8月のはじめ、めっぽう暑いさかりのある夕暮れどき、
電網の天気予報は、
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8月2日はそんな奇跡のような、すべての「あるある」お天気の反対を地で行った夜でした。同行のそーなのかー青年も驚いていました(ベテランのカノープスさんのはなしでは、「蔵王ではよくある雲の動き」とのこと)。8月は天気予報を過信するな、と新しい格言を生み出したい気分です。
北アメリカ星雲の撮影は、2018年10月以来でした。まずは思い出を振り返ります。当時手に入れたばかりのEOS60DaとMamiya Apo Sekor 250mmで2枚モザイクでしたね。
2018年10月に撮影していた北アメリカ
これ、よく撮れたと満悦していて、今になって見返してもそんなに悪くないと思っているんですが、天ガのビギナーに出したら落選でした(それで拗ねて、それ以来単独の投稿はしてない)。あれから軍拡して、今回はEOS6DとMamiya Apo Sekor 250mmのツインシステムでの撮影です。
Date: 2021-8-2
Location: Mt. Zao, Yamagata
Temp: 18~20deg.
Camera: Modified Canon EOS6D (2 units)
Lens: Mamiya Apo Sektor 250mm F4.5 (2 units)
Exposure: 240s x 53flames, ISO1600
Processing: Pixinsight, Photoshop
APS-Cの2枚モザイクよりフルサイズ一枚のほうが画角が広いのはなんとも。ツインでトータル70枚ほど撮影し、うち20枚は薄雲の通過で捨てています。
今回の画像処理で意識したこと
とくに3年前の処理と比べて何が変わったかを書いておきたいと思います。
カラーバランス
「青が出ないよー(泣」天体写真を始めたての当時、それが大きな悩みでした。2018年の北アメリカでは、PhotoshopでRaw現像をしてからスタックするなどの方法を適用し、よっちゃん考案のチャンネル減算マスクとかを使って全力で青を持ち上げています*1。
それからPixinsightを導入し、AsinhStretchという優れた方法の恩恵もあって、青を出すことにはそれほど苦労しなくなりました。2021年の北アメリカでは赤を(特に背景の赤)を意識しています。天の川周辺の画像の場合「背景がニュートラルグレーよりも若干赤カブリかな?」と感じるくらいのほうが分子雲が目立ち、画像全体に力強さが出るような気がしています。ヒストグラムを並べてみます
大きな違いは山の左の斜面で、2018年にくらべると2021年は赤のチャンネルのずれが大きいです。右側の斜面をみると2018年のはマゼンダの分布がちがっていてこれは青を懸命に引っ張った結果でしょう。
カラーバランスを調整はしかし、PixinsightのPCC(Photometric Color Calibration)に従っています。蒼月城さんによると「PCCの結果を信じるならば天の川周辺は赤い、おそらく星間物質によるレイリー散乱の結果ではないか」とのことで、自分も担結果が得られて納得しています。
初期のストレッチ
6Dのデータだとストレッチ前の暗い絵から持ち上げていくのがどうも苦手でうまくいかない事が多いです。冷却赤缶だとそんな風には思わないです。
— t a k a h i r o (@takahiro9930) 2021年8月7日
最初からストレッチしてある状態から処理するのはやりやすいですね!
それよりも今回は何故か縮緬ノイズが出てきて萎えてます、、、
神出鬼没の縮緬ノイズはひとまず置いて、Pixinsightだと前処理後に真っ暗な画像が出てきますが、そこから持ち上げていくのが天体用CMOSのデータなどに比べて難しい。これは私もそう感じていました。
原因は考察中ですが、「コントラストを上げると彩度も上がる」というよっちゃんの動画の指摘がありましたけど、輝度と彩度のバランスをとるのが難しいからなのかなと考えています。そういう意味では、色情報と輝度情報を別々にストレッチするLCSストレッチが有効だと思っていて、今回はそれがうまくいきました。前回のM16ではこの方法が失敗したので、イマイチよくわからないんですが。
おわりに
おめでたいことに、Twitterで頻繁にやり取りしてniwaさんが天文ガイドで最優秀を受賞されました。やったぜ。
「受賞者のひとこと」の文末で「美しい妻に感謝します」と書かれていて、「あれ、いいなー」と。自分も最優秀をゲットして「美しい妻に感謝します」って書きたいなー。そうしたらもっと遠征にいけるかもしれないのに。
しかし一体、どうやったら最優秀がとれるのだろうか?
*1:チャンネル減算マスクは、今でもとても強力な方法で、よく使っています