天文はかせ幕下

2020年の総括!

f:id:snct-astro:20200528171024p:plainくもじいじゃ。

下界の方では、新しい新型ウイルスというのが蔓延しているようで、そのせいか師走の週末も街はひっそりしとるのう。ふだんならシャンシャカとジングルベルが鳴っているはずの表通りも今年は静か。季節感を感じぬままに、あっという間に年の瀬がやってきてしまった感じって感じじゃ。

2020年。バタつきながら神割崎で撮影をしたり、頭を抱えながら画像処理をしたり、たまには学生と一緒に観望会をしたりしていた顧問の様子を、上から見ておった。今回はその「そうかつ!」をしたいと思う。 

1. 顧問のアトラス彗星の写真、朝日新聞に掲載

「世紀の大彗星!?」アトラス彗星(C/2019 Y4)が世間を騒がせたのは、今年の3月ころのことじゃったの。

C/2019 Y4 ATLAS(reprocessing)

Date:18th, Mar. 2020 22:06~22:50
Camera: ASI294MC-pro
Optics: Celestron RASA 11"
Mount: Takahashi NJP
Exposure: 90sec. x 30 flames (gain 200)

顧問が撮影したこの写真は朝日新聞に掲載されて、あやつは虚栄心と顕示欲が大いに満たされ,鼻の穴を大きくして喜んでおったわい。単純なやつじゃ。RASA11"ちゅう望遠鏡がすごいだけで、顧問の技術は関係ないとワシはおもうぞ。でもまあ、その時の記事のリンクを貼っておくから、興味のある者は見ると良い。

そのあと、彗星は崩壊して期待されたほど明るくならなかったというのは、ヌシらも知っての通りじゃ。

2. ソンブレロチャレンジの成功

顧問はソンブレロ銀河がお気に入りで、見てるとどうも毎年撮影しておる。円盤部分の紋様を写し出すのを目標にしておったようじゃ。

「M104は等級の割には集光が強く、淡い部分の描出はそれほど必要ない。そこで比較的に短い露光時間で撮影し、Drizzle + Decomvolutionで円盤の紋様を写し出す作戦です」

撮影前にあやつはそんなことを言ってたの。

M104, the Sombrero Galaxy

Date:13th, May. 2020 20:40~23:10
Location: Flower land(hara machi)

Camera: ASI294MC-pro
Optics: Takahashi MT200 with coma corrector F8
Mount: Takahashi NJP, Mgen guide
Exposure: 90sec. x 44 flames (gain 120, -5deg.)

その目論見は成功したようで、当日はシーイング最悪だったにもかかわらず、 うっすら文様がうかんじょる。Pixinsightとかいうソフトウェアを活用し始めたのも、このころじゃった。

3. ネオワイズ彗星を探しに、湯の浜温泉へ

2020年の最大の天文イベントは、7月のネオワイズ彗星だといって、反対するものはおらんと思う。

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あのころは、天候不順で何週間も曇り空が続いとった。部員がスマホで撮影したこの写真は、なかなか評判よく「いいね!」がたくさんついて、顧問はまた鼻の穴を大きくしてよろこんでおったの。

Comet NEOWISE(C/2020 F3)

Date: 2020-7-16 12:00~12:06(UTC)
Location: Yamagata, Japan
Optics: EOS6D, Aposonner 135mmF2(F2.8)
mount: Kenko SkyMemoR

Processing: Pixinsight+Photoshop

大気光の越しのこの彗星写真は、FaceBookというSNSの,とある天文コミュニティーで「100いいね!」 を獲得したとか。なーにが「いいね!」じゃ。人間どもの考えていることはわからんわい。

