天文はかせ幕下

電子観望用の望遠鏡と、そのファーストライト

今回の記事は、以前

にてアナウンスをしておりました件です。今年度、我々の部は財団からの助成金をいただくことができまして、市民向けの電子観望会を宮城県周辺で開催する体制を整えようというわけです。先日、それ用の望遠鏡が届きました。

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大きい!と言いたくて撮ったこの写真は、いまいちスケール感を伝えてくれません。「このくらいかな?」という漠然とした予想はあったものの、それを軽く上回っており私は不安でいっぱいになりました。ともあれ、開封して見ます: 

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セレストロンのRASAです。Kyoei大阪で購入しました。デザインは文句なくカッコ良いです。口径28cm、焦点距離620mmであります。

早速ですが、赤道儀に搭載してバランス感など見て見ましょう。

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NJPに載せて見ますと、それほど頭でっかちには見えませんね。バランスウエイトも三つで足りてよかったです。

そんなこんなで金曜日の夜、撮影テストをして見ました。

RASA 11inchのファーストライト

撮影テストは学校の屋上にて。ZWOのASI294MC Proと光害カットフィルターを組み合わせ、SharpCapで電子観望のテストをしました。日付は5月17日。空の透明度はなかなか高かったですが、ほぼ丸い月がガンガンに輝いていました。

はじめに、本校の位置する宮城県名取市の光害状況を確認しておきます:

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この数値は"Brightness"を見れば良いのかな?1.11mcd/m^2は、ふだん観望を行っているはやま湖の5倍、仙台中心部の1/3くらいです。

f:id:snct-astro:20190518154850j:plainテストは、新部長のヒヨリくんと行いました。遠くのビルに望遠鏡をむけてピントを合わせております。このあと日没を待っていたら、新部長は「ちょっと遅いんで。腹減ったし・・」と言って帰っちゃいました。あらら

 

そんなわけでいつも通り一人たぜ!元気出して、いきますよ!!まずは天頂付近のM51、ライブスタックによる結果です!

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すごい!渦巻きが見えるぞ!!完全に眼視を超えているではないか!つぎは、M81&M82を見てみよう。

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うーん。すごい!ヤッホーい!!

顧問は一人で興奮して、テストは日付が変わるまで続いたのでした・・・。

まとめと課題

1) 当夜は月明かりが強烈で、通常の眼視ではM51やM81といった銀河は、その存在すらわからないであろうコンディションでした。にもかかわらず、あれだけ鮮明な姿がディスプレイに現れたのは、本当に驚きでした。これなら観望会もなんとかなりそうです。散光星雲や惑星状星雲なら、もっと鮮明に観察できそうです。

2) SharpCapによるライブスタックはまだ使いこなせていなくて、いろいろ弄っていると急に画面が真っ白になったり真っ黒になったりと混乱しました。基本的には、画面右側のヒストグラムのピークが1/2くらいになるよう調整した後ライブスタックをおこない、そのあとトーンカーブを弄って画像を強調するという形をとりました。

3) うえのキャプチャをみてわかる通り、周辺減光がなかなかキツイので、フラット補正もできれば、さらにもう一段、星雲を強調できそうです。有料版を購入すればライブスタックをやりながらフラット補正もできるのだろうか?

4) 光害カットフィルターは、IDASのNebula BoosterとLPS-D1をテストしました。銀河を観望する限りにおいてはそれほど効果は感じませんでした。次回、散光星雲を観るときに効果を期待。