天文はかせ幕下

秋の新機材まつり

潤沢なる年

年間5万円ほどの部費で細々と運営されている本校の天文部。2018年度はしかし、例年に無く予算が潤沢でした。

まずプラネタリウム班では、彼らのプロジェクトが「西松建設」という近隣企業からの助成金事業に採択されて、目下、数十万円をかけて本格的な投影機とドームを製作しています。それだけではありません。秋になると後援会から、天文部に25万円の特別予算が投下されたのです! これほどのまとまった予算は、このブログをはじめる前から数えて8年間ほどの間、かつて無かったことでした。

その予算で購入したニューアイテムと、あと顧問が血迷って自費購入したニューレンズなど総額35万円相当の品々を、これから小出しに公開していきますよ。

まずは新赤道儀

KenkoSkyExplorerII

NJPでは重過ぎる、SKYMemoRでは心細い。

なんとしてもほしかったのは、気軽に遠征にもっていける中型の赤道儀でした。kyoeiOsakaに問い合わせてみました:

「20万円弱の赤道儀を探しているのですけど、たとえば○○赤道儀なんかどうなんでしょうか?」
「あー、あれはダメですね、グニャグニャですわ」
「ぐ、ぐにゃぐにゃ?」

ずいぶんと物事をはっきり言う店員に驚くとともに好感を持ちました。運よくアウトレット品のKenkoSEIIの在庫があって格安とのこと。こういうときに懐疑・調査・相談・熟慮・相見積・考察・会議などが一切できないのがわれわれの悪いところ。即日注文して3日後には届いたのでした。

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機材の仮組みの様子です。アルミプレートを横に据えて、アリミゾ固定でカメラレンズとオートガイダーカメラを取り付けます。バランスウエイトは5kgを1ヶでたりました。

この赤道儀は定価で25万円、最近の実売価格が18万円くらいですかね。購入価格はなんと12万円ほどでした。届いた物品は、赤緯軸に遊びがあったり、ウエイトのクランプつまみが破損していたりしましたけど、そんなのは即効で調整・修理できることです。たぶん。

さっそく試運転、現地でトラブルシュート

時は11月3日(土) 。OB部員のアベ、最近カメラを覚えたいサトウが参加して、神割崎にいってきました。アベにSEIIのマニュアルを読ませつつ、250mmレンズ+EOS6Dのシステムで8分のガイドを目指します。

トラブルとしては

  • ウエイトのクランプが割れているー>じつは現地で気づいた。この日はアベの握力でなんとか仮止めできた。後日修理予定
  • 極望がまっかっかで星が見えない?->北極星だけが見えればよいという思想で設計されているようです。たしかに北極星だけがみえて、ほかの微光星は暗視野照明にかき消されて見えない。アベよると「初心者には優しい設計」との感想。
  • まったくガイドしないんですけど?->SEIIでは、初期設定を終えた後、スターアラインメントを終了してはじめて赤経モーターが動き出す仕様。これは同行のYamasakiさんにおそわりました。いままで自動導入赤道儀をつかった事が無い我々には驚きだった。自動導入をつかう余裕は無く、いいかげんなone Star Alignmentを済ませて、ガイドを開始した。

PHD2との連携にはなんのトラブルも無く、NJPではなぜか10分ちかくかかるキャリブレーションも、3分以下で完了。その後のオートガイドは、5~6秒角前後の精度でした。250mmの8分露光の歩どまりも、ほぼ100%。アウトレット品にもかかわらずいまのところ当たりの赤道儀かもしれません。

撮影成果

本日、ちょうどOBアベから撮影成果が送られて来ました。

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撮影データがはっきりしないのですが、EOS6Dで、480s露光と390s露光を合計39枚ほどスタックした結果だと思います。コンポジット後にGIMPをつかってちょっとトーンカーブをいじっただけで結構描き出せています。 フラットが合っていないようなので、そこをちょっと調整して、再アップしますね。

ともかく、480s露光でも星像が点に写ってくれて、SEIIの導入はひとまず成功でした。めでたし。