事の起こり
これまで、フラット画像の取得にあたっては、もっぱら液晶画面を使っていました。その方法を概説しますと、まず写真1のようにカメラを液晶画面に向けます。
ここで気をつけるべき事は:
- フォーカス・絞り・フードの取り付けなど、ライトフレーム撮影時と同じ状況を再現すること
- RGBのヒストグラムのピークが、撮影したライトフレームに一致するよう、液晶画面の背景色と輝度を調整すること
- 液晶画面の走査速度が影響しないよう、適度に遅いシャッタースピードをとること
です。これまでは、この方法でフラット補正に成功していました。
しかしそれは、APS-Cのセンサーを使っている限りでの話でした。先日、部員のアベがフルサイズカメラEOS6Dで撮影を行いました。画像処理を行なってみると全くフラット補正がうまくいかないではありませんか!フルサイズセンサーを撮影に使うのは、本校の天文部としては初めての経験でした。これまでは、単にAPS-Cセンサーを使っていたから、周辺減光が目立っていなかったからだったのかもしれません。自分たちの未熟さを思い知りました・・・
従来の方法だと・・・
EOS6Dで撮影した画像に対して、上に紹介した従来の方法でフラット補正を行うと、写真2のように過剰補正になってしまいます。
なんでだろうか? 液晶を明るくしてフラット取得時のシャッタースピードを速くしてみたり、部屋を真っ暗にして周辺の明かりが影響しないようにしてみたり、ピントを調節してみたりといろいろ試しましたが、すべて結果は同じです。
フードが原因
最終的には「フード内壁の光の反射が原因である」という結論に達しました。つまり写真3のようにフードを外した状態で、部屋を真っ暗にしてフラット画像を撮影してみたところ、写真4のようにフラット補正がうまくいきました。
これは考えてみれば当然の結果と言えるかもしれません。フードには迷光対策が施されているとはいえ、カメラを液晶画面に押し当てれば、その内壁はある程度の光を反射します(写真5)。その反射光は、夜空にカメラを向けている時に比べれば、圧倒的い明るいはずです。それによって、フラット画像の中心付近が本来より明るくなってしまったとしたら、過剰なフラット補正になってしまいます。
有機パネルや青空を使ったフラット撮影においても、ライトフレームの撮影時に比べて格段に明るい状況で撮影している以上、フードの内側での反射の影響は無視できないように思います。
ちょっと心配なのは、「フラット撮影時には、フードと取り外せ」といった話は、これまで寡聞にして聞いたことがない点です。とすると、多くの方はフルサイズセンサーを使っている場合でも、よく知られた方法でフラット補正に成功しているはずで、実際の所はどうなのかな?と思っている次第です。