天文はかせ序二段(仮)

天文はかせ序二段(仮)

仙台高専(旧・宮城高専)天文部の活動記録です

drizzleでソンブレロ銀河の円盤の文様を写し出せるか?

前置き

 

M104、ソンブレロ銀河は、南に低く見えていて、また小さいためにちゃんと撮影するのは難しい対象です。

WikipediaのM104の項目には、ハッブル宇宙望遠鏡によるイメージが掲載されています。

この写真のようにまでは行かないまでも、中央を貫く暗黒帯の詳細と、円盤内部の文様をすこしでも映し出すことを以前から目標にしていて、先日の蔵王では満を辞して撮影しました。結果を再掲しますと:

Sombrero Galaxy M104

こんな感じでした。焦点距離1200mmのAPS-Cセンサーでの撮影です。小さい銀河です。クロップして等倍にした像は以下のとおり:

f:id:snct-astro:20190509191433j:plain

まあ、広大な空間の中にぽっかり浮かんでいるような銀河の様子も好きですが、円盤の構造はほとんど見出せません。かろうじて暗黒帯がモヤモヤしているのがわかる程度でした。やっぱり無理かー、まあそんなもんだろうと、しかしちょっと落ち込んでおりました。

そういえばやり残していたことがありました

そもそもM104の円盤の構造まで映し出した写真は、日本ではあまりみたことがなくて、私の知っている範囲では別格のThe Skyの方(The SKY2016年5月ころのblog)を含めて数例ではないでしょうか?

とはいえ、先日のは空のシンチーレーションも小さく、また宮城では最も標高の高い蔵王での撮影だったため、今後何年間かを見通しても、M104を撮影するのにあれ以上のコンディションはしばらくないだろうと思われます。するともっと焦点距離を伸ばさないと無理なのだろうか?

そういえばやり残していたことがあって、それはDSSの”drizzle”処理です。これはディザリング撮影などをしている場合に、スタックするそれぞれの画像からサブピクセルの情報を補間して、解像度をあげるというものです。これで焦点距離の短さをカバーできるかも。

さっそくやってみました。

f:id:snct-astro:20190509190625j:plain

DSSからの出力。左は通常のスタック方法,右はx3 drizzleのスタック後画像を1/3に縮小したもの

左が通常のスタックで中心部をクロップしたもの、右が3xdrizzle処理をした後、1/3に縮小して同じようにクロップしたものです。ほとんど変わらないじゃん、と思われうかもしれませんが、私は3xdrizzleのほうはわずかに円盤に構造が明瞭であると思いました。。。。いや、見えます!

 

でてこい!と案じながら強めのシャープ処理を施して強調してみました。

f:id:snct-astro:20190509191216j:plain

うん、確かに円盤の構造が見えているではないですか。やったぜ。

次回はもっと焦点距離を伸ばして、フォーサーズのカメラなど導入して再挑戦したいですね。ともあれ、長年の目標は達成したとしておこう。

 

ちなみにdrizzle処理を施していない画像に、同じようなシャープ化処理を施した結果がこれ

f:id:snct-astro:20190509225453j:plain

まあ、これも円盤の構造が見えなくもないですね。でも拡大して見るとdrizzle処理をした方がわずかに構造が見えている気がします。

Drizzle処理そのものが、サブピクセルの情報を引き出すから構造が見えたのか?

別の可能性としては、シャープ化処理では円盤の構造を出すために10pxくらいのハイパスをかけていましたが、3xdrizzleではそれが25~30pxくらいになるので、ピクセル数が大きい方がハイパスの効果が出やすかったという可能性もありですね(ハイパスってのは微分だから?)