撮影記
終戦記念日のすぎた19日の水曜日。数日前から、移動性高気圧が列島を覆う予報が出ていました。前日の未明から始まった晴天をつかって、新赤道儀CEM70Gの最終動作チェックを済ませ、ちょっと寝不足気味のコンディションで、蔵王に向かったのでした。
行きがけの車内から。前方に見える霞んだ山並みが蔵王連峰です。標高は1700mくらいですかね。
山の麓には「遠刈田温泉」があります。ひと風呂浴びてから観望する・・・なんて心の余裕が無いのが悲しいところ。温泉街のコンビニで食料だけ買って、エコーラインから登っていきます。
さて、ここで望遠鏡のフードを忘れたことに気づきます。一人車内で雄叫びを上げました。今日の晴天は絶対に結露地獄に見舞われるのは自明で、「乾燥空気セット」を持ち出してきたと言うのに・・・泣。
夏の遠征の敵は、暑さと虫。高山での撮影は一石三鳥くらいの効果があると言うのは周知の事実。今回は宮城県側から見て、山頂の刈田岳をすこし山形側にまわったところにある、リフト乗り場の駐車場を利用しました。到着時、眼視の方と撮影の方が、結構いらっしゃいました。後着予定のそーなのかー氏のスペースを隣にあけて、一番角に陣取りました。
さて、懸案のフードでございますが、自動車のフロントガラスに立てかける日除けのシェードを半分に折って、ぐるりと巻き付けました。内側がギラギラですけどちょっとは結露対策になるでしょう。
乾燥空気もしっかり送ります。間に合うかなー。
そして撮影本番
一つ目の対象は、「バンビの首飾り」ことNGC6589です。
Date: 2020-08-19 20:50~
Camera: ASI294MC-pro
Optics: Celestron RASA 11"
Mount: iOptron CEM70G
Exposure: 180sec. x 29flames + 18sec. x 15flames(gain 120)
毎度ながら、リンク先に飛んでいただいた方が画像がシャープです。。大きな「く」を反転させた形の暗黒帯と中心の散光星雲を対比を狙った構図のなかに、細かなウネウネの暗黒帯が散在していることに気づきました。これらの黒潰れに気をつけつつ、ハイパスで強めにストレッチしました。写真の右上、バンビのスタークラウドの領域は星像が乱れてしまいました。どうやらフラットがずれて減光していたのに、星が多くてそれと気づかなかったのが原因かと。再処理するときに見直してみます。
CEM70Gの自動導入はまだうまく働かせることができなくて、基本的には中心からズレ、微妙に写野の外側に導入されます。どうもダメなのでコントローラーからの制御は諦めて、APTを本格的に取り入れたほうがよさそうです。隣に使っている方もいるし。
二つ目の対象は、アイリス星雲です。
これについては撮影の状況をすこし。鏡筒が天頂方向をむいたら即席フードが耐えられず、30分くらいで補正板がガッツリ結露してしまいました。
このコンデシションではさもありなん。
うーん・・・・・。しばし考えた後、最高のアイデアが閃いたのです!それは
「ティッシュで拭く」
です。こんなすごいアイデア、誰も思いつきませんよね!拭いて3枚撮影、また曇り出したらまた拭くを数回繰り返した後、運良く湿度が下がって96%に。そしたら結露地獄は去って行きました。そんなでアイリス星雲は40枚を確保できました。帰宅後に補正板を確認しましたけど、ダメージはありませんでした。「柔らかローションティッシュ」を使ったのが良かったのでしょう。皆さんは真似しないでね。
Date: 2020-08-19 23:32~
Camera: ASI294MC-pro
Optics: Celestron RASA 11"
Mount: iOptron CEM70G
Exposure: 180sec. x 40 flames + 18sec. x 15flames (gain 120)
さて、久しぶりの長焦点撮影で楽しみ、画像処理もエンジョイできました。RASA+294MCで悩み続けていた片ボケも無事解消できていると思います。
次回は学生たちと電視観望です。そのまえに自動導入の精度を上げておかないと。