目的
今回は、2つのモザイク合成ソフト;Astro Pixel Processor(APP)と、Imege Composite Edittor(ICE)を比較しつつ、前回撮影した画像をご紹介したいと思います。前者は天体写真用で有償、後者は一般用で無償ですから、比較すれば勝負にならないのはわかりきったことでしょうけど、果たしてAPPがお金を出すに値するかどうかという話です。
前置き
モザイク合成は貧者の武器であって、うまく貼り合わせれば数世代前のカメラでも最新機種で撮影したかのような素晴らしい結果を得ることができます。数年ほど前、顧問はこれの魅力にハマって、馬鹿の一つ覚え的にモザイク合成ばっかりやっていました。そのころの作品のなかでも例えば、コレ
などはとてもよく撮れたと自惚れていましたが、よく見ると継ぎ目がバレバレです。合成前画像の周辺部にわずかな倍率収差でもあれば、ストレッチにともなって境界は浮き上がってきてしまうのです。
うえのモザイク合成で使っていたのはICEでした。以下からwin版をダウンロード可能です
冒頭で紹介したAPPは、30日のトライアル版を
からダウンロードできます。win版・mac版・Linux版などが用意されていて、3台のマシンまでインストールできるようです。まずはこれをダウンロードしてテストをしました。
射手座周辺の星野
先日の蔵王雲抜けの夜、射手座の周辺(バンビの横顔からM16にかけて)を2x2モザイクで撮影してきました。レンズはMamiya Apo-sekor 250mm F4、それぞれ6分露光の10枚スタック。フラット処理をしてスタックを終えただけの4つを並べた画像が以下の通り:
それぞれの画像は、一つの赤道儀にレンズを二つ載せて、それぞれに改造kissX5と60Daを取り付けたツインシステムで撮影しています(上側がkissX5、下側が60Da)。この2つのカメラはどちらも同一の解像度(5184×3456の1800万画素)です。カラーバランスが違いははっきりわかります。
丁寧に行うなら、これら4枚のカラーバランスを整えて、カブリ補正を行なったのちにモザイク合成を行うのが通常です。しかし今回はあえて、このまま処理しました。
モザイク合成結果
ICE
まずはICEの結果を。合成したのちPixinsightのSTFで仮ストレッチした画像です。でん。
お。カラーバランスのズレは、補正してくれてますね。一見非常にうまく繋がっているように見えます。真ん中付近を拡大して見ましょう:
4枚の境界付近です。このようにpixel 等倍ではほころびを隠しきれません。それぞれの画像がノイズも青ハロの出方も違いますので、ただ繋げるだけでは当然の結果です。
APP
つづいてAPPの結果を。こちらも合成したのちPixinsightのSTFで仮ストレッチしてます:
しっかり合成できています。中心部分を拡大して見ましょう。
おお、これはさすがですね。境界わかりませんよね? APPは各画像のNormalizeを局所的に行い、境界部分は2次〜4次関数で補間して滑らかに繋いでいるようなので、こういう結果になるのでしょう。ちなみに右上の領域だけ星がデカイのは、顧問の撮影技術の問題と思われます。
1800万画素の4枚合成で要する時間について。
ICEだと画像を読み込ませて数回クリックすれば10秒くらいで合成が終わります。一方、APPは単純に処理だけで20分くらいかかりました。それ以外にも処理前に星の検出で3分くらい、各種補間方法やLocalNormalizeのパラメータなどの設定は慣れないと10分くらいかかりますね。使用したパソコンは、Intel Corei5 2.4Ghzに8GBメモリを積んだモデルでグラフィッグボードはGeforceGTX1050でした。
終わりに
APPでモザイク合成後に一生懸命に処理した画像を、蛇足ながらご紹介致します。彩度上げすぎかな?
Date: 23th May 2020
Location: miyagi, Mt. zao
Camera: Canon EOS 60Da, EOS Kiss X5 twin system
Optics: Mamiya Apo-sekor 250mm F4.5
Exposure: 360sec. x 8(ISO1600, 60Da) and 360sec. x 8(ISO1600, KissX5) . 2x2 mosaic
Guide: Kenko SEII, PHD2 guide