天文はかせ幕下

今季三度目のオリオン大星雲HDR

こんにちは、すずりょうです。前回の観測から6日後(11/24)にまた観測に行くとは(笑)顧問に観測のお誘いをいただきましたので、例のごとくはやま湖へ遠征です。

観測の準備をしていると、空一面がピカピカっと赤や緑っぽく?光りました。顧問は「火球かもね」というのです。うーん...ほんとうだろうか...と疑いつつ、準備に戻ります。

さてさて、この日も自分はオリオン大星雲を狙いました。改造X5 EOS60DaとNikonサンニッパとオートガイドを使いました。強そう…!撮影パターンを10s、60s、150sの3つとし、タイマーレリーズをスイッチオン。寒い中、待ち続けます。うう...さぶい...

今回の成果はこちら!f:id:snct-astro:20171128183247j:plainなかなかよさげではありませんか!ダークやフラットの写真とともにDeep Sky Stackerにてそれぞれの時間ごとの画像を重ね合わせ処理後、photoshopのNik Collectionにて再度重ね合わせをし、調整をしました。このソフトいいですね!簡単に処理ができる。顧問と「おお~すごい」とニヤニヤしながら画面を見つめていました(笑)オリオン大星雲がそこそこ撮れたし、次は何したらいいですかね?と顧問に話したら、「もっと高倍率のレンズで撮ってみたら?」と助言をいただいたので、チャレンジしてみようかと思います!

後日談)観測の翌朝、いつも自分の画像処理にちょっかいを出しに来る1年生部員HからLINEがきました。「火球見ました?」と。後々調べてみると、日本の広範囲で火球が目撃されたそうな。みなさんは見ましたか?

補足:DeepSkyStacker(DSS)とNik collectionでHDR合成

スズリョウさん。報告をありがとうございました。顧問ですが、表題のことを行う手続きをまとめておきますね。まず、今回ズズリョウが撮影した"Light フレーム"は以下の通りでした。

  1. ISO1600 露光150sec x 12
  2. ISO1600 露光60sec x 5
  3. ISO800   露光10sec x 5

それぞれの露光時間とISO感度はスズリョウの直感により決定されました。それぞれの写真をDSSでダーク&フラット処理して、次のような三つの画像が出来上がります。

f:id:snct-astro:20171129125133j:plainf:id:snct-astro:20171129125129j:plainf:id:snct-astro:20171129125123j:plain

左から150s、60s、10s露光。DSSから無加工で出力したもの

DSSでスタックした後、トーンカーブやレベル調整ができますが、トーンカーブだけを以下のようにフラット(直線)にして16bitのtiffファイルで出力します(HDR合成自体がいろいろな強調処理を含むので、強調した画像をHDR合成するより、HDR合成したあとに強調するほうが良い結果になると思います)。

f:id:snct-astro:20171129130204j:plain

DSSでスタックした後のパラメータ設定

つぎに、NikCollectionというソフトに付属のHDR Eflex Proというソフトでうえの3枚のtif画像を読み込みます。NikCollectionはphotoShopプラグインとしてgoogleから無償で提供されていて、「原則は」photoshopがないと使えませんが、以下のような情報もあります:

つまり、HDR合成は無料でできます。ともかく、HDR Eflex Proを立ち上げて、画像を読み込むと以下のようなダイアログが出てきます。

f:id:snct-astro:20171129131612j:plain

HDR EFlex Proの「総合ダイアログ」画面


ここで出来上がりではありません。なんか三角黄色の「!」マークが並んでいて少々混乱したのですが、上に並んでいる三つの画像の下の小窓に「EV値」を入力しなければなりません(それは普通、デジカメの写真に埋め込まれていますが、DSSの出力にはそのようなデータは入っていないので)。EV値というのは、基準の露光時間をEV0として、2倍の露光時間をEV1、4倍をEV2。逆に申せば0.5倍はEV-1、0.25倍はEV-2という数字です。つまり、露光時間を2が底の対数スケールで表したものですね(え?)。今回の撮影の場合

  • ISO1600 露光60sec 

を基準として(EV0)として、

  • ISO1600 露光150sec

は露光時間が15/6倍ですから、方程式  2^x=\frac{15}{6}を解いてEV値は約1.32となります(え?*1)。同様に 

  • ISO800   露光10sec x 5(ISO1600相当で露光5sec)

のEV値は  2^x=\frac{1}{12}を解いてEV-3.58です。総合ダイアログの小窓には任意のEV値は入らないので、だいたい近い値を入れて「HDRを作成」ボタンをクリック。しばらくするとHDR合成された写真が表示されます。

f:id:snct-astro:20171129133951j:plain

出力されたHDR写真。左メニューが「プリセットライブラリ」右は各種の設定

以下は、いろいろと調整する部分がおおいのですが、そのほとんどは天体写真にとっては余計なエフェクトと思われます。プリセットライブラリの「ソフト」か「デフォルト」が天体写真向きかなと思います。右の設定はいろいろ弄れるのですが、基本的にはノイズが小さくなるように値を決めて、あとでPhotoshopで調整しました。(おわり)

結果その2

うえにスズリョウがアップしたオリオン大星雲ですが、photoshopの機能を駆使して、さらに強調してみました。

orion_HDR_ps

え、そんなに変わらないって? あ、一年生部員Hが来ました。ここで終わりにします

*1:両辺の対数をとって、\log(2^x)=\frac{15}{6}\log(2^x)=x\log 2だから、 x=\frac{\log15-\log 6}{\log 2}