前口上
今年の夏から天文部に導入したASI294MC-pro。これまで主に使っていたcanonデジからの移行に手こずり続けております。
とくにフラット補正が成功せずにいました。これについては、2か月ほどまえにホワイトバランスとの関係を疑っていて、その打開策も含めて
にまとめていました。
この度上記の記事は顧問のポカミスが原因の間違いであることがわかりましたので、訂正して顛末報告いたします。マジ、すみませんでした
顛末書
先日撮影したM31を例に、事情をなるべく簡潔に説明します。ASI294MCで撮影したライトフレームに対して、ダーク・フラット処理を施したあとベイヤー変換でカラー化すると、周辺に緑が浮いてくるという結果に悩んでおりました。
わかりやすいようにPSで彩度を+60ほどあげています。ぱっと見、フラット補正に失敗しているように見えます。これについて、顧問は何度もフラット補正のやり方を見直したり、twitterで喚いて助言いただいたりしていました。が、あとからわかったところによると、実は原因はダーク減算のポカミスだったのです。
ダーク画像を取得するときは、M48のマウントに樹脂製の簡易なキャップをして光が入らないようにしていました。このキャップ、よくある2インチアイピースのキャップと同じサイズなので、部内ではそこらへんにたくさん転がっているのです。で、顧問はどうもチープなキャップを使ってダークを撮影してしまったようなのです。よくよくマスターダーク画像を確かめてみますと
なんと周辺が赤くなっていました*1周辺の緑浮きの原因は、どうやらこれだったようです。デジカメのマウントキャップではこんなことは起こらないので、どうも足をすくわれました。
というわけで、正しくダークをと取り直してフラット補正してみたところ
こんな風にフラットがきれいに決まるようになりました。失礼いたしました。
ASI294MCでの撮影から前処理まで:現時点でのまとめ
上記のフラットの緑浮きについては、顧問が最近始めたtwitter経由で、何人かの方からアドバイスをいただいてました*2。それを受けて、いろいろと画像をいじくっているうちに、このカメラでの撮影から前処理にあたってのパラメータ調整やファイルの扱いについて、あるていど素地が出来上がってきたように思います。現段階での我々の方法について,備忘録もかねて、ここにまとめておきます。
撮影時
- Gain:200前後、brightness:30前後とする。SharpCapでのWhiteBalance(WB)はRとBのみ調整できるようになっている。この調整スライダは、RとBチャネルのハイライト側レベル調整になっている。R=B=50とするとRGBの最大輝度のレンジがそろう。なのでR=B=50とすべきと思う。(gain値は,390で多数枚の方法と,120で長時間露光の方法の2通りあるみたい。)
- UV/IRカットフィルターを入れないと、黄色が出にくいとのこと。
- フラット画像・ダーク画像取得時は、WhiteBalanceのRとBの値をライトフレームと合わせるのがよい。
- フラット画像の輝度値は、ヒストグラムのピークが50%かそれ以上になるようにするとよい。
- フラット画像がカラーであるべきかモノクロのほうが良いかは要検証(SharpCapのフラット取得機能を使うと、「カラーのフラットは合わせにくいよ」という英語のメッセージが出る)
- フラット画像のgainをライトフレームに合せるべきかどうかはまだ検証していない。gainを合わせたうえで露光時間が10秒ほどになるようにしたほうがよいという情報もあり。
画像の前処理の流れ
- ステライメージでfitsを読み込んだら、ベイヤー変換前にダーク減算とフラット補正を行う。
- RGGBのベイヤー配列を指定して、カラー化。WB調整してから、そのあとコンポジット*3。
- コンポジットした画像をfitsで保存。
- fitsをflatAideProに読ませて、対数現像(あるいはステライメージでデジタル現像でもよいかもしれないが、ちゃんとした比較はできていない。また対数現像のパラメター調整のコツもあまりつかめていない)。16bitのtiff出力
- PhotoShopで処理。
いまのところ、こんな感じ(2019.11.12)