このブログの著者である顧問は短絡的な性格で、安易に結論を出したがる傾向があります。たとえば以前、単なる夕焼けを「低緯度オーロラだ!」と言い張ったりしていました*1。先日のStarnet++の記事*2では、Sadr星周辺の写真の星消しがたまたまうまくいっただけなのに「あらゆる状況で使えそう」なんて。
本当にそうでしょうか?
星消し処理でよく失敗するのは銀河の写真です。たとえばM106やM101などを800mmくらいの焦点距離で撮影すると、周辺に小さな銀河がたくさん映り込みます。これを間違って星と一緒に消してしまっていた、なんてことよくあります。
そこで、Starnet++にすこし厳しめの課題をかして、ニューラルネット(deep learning?)の学習具合を試してみました。初めのお題は
M101、強調処理前の画像です。この画角ですと、主に青丸で示したところに小さな銀河が写り込んでいます。これをsutarnet++にかけて見た結果は以下の通り
STRIDEの値は64です。まず二つのPGC銀河は一緒に消されてしまっています。NGC5477は無事ながら、楕円銀河のNGC5473は中心の明るい部分が星と誤認識されてか消されてしまってますね。まさかと思って見て見ると、M101の中心部や周辺のH2領域にも「消し痕」ができてしまっています。うーん、これでは「使えない」と結論せざるを得ません。
どうやらStarnet++のアルゴリズムは、楕円銀河と星の区別まではできていないのでは? そこでさらに厳しいお題を与えてみましょう。楕円銀河と言えばおとめ座銀河団です。
これにたいして、同様にSTRIDE=64でstarnet++にかけて見ますと、こうなりました:
小さくててわかりにくいので、マルカリアン鎖の中心部を拡大し、強調しつつgifアニメにしました:
コメントの必要もなく、ちょっと残念な結果になってしまいました。DeepSkyを処理する限りはこれまで通りPSで丁寧に星消ししないといけないようです。
Starnet++のアルゴリズムには、もうちょっと学習を積んでもらいたいですね