-26,27(2 nights)
Location: Mt. Hanadate, Ibaragi
Camera: ASI2600MM, ASI2600MC
Optics: Takahashi ε200
Exposure: 180s x 100f(RGB), 180s x 120f(Lum), total11h

納得の&お気に入りの結果になりました。カタツムリの胴体部分の青い領域の透明感や、うっすら広がるHaの赤、各所の暗黒帯の表現などなかなかうまくいったと思います。Astrobinでも、TopPickがもらえました。

www.astrobin.com

M97 and M109 

M97 & M109 with stray light from Merak

Date: 2025-01-26,27(2 nights)
Location: Mt. Hanadate, Ibaragi
Camera: ASI2600MM, ASI2600MC
Optics: Takahashi ε200
Exposure: 180s x 20f(RGB), 180s x 25f(Lum), total 135min

こちらは自分にとって初めての対象でした。近くのMerek星からの迷光は予想外だったものの、そんなに悪くない印象で「M97とM108、Merekからの迷光を添えて」などというおしゃれな料理名のようなタイトルを付けたくなります。撮影ではちょっと失敗があって、フレームの枚数少なめになってしまいました。でも割には小さな銀河もたくさん映り込んでいて、結果的に十分かなと。撮影地の花立山の北の空が暗く、かつ空の状態もそんなに悪くなかったのが幸いしたかもしれません。

このくらい拡大して見ても、悪くないのじゃないでしょうか。フクロウ星雲はこんど単独で撮影してみようかなと思います。

それでは、また

 

あい

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