昨年の8月ごろ,ヤフオクにて安く入手した表題のオールドニッコールレンズを紹介しました。そこで引用したブログからの受け売りですが,Xenotar型と呼ばれるタイプのレンズ設計が,安価ながらも非点収差や歪曲収差をよく補正していて,天体撮影に向いているという内容でした。
しかしながら,私の使用しているキャノンのカメラでは厳密に無限遠がでない。なのでこのレンズも,夏に北アメリカ星雲を撮影して以来,お蔵入りしていました。
メーカーの異なるレンズとカメラを接続するマウントアダプターは,その性質上「メーカー純正」はあり得ないわけです。オールドニッコールにしてもマミヤレンズにしても,アダプタを使う以上「無限遠出ない問題」みたいなトラブルは持病みたいなものです。
強引な解決策
多くの場合は何らかの方法でバックフォーカスを伸ばしてあげると「無限遠出ない問題」は解決できる(と思う*1)。例えば,クリップタイプの光害カットフィルターを使うと,無限遠が出るようになるというのは,後玉とセンサー面の間に屈折率の高い物質があることで「光路長」がのびるからでしょう。というわけですので,下の写真のような工作を行いました。
ガラスが取り外せるタイプの39mm径のレンズ保護フィルターを持ってきて,そのガラスを後玉面に接着剤で固定しました(!)。ついでにマウント面に邪魔な出っ張りがあったので,それはヤスリで削り落としました*2(!!)。これで無限遠がよゆうで出るようになりました。
でもこんな雑な作業,安いレンズだからできることです。笠井トレーディングには「焦点引出(Focal Point eXtracting)」フィルターという製品がありますが,これのカメラクリップタイプを作ったら,結構売れるのではないでしょうか?すでにあったりしたら,すぐに買うと同時にこのような強引な手段をとったことを後悔いたします。
ふたご座の足元付近
ともあれ,無限遠がでるようになったNikkor85mm で撮影したふたご座の足元付近の星野写真です:
Date: 1st. Feb.. 2019, 25:00~
Location: Iidate, Fukushima
Camera: Canon 60Da
Optics: Nikkor 85mm F2(->F4)
Exposure: 240sec. x12(ISO1600)
Guide: Kenko SkyMemoR
(リンク先のほうが画像がシャープです...)
この領域,面白いですね。モンキー星雲(NGC2174)とかクラゲ星雲(IC443)ってここにあったのか,双眼鏡で見えるM35以外は知りませんでした。
レンズはF4まで絞っています。周辺像は満足できるレベルです。輝星の周りに若干赤滲みがでて,それはPhotoShopで処理していますが,ピントの調整で解決するかもしれません。強引に保護フィルターを取り付けたことの悪影響は多分ないようです。