天文はかせ幕下

星の"ringing"の補正法のメモ

先日にAくんからお借りした、Sigmaの”Bokeh master”こと105mm F1.4 Artですが、撮って出しのRawを見ると、星の周りにわずかな輝度の落ちくぼみが見えました。

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理由は不明。単にレンズを使いこなせていないのか?なんとなく6Dのセンサーとの組み合わせの問題のような気がします。どちらにしろ、ピクセル等倍にしなければわからない乱れであり、この後の強調を考慮しても無視できるレベルではありました。

しかしながら、そもそもこういった”ringing”は、星マスクを使った強調で失敗したときによく出てくるものですよね。それには経験があり、ちょっと思いついたこともあったので、練習がてらにこれを処理する方法を試して見ました。

ハイパスを使った"ringing"の補正

基本的な考え方は、ハイパスによるディテール強調の「逆」を行って、選択的にディテールを消すというものです。輝度の落ちくぼみは、特徴的に1〜2pxの大きさを持っているので、同じピクセル数でハイパスを掛けた画像を、元画像の上のレイヤーに置きます。

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ここでは大きさを1.9pxにしましたが、この値によって結果が大きく変わるので、微妙な調整が必要かもしれません。

次に、この画像を反転させます:

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反転は「イメージ>色調補正>階調の反転」で行えます。そうしたら描画モードを「オーバーレイ」にして元画像に重ねます。これは「ソフトライト」や「ハードライト」でも良いかもしれません。効果を見ながらいろいろ試します。

これで終わりでも良いのかもしれませんが、しかしこのままでは、微光星も一緒に消えてしまいます。そこでトーンカーブを用います

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反転したハイパス画像にクリッピングマスクで上の画像のようなトーンカーブを重ねます。すると、微光星だけが復活して来ます。

最後に、処理前と処理後の写真を並べて比較。

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おしまいです。