4.動画撮影

伝染病の蔓延の影響で、人を集めた観望会ができない代わりに、電視観望などの動画撮影を始めたのも今年のことだったの。


再生回数も伸びていないようなので、よかったらアクセスしてやっちくり。

5. 栗駒山でのアンドロメダ銀河

10月に栗駒山で撮影したアンドロメダ銀河には、顧問も自信を深めておったようじゃ。

M31

Date: 2020-10-18 0:10(JST)~
Camera: ASI294MC-pro
Optics: Celestron RASA 11", heuibII filter
Mount: iOptron CEM70G
Exposure: 240sec. x 6 flames(left and right part),  240sec. x 6 flames + 30sec. x 10flames(center part), gain 120, 3x1mosaic

ワシは、やっぱりRASA11"とかいう望遠鏡がスゴイだけのことと思うが、まあそれはどっちでもいいかもしれんの。自信があるなら「天文ガイド」とか「星ナビ」に投稿してみたら良さそうなもの。そう言ったら

「ふん、コンテストなんてものは欺瞞、欺瞞ですよ。欺瞞に満ちておるのですよ *1!」

なんて言ってエアダスターを撒き散らしておった。以前に一度二度投稿して落選し、自尊心を傷つけられて頭に来たとか、どうせそんなところじゃろ。

6. 令和2年11月快晴 

11月,日本はよく晴れてヌシらは発狂して喜んどったらしいの。顧問もRASAを振り回して,縞ノイズで破滅したりとバタバタしとったみたいじゃのう(ワシは休暇をとって海外旅行にいっちょって,直接見てないからよくわからんが)。

NGC1333

Date: 2020-11-15
1:20~4:15(JST)
Camera: ASI294MC-pro
Optics: Celestron RASA 11", heuibII filter
Mount: iOptron CEM70G
Exposure: 240sec x 52flames (gain 120)

「縞ノイズとの格闘の果てに得られたこのNGC1333は,印象に残る結果です。天文用CMOSのフラットダークは,サボらず撮ろう。」

顧問は真面目な顔で言っちょった。まあそうかもしれんの。

7. 木星土星の会合

「希少な組み合わせ」に色めき立つのは,顧問のような天文マニアに限った話ではないの。たとえば撮り鉄趣味の連中が,電車がすれ違う珍奇な瞬間に人生をかけたりとか,よく聞く話じゃ。門外のワシからすると「だから何?」としか思えんぞい。

400年ぶりとかいう木星土星の接近はついこの間の話。顧問は赤外撮影という手法で,低空のシンチレーションの悪さを克服しようと試みてこんな写真を撮っとった。

f:id:snct-astro:20201223003046j:plain

Date: 2020-12-21 7:44(UT)
Location: Miyagi, Japan
Camera: ASI 294mc
Optics: Meade LX-200-30 F10, Sightron IR720 pro filter
Exposure: 0.2sec x 750flames (gain120)
Processing; Autostackkert!3, Registax6, Photoshop

まあ,よお頑張ったとは思うが,これだけ背景が真っ黒だと別々に撮った写真を後からくっつけたように見えなくもなくて,あんまり感動しないのう。こればかしは,直接見るのが一番じゃったと思うぞ。

あと,横浜の方ではIRパスフィルタとかめんどくさい事せずに,通常のカラー撮影で,これよりずっと良い結果を出してる御仁がおった。

「まあ,関東の方が気流が良かったんですよ」

なんて、顧問はSDカードを叩きつけて悔しがっておったわい(笑)。

そうかつ

顧問です。

今年の成果としては,ようやくRASA11"を使いこなせるようになったのが一番かなと思っています。作品一枚あたりの平均露光時間は3時間弱といったところでしょうか。最近は露光時間も増加傾向な感じですが,これ以上のばすと人生を踏み外したり家族が崩壊したりしかねないので,そこそこにしておかないとと,自重しております。ブログの更新回数はこれまでで77回と,2019年の90回を下回りました。

来年の抱負は元旦に述べることにして,このブログも今年は最後になります。

みなさま関係諸氏,今年もお付き合いいただいてありがとうございました。年末は満月期ですので,自宅でゆっくりと良いお年をお迎えください。

 

 

*1:嘘です。本当のところを言うと、コンテストに入賞して掲載料を得てしまうのは、さすがに公私混同でまずいかなと考えて、応募してません。