久しぶりの機材拡充でして、ASI2600MM(以下”MM”)を導入しました。とある方から中古品を安く譲り受けることができました。
11月の新月期は、このカメラのファーストライトのために神割崎に行ってきました。
しばらくは元々使っていたASI2600MC(以下”MC”)を組み合わせて撮影することを考えています。つまり、MMでLum画像を取得し、頃合いを見計らってカメラをMCに交換してRGB画像を撮影するという、マニュアル作戦です。
なぜフィルターやフィルターホイールを買わずにそんなことをするかと言いますと、私なりの言い分はありまして箇条書きにしますと以下の通りです:
- 主砲のRASA11"ではフィルターホイールは使えない
- 2600MMを15028HNTなどの明るい光学系で使う場合、2インチフィルターが必要で、そのフィルターホイールが大きすぎて、しかもカメラに直接ネジ止めする形なので、取り回しがかなり辛い
- 将来的には、MMとMCのツインを考えていきたい
ちなみに、モノクロカメラを使いたい動機はその速射性にあります。下の画像をみれば一目瞭然で、同じ露光時間ならカラーカメラよりもモノクロカメラのほうが断然質のよい画像を得ることができるからです:
カラーカメラはRGBの各フィルターが約2/3の光をカットしているわけですから、その分画質が落ちることになります。時間の限られた遠征撮影では、モノクロカメラが圧倒的に有利なわけです。
撮影記
だいぶん夜が長い季節で、IC342とM42の2対象を選びました。計画では次のような撮影スケジュールを立てました
実際の撮影では、カメラの交換で思いのほか手間取り、トータルで1時間くらいロスしています。それら苦労した点については後述します。
結果
まずは処理を終えた、IC342です。
Date: 2023-11-15
Location: Kamiwari-saki
Optics: SharpStar15028HNT
Camera: ASI2600MM/MC
Exposure: 77f x 180s (L), 28f x 180s (Color), gain100
F2.8の鏡筒で、カラーを90分、モノクロを4時間弱撮影しました。淡いIC342の腕を無理なく出すことができ、周辺の分子雲も「もっくもく」とは言わないまでもうっすら漂っている感じに映し出すことができました。また星の色も良く出ていて、カラーの情報にそれほど大きな問題は無さそうです。結果としてはまずまず満足です。
やってみて気づいたことなど
上記の撮影方法、真似しようという方はおそらく表れないと思うのですが、一応はその注意点などを記しておきます
- カメラの交換時に、カメラの取り付け角度を慎重に合わせないと、モノクロとカラーで画角がずれてしまう。今後、目印などをいれて調整しやすいようにする必要あり
- カメラ取り外し時にセンサーを温めたり、交換後にまた冷やしたりする時間が煩わしい。
- カメラを交換後に、AstroPhotographyToolにカメラを認識させ撮影したところ、かってにROIが設定されたような症状で、トリミングされたデータを吐き出すようになってしまった。APTを一度閉じてからもう一度開き、カメラを再認識させると解決したが、これはAPTかドライバの不具合と思われる
- MM<->MCの交換によるピントのズレは、ほぼなかった。
- MMで得られたマスターフラットを、MCのライトフレームに適用しても問題なかった。なので、いちいちMMとMCのそれぞれについてフラットをとる必要は無い。
- 一晩2対象は疲れる。今後、この撮影方法の時は1対象に限定する。
などです。
次回はRASA11をつかって、この方式で冬のコーン星雲あたりを撮ってみようかしらん。