天文はかせ序二段(仮)

天文はかせ序二段(仮)

仙台高専(旧・宮城高専)天文部の活動記録です

Starnet++での星消し

前置き

天体写真の強調処理では、元画像から星を消去した「星消し画像」が使われます*1。星を綺麗に消去して、かつ向こう側の星雲が損なわれていなければ、これを使ったマスク処理によって画像処理をとても楽に進めることができるわけです。

これまで私は画像処理のはじめに、PhotoShopを使って「星消し画像」を用意していました*2。他にはFlatAideProというソフトを使っても同じことができるようです。そんななか最近、FaceBookの天体写真関連コミュニティーにて"Starnet++"という星消去の専門ソフトが紹介されているのを目にしました。HIROPON氏がブログ

にその解説記事を書いてくれて、不明瞭だったインストール法や使用法もはっきりしました。新しい方法は、どんどん試していかないといけません。

Sadr付近の星消し

5月に撮影した白鳥座のSadr付近の強調前の画像で、Starnet++を試しました*3。元画像はこれです:

f:id:snct-astro:20190720020540j:plain

ここら辺は天の川の中で星が多く、星の消去はそれほど簡単ではありません。

PSを使った私が普段やっている方法での消去画像とStarnet++を比べて見ましょう。まずはPSを使って消去した結果をごらんください:

f:id:snct-astro:20190720021449j:plain

これに対してStarNet++を使った結果は

f:id:snct-astro:20190720021318j:plain

なるほどー。差がわかりませんね。要所を拡大してみましょう。

f:id:snct-astro:20190720022715j:plain

光星の消し跡をよくみると、PSのコンテンツに応じた塗りつぶしに軍杯が上がりそうです*4。いっぽう、PSの星消しで問題になるのは、たとえば上のSadr星のくらいの明るい星の場合に、どうしても消し跡が残る点です。私は「スポット修正ツール」を使ってお絵かき的に跡を綺麗にして上の結果を得ています。これは恣意的な操作なので結果が一定しないのがまずい点です。一方、Starnet++の場合ははじめから輝星の消し後が残らないのが驚きです。

さらに細かい点を見ましょう:

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NGC6888付近です。PSの場合は「コンテンツに応じた塗りつぶし」がうまく働いておらず、星雲が虫食いのように崩壊してしまっています。Starnet++の結果は、これまた驚きで言葉が必要ないですね。

まとめ

これほど星の多い領域でも見事に機能している点をみると、Starnet++はほぼどんな状況でも使えそうな気がします。PSを使った面倒臭い星消し作業から解放されると思うと、嬉しい限りです。

*1:夜空では星雲や銀河よりも、星がずっと明るく光っているために、画像強調を行った時星ばかりが明るくなってしまい淡い星雲がかき消されてしまいます。それを避けるために、星消し画像を使って星を暗くしたり、星雲だけを強調するためのマスクを作成したりします。

*2:星マスクで星を選択して「コンテンツに応じた塗りつぶし」という魔法的な方法をつかって消去しています。

*3:元サイトの説明書きでは「強調後の画像をつかうこと」とある(追記)

*4:コンテンツんい応じた塗りつぶしも、結局はニューラルネット使っていたりして